『オオカミの家』と『骨』を観たが、どうも睡魔には勝てず、寝てしまって、目を空けたら目の間の画面が溶けていて悪夢か現実か判断がつかなかった件
アップリンク京都で『オオカミの家』を鑑賞。
2018年の映画である。
で、その前にちょっと書店に行き、少しだけパトロール。
気になった本は、『芥川龍之介・菊池寛共訳 完全版 アリス物語』。
私は菊池寛が嫌いなので、芥川だけなら良かったんだけど……。まぁ、装丁は可愛い。
で、その棚にささっていた大分前(2015年)に発売された『失われた時を求めて』の抄録版。重要だったり、印象的なものを集めた、まぁ、アニメとかでよくある総集編である。
『失われた時を求めて』は、超絶に長いと聞く。私は読んでいないが、長くてつまらないとも聞く。なので、こういう本はいいのかもしれないなぁ、と思う。それでも結構分厚かったけれども。
で、映画に戻ると、『オオカミの家』はストップモーションアニメーションである。まぁ、『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』とかに代表される、コマ撮りアニメーションだが、その中でもウルトラに前衛的かつフレッシュ、そして、サイケデリックサイコな作品である。
アリ・アスター監督がこの作品に惚れ込んで、3本目の監督作の作中や、今作と今回同時上映された『骨』を今作の監督二人組に作らせたほどに、イカれている。
なにせ、アリ・アスターといえば、『ヘレディタリー/継承』でいきなりその存在感をアピールした魔術師であるから。
で、今作はその魔術師が囲い込みたいのもわかるほどに異様だ。
そして、その異様さは10分で飽きてくる。これが今作の最大の問題だ。
今作は物体以上に、背景の絵の変化や即物的なアイテムを使うことや、その異常な不定形の変態など、『はきだめの悪魔』かよ、的な、むしろ、サーティワンアイスクリームかバスボールかよ、的な、溶けて溶けて溶けまくるそれが私だ、的な、そんなとろける映画であり、技術の達成は最高点、作風の禍々しさも他には無いしで、ただ、完全に、チリの暗黒面と言われている、コロニア・ディグニダ事件にインスパイアされた悪夢を藝術化した映像詩であり、詩であるから、物語性の起伏などはあるにはあるが、それは観客を惹きつけるためのものではない。
間違いなく唯一無二に限りなく近い作品だが、私は都合3度ほど寝たので(お昼にもたっぷり2時間寝ている)、肌に合わなかったのかもしれない。
コロニア・ディグニダのコミュニティから脱走したマリアが別の場所、廃屋のような場所で(実際には普通の空き家だろうか)で新しいコミュニティを作ろうとするが、然し全て失敗してしまう話を抽象的に描いたのが今作の基本ストーリーである。
短編の『骨』はモノクロームの作品で、1901年に発見された映像を博物館の依頼で、『オオカミの家』の監督二名が修正した映像、という、いくらなんでもガバガバすぎる設定の作品で、1901年にこんなもん作れるわけねーだろ!特に☆のエフェクトとか嘘くせーからもう少し時代設定考えろよ!と思い集中できず。内容は黒魔術で骨から再生させた男性と恋に落ちて結婚、同時に再生させたおっさんに司祭になってもらい結婚式を挙げる、的な、まぁ、可愛い作品だが、この10分程度の作品でも長いと感じてしまう。
恐らく、『オオカミの家』は予告編では凄まじいものだと感じられたから、10分〜15分程度の長さで振り切れば、すごいものを観たと思えたかもしれない。いや、凄いものは凄いのだが、悪夢は長すぎると、刺激は長すぎると麻痺してしまう。
まぁ、コロニア・ディグニダの事件は私も全く知識がなく、これは確かに巷で言われるように、現在のジャニーズ事務所の事件を重ねてしまうのは致し方ないところ。
不気味というよりも、まだこの悪夢のほうが、現実よりもマシだということが恐ろしい(と、いうような話で締める映画感想は腐るほど多い)。
暫定2023年ベスト(映画館で観たものに限る)
測定不能…君たちはどう生きるか(2回鑑賞)
1位:キングダム/エクソダス(脱出)…97点 ※前作を観て尻上がりで上昇
2位:ザ・フラッシュ…96点
3位:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー.Vol.3…93点
4位:フェイブルマンズ…83点
5位:リボルバー・リリー…82点
6位:カードカウンター…81点
7位:AIR/エア…80点
8位:スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース…78点
9位:オオカミの家/骨(合わせて)…76点
10位:クリード/過去の逆襲…75点
11位:アラビアンナイト/三千年の願い…74点
12位:クライムズ・オブ・ザ・フューチャー…64点
13位:シン・仮面ライダー…62点