特攻の拓全巻レビュー 14巻 【伝説の増天寺SUPER LIVE!】
1994年10月17日発売
主な出来事
・柿ノ木公園の大乱闘。武丸vs天羽の最初で最後の闘い!
・増天寺に暴走族500人くらい集結!何すんの…
・増天寺LIVE唐突に開演!桜宮、超絶テクを見せる!リョーも特攻服で乱入!
・トリはもちろん天羽時貞!眩暈がするほどのセットリストを完遂!
14巻は、一般受けはしないだろうと思われるものの、「特攻の拓」伝説巻のひとつ。
何が伝説と言って、大勢の暴走族が寺に集まってロックフェスティバルを開催するという、凡人には想像すら許されない描写がされるからだ。これまでケンカやバイクの話ばかりだったのに、桜宮が登場したあたりから急にみんなロックンローラーになっていった。
しかしこのイベント、真偽はわからないが事実をベースにしているという噂もネットで見た。小規模なものならあってもおかしくない。昔Xもなぜか東大寺でライブをしていたような記憶がある。寺とロックというのは妙に相性がいいというのも何となくわかる。
しかし今もし実際にやったらYouTubeにアップされ、とんでもない大炎上となるだろう。Yahooコメントに「近所迷惑」「そのエネルギーをもっといい方向に」「住職の判断に疑問」といった批判の嵐が並ぶのが目に浮かぶ。そういう意味では生きづらい世の中。たまにはこれくらい人目を気にしないことをやってもいいじゃない、と思わないでもない。
柿ノ木公園でオールスター集結!この公園行ってみたい
・バス停をふりかざして天羽に突撃する武丸。拓の助けで間一髪かわす。一緒にいたマー坊はジャンピングフック(?)で武丸を吹っ飛ばす!
・武丸と天羽の勝負は興味深いが、あまり詳細な描写はない。スピードでは天羽が圧倒しているよう。さすがの武丸も”変身”しないと厳しいか。
・マー坊は天羽と一緒に武丸に襲い掛かる!武丸、作中で唯一と思えるほどのピンチ!
・しかしなぜかマー坊が吹っ飛ぶ!登場したのは龍也!武丸が劣勢と見て、マー坊を攻撃したのだ。龍也らしい。龍也は小説Version32でも男気を見せる。しかしこれなかなか面白い判断。天敵武丸を潰してしまうという選択肢もあったか。まあ龍也はゼロヨン大会で天羽にも恨みあるからな。
・そしてバトルは武丸&龍也vsマー坊&天羽の構図に!これ滅茶苦茶いい勝負になりそうだね。と思ったら武丸は龍也を攻撃wちょっと残念だけど、確かに武丸は龍也に助けられるわけにもいかないな。いろいろ難しいね…
・この後、魍魎の久保島&エージ、ロードスペクターの都築&デブ崎他、さらに狂音烈士隊まで乱闘に参加。ふつうの公園でこんだけの男子高校生が乱闘しているのはきっと壮観だろう。
・久保島は勢いよく乱入した割には速攻で龍也に〆られ引きずられ、血を流して失神している。エージは拓に一発入れたものの、天羽とマー坊に連続で蹴りを入れられノーインパクトのまま終了。前巻の土屋&相賀もだけど、No2って本当に辛い立場だよね…
・柿ノ木公園乱闘は、拓の主人公特権をいかんなく発揮した偶然の連続により強制終了。龍也のニンジャで宙を舞い、パトカーを燃やすなど、残念なご都合主義の連発となってしまったwこの辺カメレオンの方がはるかにうまいな…
急にお寺に族が集結!!なんだこの超展開!?
・柿ノ木公園から数ページも立たず、急に「ロックフェスティバル」が鰐淵氏により開催されることになっている。なんだろうかこの怒涛の急展開は。その強引さ嫌いじゃないぞ。
・見開きで増天寺に集結する族の様子が見える。この2ページ非常に興味深い描写が多い。
-ヤンキーが寺のいたるところにウンコ座り。ぜったいタバコの吸い殻だらけになってるけどいいのか住職。敷地の前の道路も族車だらけ。
-入口のところで交通整理しているやつがいる(おそらく夜叉神)。「外道はこちらです」とか場所が決まってるのか。
-鬼雷党メンバーが少なくとも11名は確認できる。鬼雷党3名疑惑は無くなった。
・リョーはギター初心者っぽいが、特攻服姿でステージに上がろうとしている。大丈夫かなあ…
・そうこうするうちにライブ開演!ほんとにやるのか。ちゃんと司会者までいるよ。ファーストステージの「デスメタルグルーヴ」はアクセルローズみたいなカッコしていたが、族のみんなにモノを投げ入れられ、あっという間に姿を消してしまった。バットやゴミを本堂に投げるんじゃないw
・2組目は桜宮率いる「Truth」。ベースとドラムは外国人かな。なんなんだこいつらはw
・同じころ、天羽は特攻隊の辻村たちと増天寺に向かう。拓の「時貞君のギター好きだな」が心を動かしているようだ。天羽みたいなタイプは意外とこういうストレートな表現に飢えているのかも。
・天羽たちは獏羅天会長石動に行く手を阻まれる。石動一派くらい何とでもなるはずと思われたが…まさかの辻村の裏切り・後ろからの不意打ち。結局天羽はボコボコにされてしまう。これ辻村には同情できる。天羽が気まぐれに喧嘩を始めたり止めたり、下の者を振り回しすぎた。辻村たちは明らかにSOSを放っていたが天羽は無視してしまった。これでは裏切られても仕方ない。
・天羽は獏羅天にとらえられ、指を飛ばされる寸前。そのとき登場したのは…ヒロシ&キヨシ!拓のピンチでの登場と言い、このふたり本当にお助けマンとしていつも完璧!ヒロシキヨシは獏羅天を圧倒。最近石動いっつもやられてんな。さすがに部下もついてこなくなるだろう。このスキに天羽は増天寺に向かう。
・増天寺LIVEは桜宮バンドonstage!ボーカルでヘーゾーが登場!曲はエアロスミス!!素人が歌うと悲惨なことになるけど大丈夫か?!
・リョーがステージに乱入!ひゃあ~大丈夫か!?曲はE.YAZAWA!?また急に変わったね。桜宮はギターのレベルを上げ、リョーを潰そうとする!ってどんな勝負してんだw
・そして曲はジョニー・B・グッド。リョーはタカノリの助けを借り、アンプの大音量でなんとか逃げ切った、てことかな?いまいち詳細がわからんがw
・天羽は会場に到着するが運悪く天敵龍也と鉢合わせ!天羽「オレを行かせてくれ…」龍也は手を出さず、天羽を通す。この後のセリフ「デブ崎、伝えろ…ケンカになったらステージを守るのはロードスペクターだとな…」は滅茶苦茶小さいコマなのがもったいないくらいの名言だ。この辺なんだよ龍也のいいところは。男気溢れる常識人。
・天羽の登場で会場は騒然。天羽は拓に「オレのギターが好きだって・・・ありがとう」これは作中屈指の名シーン。天羽はこれまで天才だの龍神だの言われてきたけど、実は好きだとは言われなかったのかもしれないな。
・天羽はステージに立ち、桜宮&ヘーゾーと共演。一段上のテクニックを見せつける。曲はローリングストーンズとか笑
・そして締めは、新世界交響曲!!確かにラストとして完璧。ギターでどんな風に演奏するのか、これは聞いてみたい。そして演奏後、増天寺上空には「幻想の龍」が出現!天空へ舞い上がっていった…。龍が巻き起こした静電気でお寺にヒビが…あれこれ何の漫画だっけ。
・天羽はギターを拓に投げ渡し、ステージを去る。カッコよすぎだろ。
天羽の最後…こうなるしかなかったのか
・天羽はライブ後夜の街を疾走。ライブにより「解き放たれた」と実感している。ここからなんとか生きる術を身に付けてほしかったが…
・ベイブリッジで猫を避けようとして転倒。転倒後はまだ軽症のよう。しかし車道にうずくまる猫を助けようとしたそのとき、転倒した単車から漏れたオイルでスリップした車が迫る…
というところで14巻が終了。
14巻は唐突に始まった「増天寺SUPER LIVE」に尽きる。「特攻の拓」を象徴するイベントだろう。「作者がやりたかっただけ」なのは間違いないけど、マニアックな知識を織り交ぜながらの素晴らしいライブ描写となっていると思う。暴走族とお寺とロックンロール。こんな組み合わせは絶対に思いつかない。この読者を置いてきぼりに独走する展開が最高だ。そして天羽は物語の都合上、ここで脱落するしかなかった。喧嘩、単車、そして音楽でトップレベルの天羽がいては、他の人物が霞んでしまう。おそらく最初からこのような運命と設定されていたのだろう。
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