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FF9と聖剣伝説LOM


FFⅨ(9)は2000年7月7日、聖剣伝説レジェンドオブマナ(LOM)1999年7月15日に共にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売された作品である。どちらも蟹座のゲームである。

FF9は282万本売り上げて、ファイナルファンタジーシリーズの単品のみなら国内では3番目、LOMは72万本売り上げて、どちらも大ヒットである。
然し、この時代のゲームはバカスカ売れていて、スクウェアは超バブルで、
ハワイのホノルルにもスタジオがあって、制作費160億円の映画を作っていただけあって、ミリオン売れないと続編を作らないくらいの勢いがあった。

例えば、1999年でいくと、クロノ・クロスは68万本、サガフロンティア2は72万本など、ハーフミリオン超えもたくさんあった。
ちなみに、一昨日20周年を迎えたFF10は249万本売れていて、FFシリーズは5・6・9・10・12などはダブルミリオン、7、8はトリプルミリオン売れていて、間違いなく国民的RPGだった。

FF9は、原点回帰を謳っていて、要は中世ファンタジー+機械の、王道のファンタジーを描こうとしていた。

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そして、FFシリーズの象徴であるクリスタルである。クリスタルは6から姿を潜めて、7や8では消えていた。
9のクリスタルは物語の根幹であり、ロゴマークとして天野喜孝氏に描かれているが、最後の最後にしか出てこない。キャッチコピーは『クリスタル、再び』だったので、これに怒ったお客さんが多かった。
この作品のディレクターの皆葉英夫氏は、今作は映画の『ダーククリスタル』に影響を受けていると公言していて、人形劇のようなキャラクターや箱庭のようなMAPはまさにそのものである。
『ダーククリスタル』は1982年の映画だが、最近Netflixでオリジナルの前日譚が作られたが、哀しいかな打ち切りになっている。

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物語は命をテーマにしている。
主人公は全員、という御触書だったが、実際にはジタン・トライバルという16歳の盗賊の少年が主人公で、彼は徹頭徹尾聖人である。人格者であり、嫌味がない、完全にいい男である。私は彼が一番好きな主人公である。

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そして、彼が誘拐したアレクサンドリア王国の王女ガーネット・ティル・アレクサンドロス17世が、ヒロインで、そこに黒魔道士の少年ビビや王女の護衛である騎士スタイナーがいる。それがメインパーティで、まぁ、ワンピースで言うところの初期メンの5人のような感じで(ちょうど、ワンピースではこの頃ブリキのワポルと戦っていた)残り4名はエーコという召喚士の少女が重要ではあるが、そこまで根幹には関わらない。
今作はやはり初めの街である、アレクサンドリアの作り込みが素晴らしく、劇場艇プリマビスタなる飛空艇には心底感動した。

9はプロデューサーの坂口博信氏がプロットを書いているわけだが、誰のインタビューかは失念したが、FFのプロットを書くときに、起承転結の4つのブロックをさらに4分割(起承転結)して作ったと話していた。
各ブロックが約3時間ほど、つまり、4ブロック×3で12時間、12時間×4で48時間。丁寧にプレイしたらそれくらいの分量になる。FFは大体30時間〜40時間くらいでクリアできるので、なるほどと思った。

『LOM』の方は、少し特殊で、メインシナリオという大筋はあるが、然し主人公に個性はない。
様々なランドをMAPに配置し、出来上がったランドを冒険し、そのランドで発生するシナリオをこなしていく。そのシナリオには3つのメインシナリオがあって、『宝石泥棒篇』、『ドラゴンキラー篇』、『エスカデ篇』がある。
各篇、非常に哲学的な内容で、これらの物語には様々に含みが持たされている。『宝石泥棒篇』や『エスカデ篇』の物語は非常に美しいもので、台詞の一つ一つ細やかな配慮が行き届いている。

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この作品は天野シロによってコミカライズされていて、コミックブロスで連載していた。コミックブロスはファミ通のエンターブレインが発行していて、ヒット作にはジバクくんなどがある。
このコミカライズ版はPOPな仕上がりで、ギャグもふんだんだが、『エスカデ篇』などは非常に切ない物語になっている。
エスカデ篇は、人間と、人間と悪魔の混血、そして獣人などの立場の違う四人の幼馴染の物語である。様々な立場や人間関係が描かれていて、非常にアダルトな展開である。

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この二本がアニメ化されると聞いて、なぜ今頃?という感じだが、
この二本の直撃世代は大体三〇代〜四〇代なので、親子揃って楽しんでもらえる層であり、作り手側も企画を通しやすい立場にいるということだろうか。

『FF9』はフランスの制作会社が作成するようで、確かに、海外の匂いがする作品には相応しいかもしれない。
『FF9』はハワイで作られていて、海外スタッフが多数参加していた。西洋の香りがする作品だ。
だから、このファンタジーには異国の匂いは欠かせない。キッズ用のアニメとして制作されるようだ。
そういえば、『聖剣伝説LOM』の設定資料集には、マナの樹としてハワイの木が載っていた。これはこじつけかもしれない。

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