「パンスタードリーム」乗船記 (2)
(1)の続き。
1.船内
まずはラウンジ「The PARADISE」へ。
クルーズゾーンの旅客は部屋の鍵と一緒にこのラウンジの入室カードを受け取る。
木の温もりを感じる落ち着いた空間。
パラダイスラウンジ最大の魅力がこの景色。
この船で旅客が前方を眺められるのはここだけ。
両舷のランプウェイの主張がやや強めだが。
フリードリンクがあると聞いていたので、どんなラインナップかと思い冷蔵庫を開ける。
………?
ふと足元を見ると大量のジュースの空き瓶が。
……………
遅きに失したか。韓国人の飲食に懸ける想いの強さを舐めていた。
1本だけ残っていたザクロジュースを飲む。美味しい。
ザクロのジュースなんて日本ではなかなか飲む機会も無いだろう。
ふと前方を見ると、いつの間にか本船を追い抜いたクイーンビートルが猛然と突き進んでいた。
ラウンジを出て船内を探検。
フロントがあるのが1階、Bデッキ。
レストラン、コンビニ、大浴場といった設備もこの階に集約されている。
この時計はいつから使われているのだろうか。
右奥がレストラン「ムグンファ」。
レストランの隣には寿司バー。電気は点いているが営業している様子は無かった。
コンビニ。
フェリーの売店としては一般的な品揃えで、オリジナルグッズも取り扱う。
無人販売で店員は常駐しておらず、決済方法は基本的にクレジットカードのみ。
…のはずだが、翌朝グッズを購入した際には通信状況が悪くてカード決済ができず、1,000KRW=100JPYの固定レートでの現金決済となった。
フェリーでは必ずと言っていいほど見かける階段部分の吹き抜け。
階段部分以外にも吹き抜けがあり、壁には釜山の街が描かれている。
そろそろ部屋に戻ろう。
16:30を過ぎた頃から進行方向右手に対馬の島影が見え始めた。
出発してから1時間半ほどしか経っていないが、もう日本の領域に入ってきている。
ベッドに寝転んで寛いでいるうちに、いつの間にか寝落ちしていた。
2.夕食
窓から射し込む夕陽で目が覚めた。
気づけば18時過ぎ。
夕食の時間を知らせる船内放送が流れる。
パンスタードリームの船内放送はほとんどが自動放送で、まず韓国語、次に日本語、そして英語が流れる。やはりここはまだ韓国なのだ。
夕食の時間は18:30〜19:30らしい。
韓国人とそれ以外で時間帯を分けることもあるようだが、今日は旅客が少ないのだろう。
18:30になったので、乗船券と一緒に受け取った食事券を持ってレストランへ。
レストランの席数はさほど多くないが、この日はこの席数に一回で収まる程度の利用者しかいなかった。
レストランでの食事はバイキング形式で、料理は全体的に韓国人の舌に合いそうなものが並ぶ。キムチが5種類ぐらいあったのはさすが。
ほぼ全ての料理を食べてみたが、上の写真で中央の皿の手前に見えているプルコギと骨付きチキンが美味しかった。カレーは具材がゴロゴロ入っていて、すぐ隣にカツが置かれていたのでセルフでカツカレーを作れる。
料理は減り具合をみて時々補充されていたが、ピザは一瞬で無くなっていた。
サラダとフルーツは直径50cmぐらいの大皿に盛られているのだが、自分がレストランに入った時点で既にイチゴの大皿だけごっそり空になっていた。韓国人どんだけイチゴ好きなんだよ。
レストランの従業員は韓国語でも日本語でも英語でもない言語で会話していた。多分マレー語かその辺だと思うが、乗組員の国籍の割合はどんな感じなのだろうか。
たらふく食べた後はラウンジで食後のコーヒーを。
夜間はブラインドを閉めるため前方を眺めることはできないが、暖かなオレンジ色の光に包まれて昼間とはまた違った雰囲気に。
部屋に戻る前に、まだ見ていなかったBデッキの客室部分を覗いてみる。
ところでこの通路の色使い、どこかで見た記憶が。
最近の船では見られない急な階段にも歴史を感じる。
3.船内イベント
20時頃に船内放送があり、これからレストランでショーが行われるとのこと。事前情報で乗組員がショーをやるということを聞いていたが、これのことらしい。
することも無いので行ってみると、まだ誰もいない。
ステージの照明がカラフルに明滅し、耳が割れそうなほどの爆音でスピーカーから垂れ流されるK-POPは2階にまで響き渡っている。
夕食会場のレストランが、とてもフェリーの船内とは思えない異様な雰囲気に変貌していた。
さすがにこの空間に1人で座って待つ勇気は無かったので、コンビニに入って土産を物色しながら待つ。
ちょうどこの時HoneyWorksの「可愛くてごめん」が流れていて、コンビニ店内にいた乗組員がノリノリで体を揺らしていて笑ってしまった。ハニワって韓国でも人気なのか。
気づけば10人ほど集まってきていたので、自分も着席。
まず司会者が出てきて何やら韓国語で喋る。しかし何を言っているのかさっぱり分からない。
最後の「パクス〜〜」だけは「拍手」だと分かるのでとりあえず拍手しておく。
まず乗船時のサックス生演奏の人がステージオン。
じっくり聴いていてもプロ顔負けの腕前だと思った。
次にめちゃくちゃ歌の上手い女性乗組員が出てきて何曲か披露。
単に上手いだけじゃなくて一人ひとりと目合わせながら歌ってるし、ステージ慣れしている感じがプロの歌手みたいだった。さすがに毎航海歌ってたら慣れるか。
歌は当然全て韓国語でK-POPではなく歌謡曲っぽい。歌詞の意味は相変わらずさっぱり分からない。でもアイコンタクトだけで気持ちは伝わってきた。
〆はマジックショー。
音楽に合わせて次々とマジックが披露されていく。しかも相当レベルが高い。観客の煽り方も上手い。
最後にはテーブルが浮いていた。本当にここはフェリーの船内か?
ショーが終わったのは20:45頃。そろそろ日本の本土が近い。
(3)に続く。