しくみづくりと合理的配慮のハナシ
こんにちは。就労継続支援ビルドの秋田です。
人を責めるな、しくみを責めろ。
バズったツイートが目に入って
それはミスが起きにくいシステムを作る上で根性論は禁止。というものなのですけれど。(知らない人のツイートを勝手に貼るのも、まとめサイトを貼るのも好みじゃないので、気になる方がもしいらっしゃったら質問してください)
ミスやトラブルが起きたときに、「気を付けます」「頑張ります」は禁句です。
ミスやトラブルが起きないようなシステムを作っていきましょう。という内容でした(意訳)。
これはアレだ、トヨタの【人を責めるな。しくみを責めろ】のやつだ。
となったのでした。
ミスが発生したということは、そもそもミスを犯した個人の問題ではなくて、その業務のシステムに何かしらの問題があるということです。システムに問題があるのであれば、同じ状況で他の人もミスしうると考え、システムの見直しが必要となります。
たとえばビルドでは、指定就労継続支援事業に求められる種々の書類のうち、スタッフ全員が関わるものについては書き漏れを起こさないような見た目を作ったり、手作業を排除してスクリプトを用意してもらったりして対処します。
対処を聞かれて「気を付けます」「頑張ります」になる人
ところで、発達障害の特徴がある人たちが何かしらうまくいかない出来事に直面したとして
「今後、どうしたらいいと思いますか?」と尋ねたら、「気を付ける」「頑張る」という返答であることは多いと思います。
これまでの失敗経験の積み重ねからじっくり向き合って考えることが辛くなっていたり、経験値が少なくて対策の選択肢が少ない場合があります。
一方で、何かが起きた原因や理由を考えること自体苦手なタイプが一定数存在するのですよね。
どうして苦手かというと、目標達成のために計画を立てて順序だてて実行することそのものが得意ではないことが多いからです。
リハビリ職の知人にADHDタイプの行動を説明していたら、高次脳機能障害でいう「遂行機能障害」に近いのでは?と言われました。
遂行機能障害は前頭葉が損傷したときに生じる障害で、
目標の設定
計画の立案
目標に向かって計画を実際に行う
効果的に行動を行う
という部分が難しくなるそうです。
具体的には、自分の行動を振り返って、修正や自己評価をして「効果的に行動」することが苦手です。
一度起きたことを振り返って、次はここを改善してみよう、というようなことですね。発達障害の場合は、ワーキングメモリの低さも影響があります。起きたことを振り返るには、記憶しておかないといけないですが短期記憶を想起することが難しい場合があります。
ルポライターの鈴木大介さんの著書「されど愛しきお妻様」では、ご自身が高次脳機能障害になって、発達障害の特徴を持つ"お妻様"のことを理解できた流れが記されています。
高次脳機能障害と発達障害、原因は違えど、似たような状態になることがあるということです。
本人ができるようになることがゴール?本人が自信を持つことがゴール?
さてここで
「なぜこうなったのだろう?」を考えることが苦手なAさんがいたとして…
何かしらのミスやトラブルが発生した場合
Aさんに、今後の対策を自分で考えてもらうことが「支援」になるのかどうか?
周囲がシステムの見直しを行うことが「合理的配慮」になるのかどうか?
考えてみてください。
支援とはなにか?本人のゴールは何か?を考えると、一概には言えないですよね。
障害は、人と環境=システムの関係性の上で生じるものです。
環境を整えることで失敗が減り自信をつけることができれば、自発的に行動できるようになるかもしれません。
何度か「対処」を経験することで、こういうときはこのように対処するものだという経験を蓄積することができて、次回以降は「どうしたらいいと思いますか?」の質問に自分で考えた対処を提案できるようになるかもしれません。
なんでもかんでも自分でなんとかしよう!となっているなら、周囲が助けてくれる経験をしていただくのも大切なことですよね。
人にアプローチするのか環境にアプローチするのか?常に考えていきたいものです。
今日のイラストは、利用者のアラトさん(仮名)作、図書館です。
図書館で遊んでいる猫…かわいいですね。
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