災害のお話
テレビ「萩留県南部を襲った、マグニチュード8.2の大地震から今日で13年。発生当時の様子を、被災者のアルバロ・モリエンテスさんに…」
女「ねえ、チャンネル変えてもいい?辛気臭い話で参っちゃうわ」
男「いいけど、どこの局も同じような番組だろうよ」
女「大災害って嫌ね。どんどん笑えない話をする日が増えていくじゃない」
男「ま、そのうちみんな忘れるさ。でもって、その頃またズドンとくるんだ。地震だの、台風だのが」
女「…あの地震から13年も経つのね。いつまで特集番組が組まれると思う?」
男「んー。どうだろう。50年、いや、100年かなぁ」
女「私たち、萩留県南部大地震が一部の歴史マニアや地質学オタクしか知らない出来事になるまで一緒にいましょうよ」
男「バカ言え。そんなの何百年もかかるよ」
女「そうかしら」
男「ほら見ろ。地震の特番中に地震速報だ。おっと、結構大きいぞ」
女「こんな話の最中に地震で死んでしまったら、それこそ笑えないわ」
男「防災バッグの点検をしてくるよ。電池のテスターはどこにしまったかな」
女「じゃ、私は防災頭巾でも縫おうかしら」
男「おいおい、昭和じゃないんだぜ。ヘルメットを買ったろ。あれもすぐ取れる場所に置かないとな」
女「あらやだ。私忘れっぽいから」
男「作者が落としどころを見失ってるらしい。この辺で話をお終いにしよう」
女「そうね」