よろしかったら、おききやしとくれやす。
『くれないものがたり』という映画があって、私は観ていない。すごく観たいのだが、VHS以外で観る手段がない。
私はNetflixとかAmazonプライムも一応会員だが、ああいう配信サービスは、痒いところに手が届かないのが歯がゆい。権利関係が複雑なものや、糞マイナーな映画こそ観れなきゃ意味がない。
この映画は、池田敏春監督の作品で、池田監督といえば、なんと言っても、『死霊の罠』であり、とんでもない和製スプラッター映画である。さらに、『人魚伝説』。それから、珍作として、『湯殿山麓呪い村』などがある。
ゆどのさんろくのろいむら、とはなんて語呂がいいのだろうか。
この映画は予告編に大量の虚無僧が出てくるのだが、本編には一切出てこない。
語呂の良さは大切である。音感、というのは創作物には欠かせない。そういう点で、『BLEACH』の久保帯人先生を超える音感センスの持ち主は思い浮かばない。
とにかく、『くれないものがたり』である。
私は観ていないから、どんな映画かは不明であるが、パッケージからして非常にいい感じなのである。
キャッチコピーは『ここは妖かし、とうに滅びた都のまぼろし』。
うーん、語呂がいい。そして、なんという美しい並び。韻を踏んでるのもいいね。口に出して読んでみると、若干のHIPHOP感。つまりは、ラップは日本語の勉強になるのだと、『change!』のしおりんも言っている。
お、佐野史郎が主演じゃないか。佐野史郎さんは池田監督の他作品にも出演されているのだ…。
原作は赤江瀑。京都の香道を題材にしたサイコミステリーだとか。香道とは、香木の香りを堪能する日本の芸道だそうな。Wikipediaによると、蘭奢待(先日のM1グランプリ出場のコンビではなく)の香りに魅せられ破滅する男女の物語、だそうな……。
私は、香道なんてものがあるのを識らなかったので、まずそれで興味津々であるが、然し、なんと言っても香りは重要である。匂いは、一瞬にして過去にも連れて行ってくれる、記憶の再現装置なのであるから。忘れ得ぬ香りというのが誰にでもあるものだ。私は本のインクの匂いフェチなので、ジャンプの匂いを嗅ぐといつも思春期に逆戻りしちゃうのだ。
Wikipediaからあらすじをこちらに引用させて頂くと、
札幌から京都へ修学旅行に訪れていた高校生・法靖は、興味本位でストリップ小屋に入り、そこでSM風のショーと官能的な香の匂いの虜になってしまう。その後、引き寄せられるように郊外の古い寺に入った法靖は、盲目の香の達人・春治と彼に付き添う和服の美女・燿子と知り合う。その妖艶な所作と美貌に惹かれた法靖は、たちまち謎めいた素性をもつ燿子と、夢ともうつつともしれぬ官能的な日々に落ちてゆく。
とのことである。どういう導入展開やねん。識らない土地に来ていきなりハードル高すぎやろと思うけれども、そこは作り話、物語だもの。
ていうか完全に妄想じゃねーかと思いながらも、是が非でも観てみたいのが人情というもの。
ここで少しだけ観られる。が、この音楽が堪らない。
『死霊の罠』の音楽は吉良知彦氏が担当しているが、今作も同様。似たテイストで本当にたまんねー。ていうか、吉良知彦氏は『クロノ・クロス』のコンポーザーである光田康典と一緒に仕事していて、『クロノ・クロス』の楽曲に参加している。
この動画のギターも、なんとも『クロノ・クロス』ではないか。『クロノ・クロス』のサウンドは、ゲーム音楽の中でもウルトラに最高なのである……。
この動画の4:50秒のシーンは音楽といい、演出といい、神映画臭がするではないか…。
台詞がいいよね。
よろしかったら、おききやしとくれやす。
なんて美しいのであろうか。こんな言葉、最近では『舞妓さんちのまかないさん』でしか聞いたこと無いぞ。
ああ、観たい!でも、観たい映画というのは遠い。まるで外国のようだ。然し、観たら種が割れた手品になるやもしれんから、恋は胸に秘めた状態がちょうどいいのよねん。
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