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『エイリアン・ロムルス』 全部てんこ盛りで大満足。

『エイリアン・ロムルス』を鑑賞する。Tジョイ京都にて。
以下、ネタバレで書く。

『エイリアン』シリーズは『エイリアンVSプレデター』シリーズ以外は全て鑑賞している。

私が好きなのは『エイリアン4』と『エイリアン・コヴェナント』である。
グログロが好きなのである。
今作はどうかというと、まぁ、結構なグログロである。エロはない。まぁ、性的なモティーフとしてエイリアンを映すシーンはある。

監督は、『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレス。

エイリアンは、リドリー・スコット→ジェームズ・キャメロン→デビッド・フィンチャー→ジャン=ピエール・ジュネ→リドリー・スコット→リドリー・スコット→フェデ・アルバレス、という感じでメインシリーズは展開しており、才能豊かな監督、それも映像感覚に秀でいている人がタッチするイメージで、『エイリアン5』は『第9地区』のニール・ブロムカンプが担当する予定だったが、紆余曲折あり、今作は、まぁ、『エイリアン』から20年後が舞台で、『エイリアン2』より以前の話、つまりは、『エイリアン1.5』というべき話である。

まぁ、スリル・ショック・サスペンス?溢れる内容で、個人的な感想を言うならば、シリーズで一番面白いかもしれない。

『プロメテウス』や『コヴェナント』ほどの耽美さ、退廃さ、不道徳さ、意味不明さはないし、『4』ほどグラン・ギニョルでもない、『3』ほど人間劇ではないが、然し、シリーズのいいとこをこれでもか!というほどにぶち込んだ内容で、特盛の特濃、単純なSFホラーパニック映画と見れば、これ以上ないほどにてんこ盛りな仕様である。

映像や美術関連なら『プロメテウス』がダントツで最高!
やっぱりデビッドだよなぁ。

物語は、ウェイランドユタニ社の人口3000人足らずの植民惑星から始まるのだが、主人公のレインはそこでユタニ社に雇われて仕事しているのだが、ようやく日照時間0時間の暗黒惑星からおさらばできると思っていたら、契約が倍近く伸びていて、あと5年は働く必要性があり衝撃を受ける。彼女は父親がゴミ捨て場から拾ってきて彼女を守るようにプログラムされたポンコツアンドロイドのアンディと姉弟のように生きてきたが、可愛い弟も手続きの間待たせただけでスグに周りの奴らに苛められる始末。

基本的にはこの二人がメイン主人公であり、彼らは別の惑星ユヴァーガへ向かう夢を持っている。

そこに、友人のタイラー率いる4人組が、ちょうど惑星の上空にあるユタニ社の廃船からポッドを取り出し、それでユヴァーガに向かおうと計画を持ちかける。

それも全てはアンディが必要だから、である。アンディは、ユタニ社製のアンドロイドであるから、宇宙船のロックなどを外したりすることが可能なのである!

冒頭、そういう感じで始まるのだが、このシーン、私は『ブレードランナー』を思い出していた。やはり、植民惑星、ディストピア、その光景の一端から始まる『エイリアン』はなかなか新鮮だった。

なんたって、『ブレードランナー』と『エイリアン』は同一世界線にあるというのだから、まぁ、ブレランは2019年、ブレラン2049は2049年、この時代は植民惑星、オフワールドなわけだが、ロムルスは2142年である。
来年のAmazonプライムドラマで今制作中の『ブレードランナー2099』は2099年なわけで、そろそろエイリアン世界と連結するのではあるまいか。
ウェイランドユタニ社、タイレル社、ウォレス社、のみならず、オズコープ社、アンブレラ社、オムニ社、神羅カンパニー、などなど、やはり、そういう、暗黒巨大企業、というのはいいものだ。

私が愛して止まない『ブレードランナー2049』のディストピア。
世界で一番美しい社屋、タイレル社
と、その応接間的な部屋。あまりに美しさに、私はここに住みたい。

で、今作はティーン映画、というか、若い6人(うち一人はアンドロイド)が連続殺人鬼に襲われる、的な、そういうティーンスラッシャー映画的なストーリー展開で、頗るわかりやすい上、次から次へとピンチが襲い、その上、時間制限系のタイムリミット、スレスレタイミングでの脱出劇、と、エンタメの王道をいく作り。
何より、無駄な恋愛シーンがないのがいい。姉弟愛(アンドロイドだが)、というか、人間の不合理さ、アンドロイドの合理さを物語に落とし込んでいて、かつ、伏線回収など、わかりやすいながらもパズルを上手く組み合わせていくように展開しており、よく出来ていると思う。

最大の山場、かと思えたシーンで終わらず、そこから更にウルトラにピンチのシーンでお腹いっぱいになるのも昨今の映画ではあんまりないのではないか。

『エイリアン3』のアクションシーンは15分くらいしかないが、この映画は1時間くらいはあるので、お得である。
物語の導入も、『ドント・ブリーズ』じゃん!と思うほど、まぁ、若干ガラの悪い連中が忍び込んだ場所にいたのが鬼畜盲人じいさんじゃなくて、エイリアンでした!ってだけの話で、なるほどこの人選も頷ける。

かつ、やはりエイリアンはアンドロイドの映画、であり、最早、レプリカントかアンドロイドか、と問われたら、完全にアンドロイドの方が危険な気がするが、今作もアンドロイドのアンディの物語として、若干マイルドさは残るが面白いものだった。
アンディは今作でも一番素晴らしい演技を見せていると思うし、エイリアンシリーズのアンドロイド枠として爪痕を残している。

そして、『4』のニューボーン的な展開もあり、おお、ニューボーンっていうか、ヴォルデモート卿?というほどまでにやばいニュータイプのハイブリッドも登場し、最早ゼノモーフっておまけになってるよね、という感じ。
しかも取る行動は全然感情移入出来ず、ニューボーンは泣いちゃうけど、今作はそうならない、巧い塩梅。

『エイリアン』シリーズはどれもそれぞれ皆違って皆いい、を体現するのだが、今作は、いいとこ取りで、誰しも観ていて面白い(然し、倒錯性、フェティッシュは足りていないが)映画になっていて、まさに満足のいくポップコーンムービーだと言えるのではあるまいか。ちなみ私はポップコーンを買わない。高いからな!

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