MIDIでドラムテクニックを再現したい!

MIDIでドラムトラックを再現する際は演奏方法を再現することが重要かと思います。
ただノートを並べただけのトラックではつまらなく感じてしまうかもしれません。
同じように音符を並べて構成されている楽譜は、演奏者の解釈によりフレーズの中に強弱やテクニックが盛り込まれ、その人らしい演奏に仕上がります。
今回はMIDIトラック上である程度ドラマーのテクニックを再現し、人間っぽくトラックを仕上げる方法を考えてみましょう。

使用する譜面

今回は以下のような譜面をもとにして考えていきます。
構成としては3小節のエイトビートに1小節のフィル、最後にクラッシュシンバルで終わりとしています。譜面の中で明確に奏法の指定を行っている箇所は4小節目頭のフラムのみです。

フレーズの一例

MIDIトラックを作成してみる

まずはトラックを作成していきます。
初めからベロシティを調整しても良いのですが、慣れないうちはまずトラックの作成を終わらせられるよう頑張ってみましょう。
フラムの部分は親音符が小節の頭にくる必要があるため、3小節目終わりのタイミングでごく短い音符を入力すると良いでしょう。
トラックが作成出来たら一度聞いてみてください。
トラックを編集するたびに聞いてみるクセをつけておくと、大きく進めた後に失敗に気づいて大幅なやり直しをするというような事態を防ぎやすくなります。

ベロシティを調整してみる

作成したトラックのベロシティを調整してみましょう。
フラムの部分は子音符が非常に小さなベロシティとなることを意識してみてください。
主にエイトビートのハイハット部分のようなわかりやすいところから調整していきます。
エイトビートのハイハットベロシティの調整は基本的に表拍が強く、裏拍が弱いというような調整です。
ここまででもう一度聞いてみましょう。
だんだんとリアルなトラックになってきているような気がしてくると思います。

フィルのベロシティ

フィルにはビートのようなベロシティの正しい入れ方というものはなく、演奏者によってどこにアクセントを入れるか等の判断がゆだねられます。
今回のフレーズでも、フラム以外すべてフラットでも構いませんし、特定の音符だけ強くしたり弱くしたりしてもかまいません。
繰り返し再生しながら納得のいくフィルにしてみてください

様々なテクニックを使ってみる

ゴーストノート

規定のフレーズで人間っぽくするのであれば正直なところベロシティの調整のみで良いかと思いますが、ドラマーによってはフレーズに独自のアレンジを加えることがあります。
その一つとして、ゴーストノートを入れるテクニックがあります。
ゴーストノートとは、通常の音符より小さな音量で演奏される音のことで、ドラマーがビートをアレンジする際によく使われるテクニックかと思います。

試しにゴーストノートを挿入した譜面を用意してみました。
もちろんゴーストノートの入れ方はこれだけではないので、様々なアイデアを試してみてもいいでしょう。

ゴーストノートを挿入した例

ゴーストノートは定義としては小音量の音符ですが、スネアのゴーストノートの場合、クローズドロールの指使いを利用して演奏する事も効果的です。
そのように演奏するとよりゴーストノート部分がぼやけるので、より良く聞こえる気がしています。
MIDI上で再現する場合は小さく、短い音符を2つ程度入力してみると良いでしょう。
ノートが長いとあまりクローズドロールっぽく聞こえないので、できるだけ短いノートだと良いかと思います。

アップダウン奏法

ベロシティ調整の項目でも触れましたが、ドラマーがビートを演奏する際はアップダウン奏法というテクニックを使用することが多いです。
この奏法で重要な点は腕の動かし方にあり、ダウンストローク時は音量が大きく、アップストローク時は音が小さくなる特徴があります。
極端に音量を変化させるような奏法というわけではありませんが、これによりノリの良いビートが生まれるので、ドラマーとしてはぜひ身に着けておきたい奏法と言えるでしょう。
MIDIトラックで再現する際はベロシティを調整するだけですが、表拍を強くするか裏拍を強くするかで大きくノリが変わるので、どちらも試してみてください。

クレッシェンド

ドラムだけでなく様々な楽器でも用いられる用語で、テクニックというよりも強弱を示す音楽用語です。
MIDIトラックで再現する際はベロシティをうまく設定し、不自然に聞こえないようにしましょう。

ロール

ドラム演奏においてはオープンロールとクローズドロールがあり、フレーズにより使い分けられます。
MIDIトラックの場合はクローズドロールの打ち込み方を考えてみると良いかと思います。
実際の演奏でのクローズドロールは任意の回数バウンドさせる奏法と定義されますが、MIDIの場合は数値で再現されるものとなりますので、細かい音符を小さなベロシティで並べるというような方法で再現すると良いでしょう。
ロールを使えると様々なフレーズを作ることができますので、ぜひ試してみてください。

フラム

今回のフレーズでも指定していたテクニックですね。
親音符の前に小さく、短い音符を入力するだけの奏法ですが、これにより音符を強調することができます。
似たような奏法でドラッグという奏法がありますが、こちらは子音符が2打になっている奏法です。
様々な場面で使えるのでぜひ使ってみてください

ハイハットハーフオープン

ハイハットペダルをほんの少し開ける奏法です。
力加減の目安は人により違うかと思いますが、私はハイハットペダルを踏んでいる足の力を少し緩めるというようなイメージで調整しています。
MIDIトラックにおいてはすべての環境で再現できるものではありませんが、ハーフオープン用にノートが用意されている場合は使ってみてください。

イメージと違ってきたら

ここまでで様々なテクニックを紹介してみました。どのテクニックも有用なものではありますが、すべてとにかく入れてしまえば必ず良いフレーズになるというものではありません。
作成したフレーズには適さないというようなテクニックも出てくることでしょう。
聞いてみて何かイメージと違っているような気がしたら、どこがおかしいか聞いて、一度その部分を削ってみましょう。
そのうえで改めてフレーズを構成し、納得いくまで作りこんでいくと良いかと思います。
何かテクニックを入れておかしくなるようであればその部分はシンプルな構成にしてしまうというのも一つのテクニックだと思うので、シンプルなフレーズのアイデアも持っておくと良いでしょう。

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