祝・ソロデビュー10周年!(超個人的)星野源の隠れた名曲15選

4月にInstagramで発表した「うちで踊ろう」が様々な角度から注目されたり、ドラマ『逃げ恥』の再放送で恋ダンスがリモートで復活したり、バナナマン日村さんの誕生日に贈った「折り合い」が先週緊急配信リリースされたりと今年も話題に事欠かない私の推し、星野源。
本日2020年6月23日(火)、ソロデビューアルバム「ばかのうた」リリースから丸10年!
こいつぁめでたい!!
というわけで、私の独断と偏見で、あまり世間に知られていないと思われる星野源の楽曲を紹介します。
当初「10周年やし10曲にしよう」と思いつくままに挙げていったら20曲以上になってしまい(笑)、そこから15曲に厳選。
なるべくシングル(EP)やアルバムのリード曲ではないものを選ぶようにしました。

では早速。

1.「ばらばら」

隠れたとか言いながら、いきなりわりとメジャーな曲ですみません。
先述のデビューアルバム「ばかのうた」(2010年6月23日発売)のファーストトラック。
“あの世界とこの世界 重なりあったところに たったひとつのものがあるんだ”というフレーズは「うちで踊ろう」のコンセプトにも繋がっていると本人もラジオで話していた、正に星野源の原点ともいえる曲。
私も参戦した昨年のドームツアーにおいて、数万人の観客席の中にぽつんと設置されたサブステージでこの「ばらばら」を歌うという演出にいたく感動した。

2.「穴を掘る」

これも「ばかのうた」収録。
自宅の庭に穴を掘っていたら、気がつけば空に転げ落ちて知らないところに行ってしまう不思議な歌。
全体的にトロピカルな曲調で、イントロのギターの音もざくざく穴を掘ってる感じで楽しい。アウトロの遊んでいるようなマリンバも良い。
新婚旅行で行ったハワイのホテルで、この曲を流しながら夫と明るいうちから酒を飲んだことを思い出す。

3.「湯気」

2011年発売の1stシングル「くだらないの中に」収録。
源ちゃんの音楽のルーツがブラックミュージックであることはあまりにも有名だけど、この「湯気」は初めてブラックミュージック的なアプローチで作った曲、とどこかで言ってたような気がする。
日々生きること、表現することに対する静かな熱意が歌われている力強い曲。
“とくとくと目から水が出る”のところのメロディーが好き。

4.「ブランコ」

これも「くだらないの中に」に収録されており、「湯気」の次のトラック。
“だけど死ぬのはこわいし できれば未来は見たい” という歌詞が刺さる。
【生きたい】んじゃなくて、【生きるのに向いてないけど死ぬのはこわいから生きている】って人、多分世の中に相当数存在するだろうし、私もそう。
常に生きづらさと相対しているタイプの人に、星野源の音楽は本当に効くので、騙されたと思って聴いてみてほしい。

5.「変わらないまま」

2011年発売の2ndアルバム「エピソード」収録。
源ちゃんの学生時代のことが歌われている。メロディーラインもどこかノスタルジックで、胸がぎゅっとなる。
“さらば人気者の群れよ 僕は一人で行く”
“いつか役に立つ日が来る こぼれ落ちたもの達が”
こんなかっこいい歌詞と十代で出会いたかった。
noteの記事のタイトルにするくらい好きな曲。

6.「バイト」

これも「エピソード」収録。
2分足らずの短い曲だけど、歌い出しのインパクトにグッと掴まれてしまう。
誰でも言える冒頭の歌詞のようなことの一歩先を歌いたかった、とエッセイに書いてあった。
しかし「バイト」というタイトル、秀逸。
「エピソード」はアルバムまるごと大大大好きで、本当は全曲紹介したいくらい!キリがないのでここらへんにしておく。

7.「ダンサー」

2012年発売の4thシングル「知らない」収録。
「うちで踊ろう」を初めて聴いた時、この曲を思い出した(メロディーがなんとなく似ていたので)。文字通りステップを踏みたくなるような軽快な曲。
この曲に限らず、源ちゃんはよく“生活を踊る”みたいな表現を使うのだが、日常的に「踊る」ことって必要で、本当に踊るのもいいし、胸の内で踊り狂ってもいい。身体も心もさっぱりする。
頭や身体に染み付いている面白いことや楽しいことを解放させる時間は、長い人生を進んでいく上で本当に大切だと思う。

8.「地獄でなぜ悪い」

2013年発売の6thシングル。2015年発売の4thアルバム「YELLOW DANCER」にも収録されている。
同名映画の主題歌で、映画には源ちゃんも出演しているが、実は見たことがない。なのでとりあえず曲の話をする。
ビッグバンドジャズのような編成で終始ご陽気な曲調と、生き地獄で苦しみ悶える歌詞のギャップがたまらない。
源ちゃんは2012年から2013年にかけて二度くも膜下出血と診断され、長期入院と芸能活動の休止を余儀なくされた。なんと、これはそのさなかに出たシングルなのである(休止前に完成はしていたそうですが)。
そういう事情もあり、MVは初のアニメーションで、監督は源ちゃん本人と「おそ松さん」「映像研には手を出すな!」を手掛けた浅野直之さんが共同で務めた。おもいっきりサイケで馬鹿馬鹿しくて何度見ても笑える。
ライブの時に“生まれ落ちた時から 居場所などないさ”の部分を「いや〜居場所、ないっすよね…」と独り言のようにつぶやいていた姿が印象に残っている。居場所、ないよね。わかるゥ〜!

9.「海を掬う」

2014年発売の7thシングル「Crazy Crazy/桜の森」収録。
タイトルからして幻想的で、目を閉じて聴いていると脳内にふわふわと情景が浮かんでくるような曲。
間奏のギターソロの清涼感!
夏にぴったりの曲である。晴れた日に海辺をドライブしながら聴いてみたい(私は免許がない)。

10.「Continues」

2016年発売の8thシングル「恋」収録。
“Continues(続く)”という言葉は2017年に開催されたアリーナツアーのタイトルにもなった。
“輝き重なり 草木は葉を伸ばし 戸惑いぬかるみ 雨に呑まれるような 幻 温もり 痛みさえ 向かい合った ここで 命は続く”
師と仰ぐ細野晴臣さんの作品をはじめ、星野源の音楽人生を形作る多くのものを詰めこみ、先の未来へ繋いでいくことを示した曲。
特筆すべきは、後半のコーラス部分を歌っている人々がありえないくらい豪華なのである(元チャットモンチー福岡晃子、ムロツヨシ、平岩紙、森三中黒沢かずこ、レイザーラモンRG[敬称略]などが参加)。

11.「肌」

2017年発売の10thシングル「Family Song」収録。
某ボディソープのCMで使用されたが、かなり短期間だったので、憶えている人はあまりいないかもしれない。
この曲は、もう、ドスケベとしか言いようがない。色で表すとぼやけたピンクって感じ。
まとわりつくようなバンドサウンドも、繰り返される変拍子も、比喩表現たっぷりの歌詞も、エロい!
カラオケで歌う時、妙に緊張してしまう曲。

12.「ここにいないあなたへ」

2018年発売の11thシングル「ドラえもん」収録。
もうこの世にはいない、大切な人へ向けた歌。
映画『ドラえもん のび太の宝島』の挿入歌であり、公開当時、私はおよそ20年振りにドラえもんの映画を劇場で観て、クライマックスで流れるこの曲に涙した。親族を亡くしたばかりだったので、余計に胸を打たれた。
ブラスセクションがしみじみと懐かしさを呼び起こし、間奏部分にはオンド・マルトノという珍しい電子楽器が使われている。
アニメの挿入歌にこういうマニアックな編成を持ってくるのも星野源ならではの試み。
ライブで聴いてみたいが、難しいだろうな…。

13.「Get a Feel」

2018年発売の5thアルバム「POP VIRUS」収録。
思わず肩を揺らしてリズムを取りたくなるリズムとメロディー。
“心揺らせ 16に乗って” “ああ どんな肌の色でも” “ああ どんな国の元でも” いつも目に見えない何かを感じながら歌い踊るように生きよう、という真摯なメッセージ。
いつも明るく元気よく、ではなく、いつも心に何かを感じて、なのが星野源。常に色んなところに色んなアンテナを張り巡らせている人なのだ。

14.「さらしもの(feat.PUNPEE)」

2019年にデジタルリリースされたEP「Same Thing」収録。
このEPにおいて、星野源は初めて他のアーティストとの共作という形で楽曲を発表した。
HIPHOP界の寵児ともいえるPUNPEE(ご結婚おめでとうございます)とのコラボ曲で、表現者としてスポットライトを浴びる者たちの虚しさや孤独が描かれている。
2016年以降の源ちゃんが「恋」の大ヒットや紅白連続出場で国民的アーティストの仲間入りを果たし精力的に活動する一方、芸能界の最前線で常に注目されながら生きていくことに対する苦悩や葛藤を抱え、精神的に滅入っていたこともインタビュー記事で読んだりしていたため、この曲を作り上げたことで少しでも昇華できていたらいいなと思う。
MVがシャレオツなのでYouTubeで是非見てほしい。

15.「私」

「Same Thing」の最後に収録されていて、斬新なコラボが3曲続いた後、この「私」という曲のみ、源ちゃんがたった一人で静かに弾き語りをしている。
リリース時、どの音楽サイトの記事を読んでも「締めにこれを持ってくるのはやはり星野源」みたいな書かれ方をしていた。
“あの人を殺すより 面白いことをしよう 悲しみと棒アイスを食う”
悲しみと棒アイスを食ったことある?私はない。でもそういう絶妙な気持ちになることってあるよなと思う。
“希望どもが飽きれたまま 死ぬのだけじゃ あんまりじゃないか”
コロナの影響で中止になったファンイベントの代替として、生配信で行われたトークライブのエンディングに、源ちゃんは「私」を歌った。
やりきれぬ思いや行き場のない感情を、誰かへ刃物として向けるのではなく、自分や目の前の大切な人とともに楽しいこと、面白いことをしよう。
どうしようもない日常にしがみつきながら、這いつくばりながら、なんとか生きていくということは、そういうことだ。

と、星野源の楽曲たちは今日も教えてくれる。
10周年、本当におめでとうございます!

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