アンパンマン伝説
今日、初めて劇場版アンパンマンを劇場で鑑賞する。
無論、子連れである。
最近、子供がアンパンマンが超大好きで、何でもかんでも「アンパンマン!アンパンマン!」と言っている。
アンパンマン神通力は識っていたが、実際、アンパンマンは子供にとっての神に等しい。それも、長くても5歳頃にはほぼ消える神だ。
今年の映画はなんと、ばいきんまんが主役だという。
ちゃーんとムビチケカードを購入し、特典のポシェットもゲッツ!
今、Amazonプライムなどでアンパンマン映画を軒並みながら観している私だが、アンパンマン、と、いえば、今年の朝ドラ上半期は『虎に翼』、下半期は『おむすび』で、2025年の上半期はやなせたかし夫妻を描いた『あんぱん』、だという。その次の2025年の下半期が小泉八雲夫妻を描いた『ばけばけ』だ。
なんと、文学関係が続いている。やなせたかし、それから小泉八雲。この年は大河でも蔦屋重三郎を描くとのことで、2025年は文学文化の年だ。
そんなアンパンマン、最近、書店をパトロールしている途中、絵本のアンパンマンを買って帰ろうと児童書コーナーに赴く。アンパンマンの本はたくさん出ていて、そして高い。
高いといえば、最近、鬼のようにガチャも回している。200円や300円程度のものだが、累計100回は回しているだろう。大量のアンパンマンおもちゃが部屋に溢れている。
然し、なんというか、こう、アンパンマン、はおしゃれなアイテムも多く、カラフルで、部屋に並んでいるとなんとも愛くるしいのだ。
あの、虚無的ともいえるアンパン、それを頂きに置いた愛と勇気の戦士。
で、児童書コーナーにある様々なアンパンマン本の中から1冊、これは……!と思うものを発見。大人向けの本、その名も『アンパンマン伝説』。
私だって昔はアンパンマンに育てられた。最近観ていて驚いた。新キャラがたくさんいた。いや、昔からいたのかもしれない。私が気にしていなかっただけだ。アンパンマンは、いつだってずっと子供たちを守っていたのだ。
サザエさんやちびまる子ちゃん、それからクレヨンしんちゃんは時代に沿うが、然し、アンパンマンは不動である(多分)。
そして、今回の映画、ばいきんまんと絵本のルルン、上映時間は優しい60分程で、私の心は癒やされた。最近の映画は2時間半だとか、3時間だとか、そういう、大人の時間を奪う程長い長い映画が幅をきかせている。私に言わせれば、どんな映画も60分で十分なのだ。だって、物語は基本的には全て同じなのだから。
そして、映画館の照明はそんなに落とされず、明るい劇場仕様で安心である。子供たちは皆思い思いの奇声を上げて泣いている。然し、ここでは誰も気にするものはいない。
物語は絵本の世界に落ちたばいきんまんが、そこにいる妖精のルルンに、絵本の世界の木々の生命力みたいのを吸い取るすいとるゾウという巨大象を退治してくれと頼まれる。渋々手伝うばいきんまんだが、すいとるゾウ、あまりにもマッド・マックスであり、強すぎる。ばいきんまんは完膚なきまでに叩きのめされる。だってここは絵本の世界。ここには彼のロボはない。然し、まるで、『バガボンド』の6巻の武蔵宜しく、負けじゃねぇ、勝ちへの途中、と、持ち前のDIY力を発揮して、木製のダダンダンを作り始める。
ルルンは泣き虫で、「どうせ僕には無理だよ〜。」と泣き言ばかりを言う、そんな妖精だった。ばいきんまんは、そんなルルンに苛立つが、然し、何度も何度も負けてきた自分を見ろ、然しオレ様は諦めない、何故ならオレ様が最強だからだ、と黙々とダダンダンの建造に励む。
そうか、ばいきんまん、あんたまだ、勝ちへの途中なんだな……、そんなばいきんまん、ウッド・ダダンダンを完成させて、ついにすいとる象へのリベンジマッチを挑む。このバトル、凄まじい迫力だ。すいとる象は子供には恐ろしかったようで、確かに、やつの眼は常軌を逸している。
まぁ、ここからは映画を観て欲しい。今回は完全にアンパンマンは引き立て役。然し、アンパンマンは宿敵だろうが、困っていたらすぐに助ける愛と勇気の戦士であることも再確認。
そうして、アンパンマンが差し出すそのお頭を見てー、私はある一つの妄執に取り憑かれる。ばいきんまんとアンパンマンたちの不思議な世界の冒険の後、私はこしあんのあんぱんを購入し、容赦なくそれを貪り食った。