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キムンカムイ

ようやく止まっていた『ゴールデンカムイ』の28巻まで読んで、物語もあと一息の所まできた。どうでもいいけど、第7師団を観ていると、『皇国の守護者』を思い出すなぁ。

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そして、カムイといえば、私には藤原カムイと、週間少年マガジンで連載されていた『キムンカムイ』である。

『キムンカムイ』は羆ものである。羆ものといえば、羆ではないが、『クマ撃ちの女』も続きを読まないと…。

『キムンカムイ』は遭難&羆に襲われるという、恐ろしい漫画であり、当時中学生の私にはトラウマになるほどに怖い作品だった。

羆といえば、三毛別羆事件があって、それにまつわる小説で、吉村昭の『羆嵐』という名作がある。これは実在の件の事件をベースに、老猟師と殺人羆との闘いを描いている。半分ルポルタージュの趣だが、この事件はWikipediaを読んでいてもなかなかに恐ろしいものだ。これとワンゲル部の事件が二大獣害事件だろう。

『キムンカムイ』は主人公たちズッコケ三人組的な少年グループやカメラクルー、そして最終的に乱入する逃走凶悪犯なども交えて描かれるお山のサバイバルスリラーであるが、とにかく羆が怖い。
羆は一振りで人間の顔面の皮膚を持っていくという。鷹村がなんとか勝てたのもツキノワグマであって、羆とは次元が違うのである。

以前、北海道の羆園を訪れた時に、彼らはお菓子をくれ〜お菓子をくれ〜、と愛らしい仕草で観光客におねだりをしていて、私もそれにすっかり絆されてしまった1人で、羆かわええなぁと思っていたのだが、施設には石壁に穴が空いていて、そこには筒が通っており、その筒に餌を入れるとコロコロと転がってそれを羆がキャッチする、という仕掛けがあるのだが、人間がその前に立つと、餌をもらえると思った羆は穴の前にやってくる。その時に、穴から聞こえてくる獰猛な息遣いに、私は戦慄を覚えた。どれくらいの戦慄かというと、

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な感じである。生物としての格の違いに驚かされるばかりである。
とにかく、どう考えても友好関係を結べるとは思えない感じ…。

然し、『キムンカムイ』は羆のどうしようもない恐怖も描きつつ、「やっぱり、一番怖いのは人間なんだよね。」という、あのよくある展開になだれ込んでいく。然し、私はこの漫画で羆の恐ろしさを知ったし、羆小説などにも興味を抱き、自分でも長編を一本書いてみたりしたので、非常に影響を受けた漫画である。

どうでもいいが、私はボーイスカウトをしていたので、今で言うソロキャンプ的なことを、ほぼ無理やりやらされたことがある。4月のお山で、夜の寒さは激烈であり、私は靴下を二重にして、シュラフに潜り込んで、ガタガタ震えながら眠った。あの一夜は悪夢だった。羆が出たらどうしよう…的な。まぁ、本土なのでいないのであるが…。然し、野犬などはいるので、その辺りは怖いところである。あのナイトメアはもう味わいたくない。そんなナイトメアを思い起こさせるこの漫画、是非お勧めなので、読んでみてください。

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