ラ米カリブはパレスチナと固く連帯する(1)――コロンビアでは
イスラエルのジェノサイド糾弾を次々打ち出すコロンビア・ペテロ政権
コロンビアのペトロ大統領は、6月8日、イスラエルへの石炭輸出停止を決めました(同国は。イスラエルにとって最大の石炭供給国)。ペテロ政権は、イスラエルのガザ爆撃が始まった直後から虐殺を糾弾し、つぎつぎに反イスラエルの政策を打ち出してきました。昨年10月に駐イスラエル大使を召喚。今年2月下旬には、イスラエルからの武器購入の停止発表。今年5月1日には、メーデー集会の場で、イスラエルを「ジェノサイド政府」と糾弾し、国交断絶を表明。さらに、5月下旬には、パレスチナ国家の正統性と主権を認めるための行動として、ヨルダン川西岸のラマッラー市に大使館を開設する決定を下しました。
いったい、なぜなのでしょうか?それは、 ペテロ政権が“いわゆる”反米左派政権だからという理由だけではありません。そこには、日本を含む西側メディアが語らない、しかし現地の誰もが経験してきた歴史的事実があるのです。米国とイスラエルのやりたい放題、侵略と虐殺、略奪と支配、クーデターや政権転覆の、一言で言い尽くせない過酷で残忍な歴史があるのです。
「ラテンアメリカのイスラエル」= 米支配の代理人コロンビア
米国は、中東ではイスラエルを「代理人」として、石油支配、中東の軍事覇権の手先としてきたように、ラ米カリブ地域では、コロンビアを使って、資源や市場、軍事覇権を維持してきたのです。だからベネズエラの故ウゴ・チャベス大統領は、コロンビアを「ラテンアメリカのイスラエル」と呼びました。米国は、チャベスからマドゥーロまで、ベネズエラ革命政権を転覆させるために、執拗にクーデター策動を仕掛けてきましたが、その拠点はほとんどコロンビアだったことは記憶に新しいと思います。コロンビア軍と暗殺部隊は、長い間シオニスト国家=イスラエルと密接に絡み合っていました。残虐なことで有名なコロンビア自衛軍(AUC)は、最盛期には1~2万人の戦闘員を擁し、南米最大の準軍事組織のひとつでした。AUCは、左翼農民運動や労働者組織を弾圧し虐殺する汚れ仕事をするために、コロンビアの正規軍の手下として動いたのです。AUCの「死の部隊」はイスラエルの工作員によって徹底的に訓練されたのです。
コロンビアの労働者・人民は、2022年8月に現在のペトロ大統領が就任するまで、長きにわたり米・イスラエルが関与した血塗られた内戦の歴史に苦しめられてきました。米・イスラエルには、この地域を支配するためには、コロンビアを外資・オリガーキーや軍や暗殺部隊に支配させる必要があったのです。コロンビアを周辺への介入の拠点とするには、まず国内の反対や異論を封じ込める必要があったからです。
ペテロ大統領がネタニヤフの大量虐殺に怒りを爆発させるのは当然です
米州人権裁判所は、2023年1月、次のような結論を出しました。1980年代以降、左翼政党「愛国同盟」(UP)の社会運動指導者、政治家、活動家、6000人以上を、殺人、失踪、拷問、強制退去、その他の人権侵害により「絶滅」させた責任がコロンビア国家にある、と。この「絶滅」作戦は、2000年以降、表向きは麻薬撲滅、実際は左翼武装勢力壊滅計画(プラン・コロンビア)として、継続され、しかも米・イスラエルの軍・諜報機関を通じて、対左翼勢力壊滅モデルとして世界中に売り込まれました。
ペトロ大統領は、元武装抵抗組織「4月19日運動(M19)」から中道左派の政治家に転身した政治家で、コロンビア史上初の港湾労働者出身の大統領です。米・イスラエルによるコロンビアとラ米カリブでの虐殺と血塗られた歴史を身を持って体験したのです。ネタニヤフの大量虐殺に怒りを爆発させたのも当然なのです。
参考:
Colombia Begins the Process to Open Embassy in Palestine - teleSUR English