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マンディ 地獄のロード・ウォリアーは観た?


凄まじい映画である。私はこの映画を映画館で観たが、衝撃を覚えた。
監督名はパノス・コスマトス。鬼才である。名前にもインパクトがある。

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主演はニコラス・ケイジである。ニコケイは2000年代半ばくらいまでは2000万ドルのギャラをもらうトップスターだった。何故、こうなってしまったのか。然し、ニコケイは地べたを這い回りながら、恐ろしい顔芸を習得した。何度も結婚を離婚を繰り返し、恐ろしい顔芸を習得した。
その集大成に近い(然し、ニコケイはいつもその記録を軽々と超えてくるわけだが)今作は、あまりにもイカれている。

物語は、ニコケイが愛する妻をイカれたヒッピー軍団に焼き殺されて、復讐をする、莫迦でも理解出来るシンプルかつ美しいストーリーライン。

奥さんを演じるのはアンドレア・ライズボロー。トム・クルーズの『オブリビオン』のヒロインじゃない方の女性である。美人である。とても美しい人で、女神のようだ。それが今回は眉毛がない。恐ろしい顔をしている。ジャケットの中央の人で、部屋には飾りたくないポスターだが、この人がマンディである。

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上がオブリビオン。

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ヒッピー軍団の教祖ジェレマイアに目をつけられたのが運の尽きで、彼らに誘拐されたマンディは妙な薬を飲まされて、ジェレマイアの歌う絶賛販売中の宗教ソングを聞かされ、そして、ちんぽこを見せられる。
然し、ラリったマンディはそのちんぽこを莫迦にして大笑い。結果、ジェレマイアは焦りながらも自分で自分のちんぽこをしごく訳だが、焦るとやっぱりいけないね、勃たない。そうして、激怒したジェレマイアと軍団に、マンディは焼き殺される。

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奥さんを灰にされたニコケイは、怒りを爆発させて、武器を調達、どころか自分で最強の武器を錬成し、ジェレマイア集団の皆殺しに向けて動き出す。
ジェレマイアはアブラクサスの笛を使い、地獄のバイカー軍団を召喚する。彼らは最近流行りの危険ドラッグで顔まで溶けたヘルレイザー軍団である。私はこのアブラクサスの笛という言葉が好きで、自分の小説に取り入れた。アブラクサスは頭がライオンで胴体が人の悪魔である。

そして、そのアブラクサスのバイカーと、血みどろの死闘を繰り広げるニコケイ。そいつらが侵入した民家、そこではポルノビデオがブラウン管に流れていて、女優が男優にバックで犯されている。延々と流れるそのシーンを背景にニコケイは生死をかけた死闘を演じる。
果たして、ニコケイはジェレマイアをぶち殺し、愛する妻の魂を浄化できるのか……という映画。

意味不明なシーンも多いが、基本的なストーリーラインは先程にも書いたが誰にでも理解できる。そして、この作品を異端足らしめているのはその演出もさることながら、サイケな色使いだろう。
赤と青のスモークが焚かれる。
森の中で、殺し合いが始まる。恐ろしいイメージ。
悪夢のごとく、然し、それでいて80年代テイストのまばゆいネオンの輝き。

音楽はヨハン・ヨハンソン。これが遺作であった。この名前も好きで、小説に取り入れた。
ヨハン・ヨハンソンは、アイスランドの作曲家で、ドゥニ・ヴィルヌーヴとのコンビ作品もあった。『ボーダーライン』などである。『ブレードランナー2049』も当初ヨハン・ヨハンソンがスコアを担当していたが、ハンス・ジマーに途中交代した。ドゥニ・ヴィルヌーヴはインタビューで、「ヨハンの曲は素晴らしかったが、もう少しオリジナルのブレランに近づけてほしかったんだ…。」と、創作上の相違が元でスコア担当者を変更したことを明かした。
ヨハン・ヨハンソン版も聞いてみたかったが、完成したジマー版を私は愛している。そして、ヴィルヌーブの妥協ない作品作りにも痺れた。如才ないし、妥協もしない。とにかくヴィルヌーヴの『DUNE』が楽しみである。

そして、ニコケイは園子音監督の新作に出演するために来日していて、滋賀でも目撃されたようだ。何故滋賀?

この映画を傑作だと思っている。
パノス・コスマトスは天才である。この映画は多分、10人観たら8人は首を傾げると思うが、私は拍手喝采を送った側である。

ラストは、エヴァのシンジくん並のニコケイ最高の笑顔で神話になるよ!

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