ブックハンターセンダイのこと
宮城県仙台市では、いろいろな街のイベントが開かれています。
音楽を愛するひとたちによる、定禅寺通りジャスフェスティバル。
自由に芸術を発表する無審査の美術展、アンデパンダン展。
ハンドメイド作家によるクラフトフェア。
ですが、アマチュア文芸作家による、文芸を愛好するひとのための「宮城・仙台」を銘打ったイベントは確立されていません。
近年、文芸イベントとしては、〈文学フリマ〉が東京を起点として、全国百都市構想として広がりを見せています。東北地区としては岩手県盛岡市が文学フリマ会場として定着しました。
文学フリマ以外の文芸イベントとして、ほかに〈静岡文学マルシェ〉〈尼ヶ崎文学だらけ〉〈Text-Revolutions〉〈zine展in Beppu〉〈ちょこっと文芸福岡〉などが活発に発展しています。
東北の宮城から、「いいなあ。すてきだなあ」と正直うらやましく思っていました。
すてきなものは、遠くにしかないのでしょうか?
いえ、手の届く範囲に、すてきなひとはいて、すてきなものはあるはず。
宮城で活動する文芸作家が作品を発表し、集まる場がほしい。
「ないなら、つくろう」
それが〈ブックハンターセンダイ〉の始まりでした。
また、絵や写真などから刺激を受けて言葉や物語が浮かんだり、逆に物語から他の作品が生まれたりすることは、とても自然な相互作用です。
〈ブックハンターセンダイ〉が、文芸作家の発表のみならず、他の分野で活動するクリエイターまでもが交流する場となり、創造の化学変化を起こすものになったらいいなという、欲張りな青写真を思い描いています。
そして、ご覧になる方にとっては、宝探しをするように本探しを楽しみ、創作文芸作品への興味を持ってもらう機会となればと考えていました。
そこで、「おはなしの喫茶室」という屋号でほそぼそと活動していた かくら こうが、「ひつじの本棚*」千冬さんにお声がけし、仙台市にある「ギャラリーチフリグリ」いのうえ佳代子さんに色々ご協力いただき、
2019年9月8日、1TO2BILDGで第一回目を開催しました。
初開催でしたので、出店してくれる方はいるのか、どれくらいの方にご来場いただけるのか、設営が終わらない夢を何度も見たり、心配もありましたが、当日はたくさんの方が遊びにきてくださいました。相談にのってくださった方々、お手伝いいただいた方々のおかげだと思います。
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インディーズブックバザールへお越しの来場者の方からは
「みんな、本を全部自分で考えて書いてつくっているってすごい」
「子供の頃に絵本を描いてたのを思い出した」
「自分も小説を書いていて、こういうイベントが仙台にあればいいのにと思っていた」
「歴史好きの子におみやげにしたい」
という声が聞こえました。
出店者のみなさんの作品が、来場者の方の心に触れたのだと思います。
出張販売いただいたボタンさんの本棚は好評で、GALLERY ECHIGOの華やかなアート作家スペースには、作家さんを目当てに訪れる方もいたようです。
一箱古本市は来場者との間だけでなく、出店者同士の交流も盛りあがっていました。
こじんまりとした会場で、ひとつのブースが窮屈になってしまい、ご不便をおかけしましたが、「密接したレイアウトが距離を縮めた」という声も聞かれました。
開場内を巡って「なに(だれ)が」「どこで」「なにをした」というカードを書いて集めて、偶然生まれる物語を楽しむ企画では、大人から小さいお子さんまで、ヘンテコだったり、意外に筋の通った一文になったりするのを楽しんでいらっしゃいました。
コトバとコラボの展示風景を見に来られた方がいれば、一箱古本市を心待ちにしていた方、インディーズブックバザールを目指して開場待機していた方もいました。
定禅寺ストリートジャズフェスティバルと合わせて楽しみ、さらに仙台市内の古書店やブックカフェ巡りをされた方もいたようで、色々な可能性が見え隠れしているように感じました。
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運営の不慣れから、出店の方にはご不便やご迷惑をおかけし、底の底まで落ち込みましたが、このイベントを通して、「次回イベントを手伝いたい」と言ってくれる新しい仲間に出会えました。
最初はひとりから始まって、ふたりになり、また増えて……仙台駅前のAERで宮城のものづくり作家の集まるイベントを開催している「奇数アトリエ」さんから、「9月にコラボ開催」をお声がけいただき、2020年は開催日数も増えて、増えた仲間の分、アイディアを寄せ合っておもしろいことをできそうだ! と企画を練り、決めていた頃。
中国武漢でのCOVID-19感染爆発、世界への感染拡大。
感染拡大の状況、社会情勢など、様子をみておりましたが、7月。
私たちでは、出店いただく方やご来場いただく方、更にはその周りの方の安全を保障することが難しいと判断し、実際のイベント開催を中止することを決めました。
楽しみにしてくださった方や、関わってくださっているみさなまには、大変申し訳なく、心苦しい思いで一杯です。また、ものすごく悔しく、むなしさも感じました。
それでも、どんなときも、おもしろさを見つけて、楽しんでやっていきたいと思います。
そこで、こちらnoteにアカウントを取得し、noteも使ったウェブイベントを行うことにしました!
ウェブイベントの名前は「ブクハンプチ」
略して「ブクプチ」
開催日時は9月11-13日の予定です。
◉いろいろな本をハントできる「インディーズブックバザール」
◉みなさまからの本の情報をもとにつくる「ブクハン図書室」
◉架空の本について読んだつもりになって語り合う「架空読書会」
◉みんなでつくる診断メーカー俳句「575 言葉遊び」
……などなど。それぞれの詳細についてはのちのち。
本や言葉を通じて遊ぶ3日間!
現在進行中のウェブ企画「アートとコトバのコラボリレー企画 えがいて かいて またえがいて」とともに、ちいさなブクハン「ブクプチ」をお楽しみいただけたら幸いです。
(おはなしの喫茶室 かくらこう)