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第60回 これからの仏教① 求道か救済か!?
私はこれまで、「法隆寺貝葉写本」の新規翻訳の結果明らかになった記述内容と、「スッタニパータ」の記述内容との比較検討から、釈尊が実践・成就した「悟り」と弟子達に伝授した「教え」の復元を試みてきました。
その結果は、恐らく、仏教者・仏教徒を自認する人々に、すんなり受け入れられることはないと思います。
2500年の長きに渡り、言葉(思想、経典)・儀式(祭礼、葬儀)・習俗(法事、法要)・遺物(遺
第59回 悟るのに、信仰心は必要か?
「悟り」や「悟る」は、仏道修行の最終完成形を表わす仏教用語です。しかし、最近は、日常の色々な場面で安易・安直に使われ過ぎていて、仏教本来の深遠な意味が失われています。
といっても、「悟り」「悟る」という言葉に対して、現在の仏教界で明確な定義付け意味付けが合意されているかというと、甚だ疑問です。
というのは、釈尊が「悟り」を開いて仏教が始まったことははっきりしているのですが、肝心の「悟り」
第57回 消された章句、「是空法 非過去非未来非現在」!
鳩摩羅什訳「般若心経」(魔訶般若波羅蜜大明呪経)に有って、玄奘訳「般若心経」(般若波羅蜜多心経)に無いもの。
それが、「是空法 非過去非未来非現在」の章句です。
非常に重要な教えを説いているのに、なぜか、鳩摩羅什から約250年後の玄奘訳「般若心経」では、この章句が削除されて無くなっています。
今回は、なぜ「是空法 非過去非未来非現在」の章句は削除され無くなったのか、その理由について考
第54回 復元ポイント「紀元前485年」の仏教⑥ 身体の死と葬送
現在の日本で、仏教がその存在感・存在意義を発揮する最大のイベントは、葬式です。
時節柄、家族葬や近親者だけで見送る葬式が多くなっていますが、仏教と葬式が強く結び付く構図そのものは変わっていません。
では、仏教と葬式が強く結び付く現在の葬送儀礼は、釈尊の教えに基づくものなのでしょうか?
釈尊の最後の旅の様子を描いた大パリニッバーナ経(大般涅槃経)に、釈尊が亡くなって火葬に付され、遺骨が分
第53回 復元ポイント「紀元前485年」の仏教⑤ 出家と在家
本シリーズ第31回で、「釈尊は、二つの道しか説かなかった!」という記事を書きました。出家修行者向けと在家信者向けに、異なる二つの教えを説いていたという記事です。
双方に共通する教えというのもありますが、最古の仏教経典「スッタニパータ」には、出家修行者に向けて説かれている教えと、在家信者に向けて説かれている教えとが、明確な区分なしに雑然と混在しています。
「スッタニパータ」という名称自体が