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日銀の緩和転換で円急騰 ドル安の恩恵を享受する方法
バフェット太郎です。
日銀が金融政策決定会合で異次元緩和を転換し、長期金利の変動許容幅を従来の0.25%から0.50%に拡大するとの方針を決定しました。これは事実上の利上げを意味します。
黒田総裁は前回(10月28日)の金融政策決定会合で、「今すぐ金利引き上げとか、(金融緩和の)出口が来るとは考えていない」と説明していただけに、今回の唐突な方針転換はネガティブ・サプライズとして受け止められました。
これにより、ドル円相場は一時130.60円と、10月の高値151.95円から14%安と急落する場面があったほか、200日移動平均線を割り込みました。
ドル円は高値から13%安。200日移動平均線をザックリ割り込みました。 https://t.co/jaJxLiWmnZ pic.twitter.com/lSx9ChNOte
— バフェット太郎 (@buffett_taro) December 21, 2022
なぜ、日銀の金融政策の方針転換がドル円急落(ドル安円高)の原因になったのか?ということについて、順を追って説明します。
為替は金利差で動く
そもそも、世界の投資マネーというのはリターンを求めて、相対的に金利の低い所から高い所へと流れる傾向があります。
ちなみに「相対的に」というのは、単純に絶対値で比べることができないことを意味します。
たとえば、米国の長期金利4%、ブラジルの長期金利8%とした場合、必ずしもブラジルに投資マネーが流入するわけではありません。これはブラジルの方が地政学リスクや為替リスクなど、様々な問題を抱えているためです。(※現在、米10年債利回りは3.7%、ブラジル10年債利回りは13%で推移しています。)
今年、ドル円相場は一時151.95円と、昨年末の115.09円から32%上昇する場面がありましたが、これは高インフレを背景に米10年債利回りが一時4.25%まで上昇した一方で、日本10年債利回りは0.25%で上値が抑えられたことで、日米金利差が拡大し続けたからです。
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実際、ドル円相場に日米金利差(黒線)の推移を重ね合わせたチャートを眺めると、概ね相関関係にあることがわかります。
日本10年債利回りが0.25%水準で上値が抑えられたのは、日銀が無制限に債券を買い入れる「指し値オペ」という金融緩和を継続していたからです。
日銀は円の発行権を有しているため、理論上、無限に円を発行することができますが、円が国際的な信用力を失えば、円安が加速してハイパーインフレになりかねません。そのため、「無制限の金融緩和」というのは、インフレ圧力に晒されていないことが条件になります。
言い方を変えれば、今回、日銀が金融政策の方針転換を余儀なくされたのは、日本がインフレ圧力に晒され始めたからです。実際、日本の10月CPI(消費者物価指数)は+3.6%と、1982年2月以来40年8カ月ぶりの高水準を付けています。
また、23日(金)に発表される11月CPIは+3.7%と加速することが予想されています。これは、米国のインフレ率が減速しているのとは対照的です。
そのため、日本のインフレ率だけが高止まりした場合、日銀は長期金利の上限を一段と引き上げざるを得なくなりますから、日米金利差がさらに縮小することで円高が加速する可能性があります。
ただし、インフレ圧力は世界的に和らぎ始めていますから、日本のインフレ率だけが高止まりする可能性は低いです。
そのため、長短金利差の縮小が止まれば、円高進行にも一旦は歯止めが掛かることが予想されます。
ドル安の恩恵を享受できる投資対象
さて、足元の円高は、米国株に投資をしている日本の投資家からすれば、円建て資産評価額の目減りを意味します。とりわけ、株安局面でドル安が進行してしまうと、日本の投資家は株価と為替の両方でダブルパンチを受けてしまいます。
こうしたことから、個人投資家の中には「為替リスク」を懸念して、米国株への投資を躊躇する人たちもいます。
しかし、為替リスクは米国株だけではなく日本株にも存在しますから、長期的な資産形成を前提にした場合、為替リスクを心配してもが仕方ありません。
そのため、為替リスクを理由にS&P500インデックスファンドに積立投資するのを止めるとか、日本株だけで運用しようといった態度は間違っていると言えます。
とはいえ、この先何年もドル安局面が続けば、S&P500インデックスファンドを買い持ちしていても、「円建ての資産評価額が全然増えない」なんてことになりかねませんし、円を現金のまま持っていても利息を生まないどころかインフレによって実質リターンがマイナスになりかねません。
そのため、ドル安の恩恵を享受できるリスク資産をポートフォリオに組み入れる必要があります。
具体的な投資対象を紹介すれば、たとえば、ドルと逆相関の関係にある新興国株と金が強含む可能性が高いですから、投資家はこれらのアセットクラスをポートフォリオに組み入れることで、ドル安による打撃を和らげることができます。
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たとえば、金先物価格の日足チャートを眺めると、11月に3月から始まった下降トレンドチャネルのレジスタン(上値抵抗線:緑線)と50日移動平均線を上にブレイクアウトしたほか、足元では200日移動平均線も上にブレイクアウトしたことがわかります。
ちなみに、ドル指数は2028年~2031年頃まで低迷する可能性がありますから、将来、金への投資が人気化する可能性があります。
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金鉱株ETFの「ヴァンエック・ベクトル・金鉱株ETF(GDX)」の日足チャートを眺めると、200日移動平均線を試す展開になっていますから、この水準を上にブレイクアウトすれば一段と大きく上昇することが期待できます。
グッドラック。
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