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「ワンルーム投資」は悪なのか。

前回投稿からだいぶ時間が経ってしまいましたが、先日ワンルームの売却を2件完遂してきました。

巷で言われている“ワンルーム投資はやめておけ”について実例と共に所感を述べます。

■ワンルーム2物件の売却を完了

先輩エージェントからご紹介頂いたお客様でした。
都内に投資用ワンルームを2つ所有されており、売却したいとのご意向。

物件情報をお預かりし、レインズや「楽街」(物件サイト)に掲載しながら各業者さんと価格交渉を行い、結果的に以下のような売却に。

両物件とも8年前に購入され、売却価格は購入価格を上回る水準です。

・物件①:売却価格3,000万円(表面利回り4.48%)※購入時:2,580万円
・物件②:売却価格1,450万円(表面利回り5.71%)※購入時:1,350万円

単純な差し引きで2物件合計で520万円の利益獲得となりました。
実際には8年間の家賃収入で結構残債を減らせていたので、仲手や譲渡税等を差し引いても、もう少し利益が残る計算となります。

「やめておけ」と巷で言われるワンルーム投資ですがこのお客様の場合は成功と言えるでしょう。

■成功要因

では成功要因は何かと言うと、まずもって時期ですね。
国内(特に都内)の不動産価格は直近11年連続で上がり続けており、特にこの2~3年の上がり方は顕著。

なのでこのタイミングで売却すればそりゃ利益は出るでしょ、というのは頷けます。

では単に時期のメリットを享受できただけなのかというと、もう一つポイントがあり、それが家賃UPでした。

これも不動産価格の上昇による恩恵の一つではありますが、両物件とも入居者の入れ替えや更新のたびに家賃を上げていました(更新時に上げるという力技はなかなかです)。

投資物件の売却価格は単純に「賃料を期待利回りで割り戻して」算出することが多いため、賃料UPは販売価格UPに直結します。

築年数を経るごとに期待利回りはディスカウントされ販売価格は落ちていきますが、今回はそれを補って余りある賃料UPを実現していた、というのが成功要因でした。

逆に言うと、それら2つ(「不動産市況自体が良い」+「賃料UP」)が無ければ、この短期間での成功は難しかったと思われます。

■ワンルームを買う場合の心得

しかしながら上記については、ワンルームのみならず不動産投資全般に当てはまります。

ワンルームだろうが一棟収益物件だろうが、市況が悪い時期に売ったり、経年と共に下落した家賃を基にした場合、売却価格は落ちます。

では殊更にワンルーム投資がやり玉に挙げられるのはナゼでしょうか。
それはワンルーム業者の売り方にあると思います。

ワンルーム投資の特徴としては、以下のようなものと考えます。

 ・少ない元手で開始できる(頭金10万円のみなどでOK)
 ・突発的な大きな出費(修繕費用等)が発生することはほぼ無い。
 ・購入諸費用を経費算入できる初年度のみ、節税効果がある
 ・インカムゲインは期待できない。多くの物件で月々数万円の赤字。
 ・築浅であろうが築古であろうが、購入後の約10年程度は残債割れするため売却できないと考えた方が良い。
 ・生命保険代わりには一応なる。(が、空室時には保険にならない。)

こんな感じかと。
短期売却で利益を挙げたり大きな節税メリットを享受できたり、という代物ではありません。

よく聞く「副収入になる」のも、ローン完済後(≒35年後)のことです。
それも家賃が下落する可能性は大いにあります。

それをあたかも節税効果が大きい、とか他人資本(=家賃)で残債を減らすことで売却益が狙える、というような売り文句で消費者を惑わせる業者が多いため、「こんなはずじゃなかった」という被害者が出て悪評が立つのではないかと。

基本的には、

「儲からないが長い時間を掛け、他人のお金(=家賃収入)でローンを返済して資産形成をする。且つ、銀行借入れでレバレッジが効き、自前の資金のみで行うよりも大きな資産形成ができる。しばらくは売れないので、じっと我慢して持ち続ける。」

というスタンスで、取り組み是非を検討すべきだと思います。

投資というよりは、リ〇シ―さんが言う「月々〇万円の掛け金で資産形成」的な解約しづらい長期積立保険に近い認識で買うのが一番イメージとしては合ってるでしょう。

■向いている人

基本的にはオススメしづらい商品であることは確かです。

一度買うとしばらく売却できず、例えば自宅を購入したいとなっても借入枠が食われて買えないようなことも起こりえます。

しかし、都心で長期空室リスクの低い物件を選定すれば、「ほぼ何もしないで資産形成が進む」のも事実ではあります。めっちゃ時間かかりますが。

一棟収益物件と違い、大きな手元資金の準備や突発的な大きい修繕なども無い。

また不動産は流動性が低いことの裏返しとして、価格変動耐性が強く、株のように価格が乱高下することはありません。

先月の株価暴落&急回復でメンタルが揺れた人がいると聞きますが、生活の安定を得るための資産形成だったはずなのに、日々の価格変動に一喜一憂しなければならないとすると本末転倒ではあります。

長期積立として、やっていることを忘れるくらいの感覚で所有できる人には向いているかもしれません。

せっかく人生を豊かにするための資産形成なので、自身の性格にあった商品を手に入れましょう。

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