メンタル不調単語帳があればいいのに、というハナシ
就労継続支援ビルドには、成人期になってから初めて「発達障害」と診断された方が多く通われています。
ちなみに現在の平均年齢が33.4歳。男女比ほぼ5:5
障害種別の割合としては、主病名が精神疾患の方が6割で発達障害単独の方は3割程度ですが、併発を含めるともうちょっと多い、という状況です。
いわゆる"コミュニケーションの障害"と説明されることが多い発達障害ですが
具体的にどの部分が?と説明を求められると難しいですよね。
・空気を読むのが苦手
・暗黙のルールがわからない
・たとえ話や婉曲表現が通じづらい
あたりが、困りごととして表出されることとしては多いでしょうか。
ご本人のコミュニケーションの苦手さも様々で
「相手の反応のパターンが予想できないので話しかけられない」
「複数人の会話の流れが読めなくてどう入っていっていいかわからない」
「耳からの情報を捉えるのが苦手で相手が何を言っているかわからない」
という理由から、他者との会話に苦手感がある方が多いです。
また、物事の優先順位をつけることが苦手なので、話す内容も同様に
いわゆる「話をかいつまむ」ことが苦手で、1~10まで全部説明するか、唐突に3だけとか9だけ言って「???」という状況になったり、逆に気付くと15…20…55…と延々とお話してしまったり。困り感は人それぞれです。
この、かいつまむことが苦手な方に多いのが一言だけ言って済ませようとするという"対処"です。
話す内容の要点をつかむことが苦手なので、どこを伝えたらいいか自分では判断できないこともあって結論だけ伝えるパターンに陥るのですよね。
いわゆるゼロ100思考が影響していると思います。
もちろん、一般的なコミュニケーションでは結論だけ伝えることで事足りる場面も多いです。
忙しい上司にお伺いを立てる際の声掛けワード、一番いいのは?という記事で、「最初に要件を伝える」というテンプレを紹介していました。実際、急に結論や自分の言いたいこと(この記事の例だと「お話があります!」)だけを伝えると、相手は「何事だろう?」と戸惑うことが多いんですよね。
メールやお手紙に「定型文」があるように、実は話し言葉にも定形文が存在します。上記の記事で紹介されていた「部長、○○の件で、いま1分だけよろしいですか?」もそのひとつです。
ビルドでは、利用者さんに対して「こんなときはこのように声をかけましょう」という具体的な方法をお伝えすることも多いです。
たとえば…
B型事業所なので体調が不安定な方も多いですし、お休みすること自体は全く問題が無いのですが「休みます」だけだと連絡としては不十分です。
就労支援であるので、実際に会社で働く場合も想定して「お休みの電話連絡ではこのように伝えましょう」という定型文をお伝えします。
例)
おはようございます。○○です。昨夜より熱を出しておりまして、申し訳ありませんがお休みをいただけますか?
ちなみに検索したら、例文つきで紹介しているところがけっこう出てきますね!
個人的には、株式会社LIGさんの過去ブログですが仕事に行きたくない!そんなあなたに「欠勤理由カレンダー」を作りましたが好きです。2016年のものですね。古い。
話題を戻します。
メンタル不調を抱えている方が多いビルドですから、お休みの理由はそれぞれです。支援機関なので、欠席理由の聞き取りや通所再開に向けた助言を行う必要もあるので、「体調不良で休みます」だけだと情報が足りないんですね。
ただ、連絡するほうだって具合が悪くて休むのだから正直頭がまわりません。何て言ったらいいのかもよくわからないこともあるでしょう。障害特性の関係で、必要な情報が何で、どの部分を伝えると適切なのかの判断が難しい場合も多いです。特に、元気な時はまとまっていても不調な時は頭がうまく働かないということは多々あります。
というわけで、自分によくある不調の症状と原因などを整理し書き出した"単語帳"みたいなものがあるといいよね?ということを利用者さんと話しあっていました。
たとえばこんな感じ。
え?こんな理由でいいの?と思うものもありますよね。いいんです。まずは自分がどんな状態なのかモニタリングする意味でも書き出してしまったほうがいいんです。
「休みたい。なんて言って良いかわからなくて電話できない!」という理由で無断欠勤するよりも合理的な理由を伝えて合法的に(?)休んだほうがよっぽど気楽です。
こういう、単語帳とか
フローチャート形式にしておくといいんじゃないかな?などと考えてみました。
電話も日常会話も実は定型文があるので、まずはそこからスタートして、会話のハードルを下げていきましょう。
会社によって、欠勤連絡の方法にはルールがありますので就労後は就労先のルールを確認しましょうね。