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薄味ロード・オブ・ザ・リング『ローハンの戦い』

『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』を鑑賞する。

以下、ネタバレ全開で書く。

入場前、映画館はお客さんが山のようにいた。ちょうど、『ライオン・キング/ムファサ』だとか、『忍たま乱太郎』だとか、『はたらく細胞』だとか、そういう人気作が全て一気に入場開始していたのだ。

まさか、『ローハンの戦い』にこんなにお客さんが……!と、思っていたら、普通に私含めて3名だった。てゆーか、日曜日のお昼、しかも年末に3名ってやばすぎじゃねーの?

吹替版である。監督は神山健治。

まぁ、私は『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズは大好き、ローハン、といえば、『二つの塔』では攻城戦があったね、あれはペレンノール野の合戦よりも好きだな〜。

で、今作は、あの、『ロード・オブ・ザ・リング』よりも200年ほど前の話であり、『ロード・オブ・ザ・リング』要素はそんなに出てこない、サルマンが出てきたり、ガンダルフについての言及はある、また未来の指輪戦争に向けての不穏な匂いがするくらいだ。

で、今作は、人間たちの国であるローハン、そのローハンの評議会において、ローハンの西境の領主のフレカが、息子のウルフとローハンの王ヘルムの娘であり姫君のヘラと結婚させようと進言する。
で、ヘルムとフレカが何か口喧嘩になり、フレカはヘルムを煽る煽る。煽られすぎて、ついにタイマンになるのだが、そこでヘルムはフレカを殴り、一発いいのを喰らったフレカは死んでしまう。
「し、死んでる……!」と狼狽するウルフ、ウルフだけに。
で、「え……、儂、一発殴っただけなんじゃが……。」と、素で謝らないヘルム王、この下りは超展開に私は笑いそうになった。
そもそもヘルム王は筋肉の塊で、超人ハルクのようなのだが、まぁ、作中最強の戦士であり、最終的には仁王立ちで死亡するが、そこが今作の一番の笑いどころかもしれない。
で、ヘルム王は性格が悪すぎて、一生懸命姫の護衛をしていた甥っ子を臆病者と罵ったり、最悪な筋肉野郎なのだが、ウルフさん、もちろんこんなクズ王を許すわけにはいかず、淡々と復讐計画を進めていく。

で、今作、ウルフさんは津田健次郎が演じているのだが、なんというか、負け犬感(ウルフだけに)が出ていて、すごくいい。
ウルフさんは、そもそもヘラ王女の幼馴染で、ガチの真剣で稽古するほど仲が良い。まぁ、彼女の攻撃で片目をやられても、それでもヘラが大好きだ。
なんたって、このヘラがすごく美しいし、気高い感じで、素晴らしい。とにかくヘラの美しさを堪能する映画であり、小芝風花さんの演技はすごく上手かった。
それから、市村正親演じるヘルム王も、今作はシェイクスピア的な感じもあるので、こう、舞台的な演技が映えるので、ピッタリ。全体的に、やっぱりお芝居、舞台畑の人は声優が上手い。で、無論他の声優は大御所ばかりで上手い上手い。

ヘラはすごいキレイで、まぁ、ヘラでもっている映画。

で、今作、ヘラには二人の兄貴がいるのだが、それとヘラの従兄弟、彼らのキャラが若干被っており、誰が誰かわからない。然し、ヘルム王への怒りを募らせて、かつ、自分の恋心が届かないウルフさんはもう自暴自棄になり、ローハンを攻めて、兄貴二人をぶち殺してしまう。そんなことをしたら、もう完全にヘラの心などつかめるはずはないと思うだが、然し、まぁ、戦国時代みたいなもんだ、ウルフさんは、最早自暴自棄、最近のプーチンのように、腹心であるターグ将軍に、「あんな土地に固執することはありません、部下のことを考えて下さい!」と窘められると、「うるせぇんだよ!俺はもう止められねぇんだよ、引き下がるわけにはいかないんだよ!」的に意固地。
まぁ、損切り、と、いうか、意固地になる、プライド、自尊心、というのは厄介で、傍から見ると、余計にダサいのだが、本人は半分わかっていても止められないんだよね。

こうやって見ると、ちゃんと描き分けや特色、それに家族感もあって、いい感じなのだが……。

このターグ将軍、毎回毎回、ウルフさんに助言する→ウルフさん、その反対のことをする、的な、こう、従者と主人、的な、うまくやれば漫才のネタで使えそうなくらいの展開で、まぁ、笑えてくる。

どうも小物感が消せないウルフさん。

で、今作は、基本的には映像はすごくキレイだし、話はまぁそんなに脈絡はないが、魅せるシーンもあるのだが、どうにも薄味、やはり、絵のテイスト、あれが、如何せん、どうしてもジャパニメーション的な感じで、重みがないんだよな……って感じで、オークとか、オリファント(ムマーク)とかが、なんというか、こう、絵柄も相まって、すごく薄く感じる、やっぱり、ああいうクリーチャーは、クリーチャーに相応しい絵があって、今回の絵は、ヘラはもちろん最高にかわいいが、それ以外は、どこか日本の漫画的で、やっぱり世界観に合っていないような気がする。
それと、なんか、ヘラが髪色と服装のせいで、だんだんと、『FF13』のライトニングさんに見えてくる。

ヘラとライトニングさんはカラーコーディネートが同じなんだよ。

そういえば、最近、Amazonプライムでパゾリーニの『王女メディア』を観たのだった。

いきなりコントみたいなケンタウロスの特殊メイクをしたおっさんが息子に、「お前は俺の息子じゃない。驚いたか?実は〜」と、息子も観客も置いてけぼりの話を延々と始めるのだが、王女メディアはギリシア悲劇のメディアをベースに撮られていて、なんというか、まぁ、話の筋はさっぱりわからない映画なのだが、と、いうか、前知識や観た後に調べないとよくわからない映画で、難しいのだが、而も、台詞も極端に少なく、前半、生贄の儀式、的なシーンが延々と続き、そこで、眠たくなってきたところで、その少年が斧でバラバラになるスプラッターで、まぁ、同性愛者的なシーンも多い映画、マリア・カラス唯一の映画とのことで、重要な作品かもしれないが、何が言いたいのかというと、これに出てくる古代の都市、つーか集落が、ローハンを少し思い出させたのだ。

で、最後、お客はほぼいないわけだから、基本的には私一人のときは、スタッフロールは即退席するのだが、本日は最後まで観た、映画館で、誰もいない劇場で、延々と流れるスタッフロール、全員出たら途中で打ち切るのかもしれないが、そんなの悲しすぎる、で、観ていたら、これがめちゃ長い、なにせ今作は2時間14分もある映画だ、何をそんなに長く話す必要性があるの?って内容の話だったが、指輪物語の映像作品は常に長い長い。で、この映画、スタッフロールが10分はあって、クソなげー、途中で後悔して、出ようかと思ったが、逆に、なぜこのタイミングで出る?って思われそうで出にくくなる、まぁ、言うて、客は他に一人(もう一人は早々に退席)、なので、この人にどう思われるか、それだけなのだが、然し、もう、待つ、終わるのを待ち続ける、そして、最後に、バーナード・ヒルの名前が。あー、今年亡くなったのか、ローハンの王であり、タイタニック号の船長。
それから、声優オリジナルでは、ミランダ・オットー(エオウィン姫)も出ていた。懐かしいなぁ。

基本的にローハンの王は人の話を聞かない。

まぁ、今年の映画納めとしては、まぁまぁ楽しい時間を過ごせた。
なんだかんだ文句を言いながらも、十全に楽しんだのである。

で、今年映画館で観た私のランキング。

2024年度映画館で観た作品ランキング

1位 雨の中の欲情
2位 エイリアン:ロムルス
3位    異人たち
4位 マッドマックス:フュリオサ
5位 本心
6位 バッド・ボーイズ:RIDE OR DIE
7位 ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
8位 インフィニティ・プール
9位 DUNE Part2
10位 オッペンハイマー
11位 ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い
12位 グラディエーター2:英雄を呼ぶ声
13位 八犬伝
14位 十一人の賊軍
15位 ぼくとパパ、約束の週末
16位 めくらやなぎと眠る女
17位 ボーはおそれている
18位 箱男





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