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魔界の映画だよ〜(メガネは知的に見えるネ)

『エンゼル・ハート』という1987年の傑作映画がある。
北条司の『エンジェルハート』とは一切の関係はない。

この作品の主演はミッキー・ロークで、今作の彼は私立探偵ハリー・エンゼルを演じているが、その風貌は格好良すぎる。

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ミッキー・ロークは一時期ボクサーになってからキャリアが下降して、完全に忘れられた俳優になったけれども、2000年代中盤から『シン・シティ』や『レスラー』などの好演で再び返り咲いた。

『エンゼル・ハート』は探偵ハリー・エンゼルにルイス・サイファーという紳士が人探しの依頼に来る所から始まる。
ルイス・サイファーを演じるのはロバート・デ・ニーロで、今作ではゆで卵の食べ方の演技に一家言あるところを見せてくれる。

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ハリー・エンゼル
ルイス・サイファー

この名前ですぐに落ちが割れそうなものだが、今作はキリスト教徒的には最大の禁忌を犯していて、それは『オールド・ボーイ』と同様の悪夢なわけだが、このストーリーラインはどうでもいい。とにかく、今作は恐ろしいほどに美しい魔界の映像が堪能できることに価値がある。

監督はアラン・パーカー。この男、地獄を演出させたらピカイチのメガネである。

彼の作品では『ミッドナイト・エクスプレス』がある。深夜の超特急というタイトルだが、それは刑務所では脱獄を意味する。
これはトルコの刑務所を舞台にした脱獄映画で、主人公のビリー・ヘイズの実体験を元にしている。ビリー・ヘイズはトルコにて麻薬所持で逮捕され、そこで地獄の苦しみを受けることになる(完全にビリーが悪いので、同情もできない)。

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このトルコの刑務所が恐ろしい魔窟として描かれている。
所長のポール・L・スミスはおぞましい魔神のように描かれていて(DUNEでも気持ちの悪い役だったが、本人の写真はいい人そうな、いい笑顔だった)、誰もがこの刑務所が魔界であることを、視覚をもって納得させられる。
こんな刑務所、ある?と思ったらそこはやっぱりオリバー・ストーンがめちゃくちゃに脚色してたわけだが、然し、この映画や先の『エンゼル・ハート』に濃厚に漂う死の匂い、魔界の匂いはただごとではない。

どちらも、最後には主人公が悪夢から解き放たれるように終わる。
一つには開放があり、もう一つは更に奈落へと落ちていく。

『エンゼル・ハート』は最後ハリー・エンゼルがエレベーターの上を見上げるシーンのカットで終わるが、そこがたまらなくかっこいい。


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