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着物を 「座敷」で楽しもう!

をとめ達 座敷で着付けし はしゃぎ声 (3)

文文先生の奥様は、先生が60代半ばの頃に先立たれたそうです。
晩年は、自宅の書斎の2階で、設計事務所を営まれておられました。
日本女子大学の卒業生で、女性建築家の草分け的な存在です。
当時、図面は手描き。「よく着物を着て、たすき掛けをしてね、こうやって図面を描いていたのですよ、着物はいいものですよ。」と先生。なんと素敵な!
着物は一見大変そうに見えますが、着てみると案外、背筋がすーっと伸びて楽で、着心地がよく落ち着きます。それに片付けやすく、場所もとらず、長く楽しめる。そして、なんといっても季節感を楽しめる!

ある年、奥様の着物をいかして、書生や留学生が、着物の着付けを体験する会を、先生のお宅の座敷で催したそう。着物を広げて、帯との取り合わせを考える時は、明るい笑い声が響き、座敷が華やぎます。そして、四苦八苦しつつ着物を纏うと、皆おしとやかに、そして、茶話会を楽しまれたとか。

和服はどんな環境でも着付けられますが、やっぱり着物や帯を並べて取り合わせを考えたり、着付けたり、畳んだりといった一連の行いは、和室が一番行いやすく、しっくりくると感じます。すいぶん珍しくなりましたが、今でも、家業柄、和装をなさることが多いお宅では、畳敷きの支度部屋を設計しています。

最近は、着物を楽しまれる方も増えてきましたが、それと同様、和室にも親しみ、新たな形で和室の良さを楽しんでもらえたらな、と感じます。

座敷で行われた「着物勉強会」と「茶話会」

文文先生がご逝去されたのは、2010年。
亡くなる直前、住まいを登録文化財にしたいとのご意向で、調査や手続きを進め、書類を都へ提出していた中、急逝されたのですが、登録文化財を目指した理由に、単なる保存ではなく、使い続けてほしいという願いがありました。特に座敷棟は、日本の和室文化を味わってもらうのには最適!こうした環境を、もっと若い人にも活用してもらうべく、NPO法人「住文化と文化遺産を守る会」が発足しています。
現在は、豊島区立鈴木信太郎記念館として開館、運営され、信太郎先生にちなんだ行事や和室ならではの行事も企画して下さっています。私たちNPO法人「(通称)文文会」も、少しでもこうした活動のお役に立つことができれば、と思いますし、着物の着付けを通じての国際文化交流、着物で集まり行う茶話会などを催しつつ、建物の在りし日の暮らし・文化と、住まいの関係をみつめていけたらと感じます。


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