
しみけんさんの不動産投資トラブルを考える
人気のない物件を
— AV男爵しみけん (@avshimiken) February 13, 2025
人気がある物件に見せかけて売り抜く手法
に引っかかりました②
予防策は
特約事項に「レントロールに入居者の退去を記載、売主に表面保証/レントロールに間違い無いです」と記載させておく。
こんな想いをしない人が1人でも減りますように。😢
SNSなどで話題のタレント「しみけん」さんが、不動産取引におけるトラブルを公表した。購入予定の一棟アパートで“ほぼ満室”とされていたはずが、決済直前に入居者の大半が退去を申し出たというものである。退去予告を知らされないまま契約が進み、手付解除の期限を過ぎた後に重大な事実が発覚した。この一連の出来事を受け、しみけんさんはSNSを通じて警鐘を鳴らし、多くの反響を得ている。本Noteではしみけんさんをテーマに不動産投資について考える内容となっている。
「売買契約直前に退去多発」の経緯
まずはじめに、しみけんさんは、これまで都内のワンルーム投資など複数の不動産取引経験を積んできた。今回、新潟県にある木造アパート一棟物件を現金一括で購入することを決断し、表面利回り13%超という高利回りと、大学近くという立地から学生向けの賃貸需要が見込めると判断したという。
ところが、物件引き渡し(残代金決済)を目前に控えた段階で、仲介業者から「入居者の大半が退去予定になった」という連絡があった。8戸中6戸が埋まっていたはずなのに、半数以上が出ていく見込みとなるため、利回りが大幅に下がってしまう。しかもこの連絡があったのは、手付金を放棄しない限り契約を解消できなくなる期限を過ぎた後であり、しみけんさん側は非常に不利な状況に置かれることとなった。
売主側が退去を知りながら説明しなかった疑惑
後日判明したのは、退去予告が1月中にすでに出ていた可能性である。売主や管理会社が「契約締結後に初めて知った」としていたが、実際には契約前から退去が確定していた事実を示す証拠が出てきたとされる。しみけんさんは、「退去予定を知っていながら買主に伝えなかったのではないか」との疑いを強めており、重要事項にあたる情報を意図的に隠匿したのではないかと問題視している。
「契約不適合責任」「詐欺」の可能性も
しみけんさんは現在、弁護士や司法書士などの専門家に相談し、法的な手段を検討していると明かしている。こうしたケースでは、民法上の契約不適合責任や悪質な場合は詐欺罪を問う可能性がある。特に投資用不動産では、家賃収入や入居率が物件の価値を左右する大きな要素であるため、退去予定の隠蔽行為があれば損害が大きい分、売主の責任も重大になりうる。
満室偽装や違約金ビジネスの危険性
今回の件により、投資用物件でたびたび話題となる「満室偽装」や「違約金ビジネス」の存在が再び注目されている。仲介会社や売主が、高利回りに見せかけるためダミー入居者を用意して物件を満室化し、決済前後に退去が相次ぐというトラブル事例は以前から報告されている。特に、売買契約の途中で問題が発覚し、買主が解約を申し出た場合に、高額の違約金を得ることを目的としている悪質業者も存在するといわれる。
このような手口にはまると、買主は手付金や違約金を失い、想定外の損害を被ることになる。しみけんさんも今回、契約金の放棄リスクと、期待していた利回りが得られなくなるリスクとの板挟みに陥ったとみられる。
トラブル回避のためのポイント
しみけんさんの告発をきっかけに、本Noteの読者に警告したい注意点は以下のとおりである。
現地確認を怠らない
遠方であっても必ず物件を直接見る。郵便受けや窓の様子などを確認して、本当に居住者がいるのか把握する。近隣の不動産業者や住民にも可能な範囲で情報収集を行い、短期間での所有者変更など不審な点がないかリサーチする必要がある。退去予定を文書で確認する
契約前にレントロール(各住戸の家賃・契約期間などの一覧)を詳細にチェックし、「退去予告が出ているか」「入居時期が不自然ではないか」を確認する。売主・管理会社へはメールや書面で「退去が出ていないか」を問い合わせ、証拠を残すことが肝要だとされる。契約条項を綿密にチェックする
投資用不動産の契約書には、満室かどうか・退去予定などが重要な要素である旨を明記しておくことが望ましい。また、違約金・手付解除の規定がどのようになっているかを理解し、万が一のときに大損しないよう調整することが重要である。不安があれば専門家に相談する
ローンの審査や決済日程を理由に急かされる場合でも、疑念があるなら早めに弁護士や信頼のおける不動産コンサルタントなどへ助言を求めるべきである。「今決めないと買えない」といった言葉に流されず、冷静にリスクを検討することが投資トラブル回避の大前提となる。
SNSの反響と広がる波紋
しみけんさんのSNS投稿は、公開後急速に拡散され、不動産投資経験者をはじめ一般層からも「これは悪質すぎる」「許せない手口だ」という批判や、「自分も物件購入時に似たような疑惑を抱いた」「田舎の高利回りアパートにはこういうリスクがある」といった体験談が寄せられている。
一方で、一部には「利回りが高いおいしい話に飛びついた面もある」「しみけんさん側にもリサーチ不足があったのではないか」とする声もある。しかし、しみけんさん本人は「リスクは承知していたが、退去予定の情報が把握されないまま契約を進められたことが問題だ」としており、物件の価値を大きく左右する事実が買主に告知されなかった点を強く批判している。
まとめ
今回のしみけんさんの不動産投資トラブルは、投資用物件における代表的なリスクが改めて可視化された事例といえる。満室で高利回りを謳うアパートが実は一時的に人を住まわせていただけで、契約直前に退去が発覚するというケースは、投資家の間では以前から警戒されてきた。
しみけんさんは現在、残代金の支払いを留保しながら弁護士の力を借りて交渉に臨む方針である。もし売主側の不実告知や詐欺的行為が認められれば、契約解除や損害賠償請求へと発展する可能性もある。最終的な着地点は今後の法的手続きや協議の結果次第だが、本件を教訓として、不動産取引を行う際には十分すぎるほど慎重な調査と情報確認が求められる。
不動産投資は“ギャップ”が大きくなるほど高利回りが期待できる一方で、そこに付け込む悪質な業者が少なからず存在することも事実である。「うまい話には裏がある」との原則を胸に刻みつつ、現地視察・契約書の確認・信頼できる専門家の助言という三つの柱を徹底し、トラブルの火種を早期に排除することが何より重要といえよう。
参考情報
不動産Gメン滝島氏との対談動画、こちらもチェックしていただきたい。