不思議なグリル、クラフトグリル
▼前回のお話
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Buddy'sのTwitterアカウントを任されている私は、「毎日5投稿」を目標に日夜投稿ネタを考えていた。「SDGs」、「サステナブル」、「アップサイクル」、「サーキュラーエコノミー」、「リジェネラティブ農業」など様々なワードを基にTwitterの投稿やニュース記事に当たっていた。
そうした中、5月の初旬頃、とても興味深い商品をTwitterで見つけた。それは、土に還るグリル「クラフトグリル」だった。
見つけた時、ふと私は昔のことを思い出した。
・・・
私は幼いころ、家から歩いて数分の場所にある豊かな多摩川でよく遊んだ。上流のほうなので、流れが急であり、遊泳することは禁じられていた。だから、浅瀬で小魚を眺めたり、石切りをすることが多かった。そのおかげでたまに、釣り人からめちゃくちゃに怒られた。でも、楽しかった。
夏になると、川沿いの駐車場は「世田谷」や「練馬」、「多摩」、「川崎」ナンバーなどの車でにぎわっていた。そして、歩いて十数分の駅からは多くの若者たちがたくさんの食材が詰め込まれたビニールを抱えて川へ向かうのよく見かけた。
夜になると、川沿いで遊ぶ若者や家族たちは楽し気だった。ピューッ!と打ち上げ花火をする音が聞こえてきたり、バババッ!と大きな音のする花火で遊ぶ音が聞こえてきたりした。
翌日、昼頃に川に遊びに行くと、真っ黒く焼け焦げた石や、まだ煙のくすぶる焚火のあとを見かけた。そして、その周囲には”あえて”忘れ去られたゴミがよく散らばっているのよく見かけた。
あるいは、駅へ向かう道中、ゴミ捨て場でもなんでもないところに油まみれの金属製のBBQセットが大きめのビニール袋に無造作に放り込まれ、しかも、縛りもせずに放置されているのを見たこともあった。川から駅まではずっと上り坂の為、めんどくさくなって放置したのだろう。
・・・
いくら土に還るからといってクラフトグリルが、今思い出したようなマナー違反の抑止に直接つながるとは思わなかった。でも、何か希望が見いだせそうな気がした。
早速私は、Buddy'sメンバーに共有した。土に還るグリルなんて聞いたことないし、これからの季節にぴったりですよ!、と。
メンバーも面白いと思ってくれたのか、すぐに取り扱うことになった。
しかし一方で、メンバーからは、
「本当にしっかり焼けるのかな?」
「組み立て難しそう!ってならないかな?」
「竹と段ボールで出来てるんでしょ?燃え移ったりしないかな?」
「60分も持つのかな?」
「どうやって火を消すの?」
などの意見が上がっていた。商品紹介を読めばほとんど解決する内容だが、言われてみると少し不安である。そこで、思いついた。
「そうだ!だったら実際にやってみよう!」
実際にBBQを楽しんでみよう!となった。
それが6月25日に開催された「実際にやってみた!土に還るグリル「クラフトグリル」BBQイベント」だった。
当日は私と竹田、新藤でBBQの手はずを整えた。また、BBQの様子はZOOMにて中継することにした。
当日。
私は豚肉、ジャガイモ、シイタケ、トウモロコシなどの食材を買いに出かけた。
オフィスに戻ると、すでに中継のセットがしてあった。素晴らしい。早く準備を完了して始めようではないか。飲食店を知り尽くした男、新藤はすぐに食材の仕込みを始めた。
その間、私はクラフトグリルを組み立てることにした。クラフトグリルのパッケージから本体といくつかのパーツ、説明書を取り出した。説明書を見ながら組み立て作業を始めた。
組み立てるといっても、一から何かを行うわけではなく、ほとんど出来上がっているグリルに足を付けるだけである。組み立てには5分程度かかるということだったが、思ったよりもすぐに完成した。
次は火だ。火をつけねば。クラフトグリルにはドーナツ型の竹炭がいくつも並んでおり、その隅から火をつけるようになっている。
順番に竹炭に火をつけていくと、パチパチという小さな音とともにすぐに火がつき、瞬く間に隣接する竹炭へと火は広がっていった。
ちょうど食材の仕込みが完了したようだ。後は焼いて、おいしく食べるだけである。
食材を焼き始めると、思った以上にグリルの竹網に隙間があることに気づいた。場合によっては、別途網を用意してもいいかもしれない。
一方で、大きめのトウモロコシなどは安定感がある。
様々な角度から火加減を試してみたかったため、竹網とグリルの隙間から、アルミホイルで包んだジャガイモを蒸かしてみた。うまくいき、ホクホクのジャガイモができた。
クラフトグリルの火力は申し分なかった。そして、十分な火力を保ちつつ、60分以上焼き続けることができた。おそらく、90分くらいは持つのではないか。長時間燃え続けたが、紙製のグリル本体部分にはなんの影響もなかった。
これは驚きだった。しかし、注意しなければならない点でもあった。
というのも、どれくらい熱くなっているのかわかりづらいのだ。片づけをする際は、ちゃんと水をかけ、本当に火が消えているかどうかしっかり確認することが必要だ。
つらつらと解説じみた文章を書いてしまったが、結論から言うと、BBQはうまくいったし楽しかった。そして、何よりおいしかった。しっかり焼けたお肉、香ばしいトウモロコシ、ホクホクのジャガイモ、すべてがTHE・BBQだった。
冷めたクラフトグリルをゴミ袋に入れている時、ふとこんなイメージが浮かんだ。
・・・
とある河原にて。
「なんであの人たち、段ボールでBBQやってんのやばくね??」
「ほんとだ、燃えちゃうんじゃない?へんなのー!」
「いやいや、あなた方。これは変な段ボールではありませんよ?クラフトグリルという、地球環境に配慮された次世代のグリルなのです」
「ちゃんと焼けんのかよ!」
「ほう、では味見してはいかがかね?」
「あれ・・・うまい!」
「ほんとだ、おいしい!」
「ふふ、そうでしょう」
「しかも、このグリルはこんな風に水をかけて冷まして、袋に入れて、この通り!ゴミに出せてしまうのです」
「こんな簡単に片付けができんのかよ!画期的じゃねーか」
「だから言ったでしょう。次世代だと・・・!
ちゃんと片付けて、キレイにして帰る、これがBBQの醍醐味ですな。おや、そちらのトウモロコシ少し焦げてはいませんか?」
「あっ、いっけね!」
「では、私は先に帰るとしよう。またどこかで!」
「俺たちも、そのクラフトグリル、試してみるよ!ありがとな!」
・・・
つまらない妄想かもしれない。だけれども、これは私の抱く希望のイメージだ。こんな感じで、マナー違反が少しでも減ればいいのに。
すっかり帰り支度を終えた竹田と新藤は、私の妄想タイムが終わるのを待ち構えているようだった。気づけば、21時を過ぎていた。Tシャツから漂うBBQの残り香を感じながら、私たちは帰路についた。
次回へつづく
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参考記事はこちら
▼クラフトグリルの詳細記事
▼BBQとマナー違反の事例
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