メロンクリームソーダは父の味
子供の頃、誰でも一度はせがんだことがあるであろう、
「メロンクリームソーダ」
私はよく父親にせがんでいた記憶がある。色のインパクトとあの頃食べていた時の特別感が妙に記憶の片隅にあって、先日、喫茶店で久しぶりに「メロンクリームソーダ」を頼んだ。
いくつになっても出てきた瞬間のあのインパクトは子供の時と変わりない。緑のシュワッシュワの上にまあるいバニラアイス、プラス真っ赤なさくらんぼ。テンションが上がらないわけがない。
初めて食べたのは小学生の時。
うどん県とみかん県の県境ぐらいで生まれた私は、父が休みの時は必ずある喫茶店にモーニングを食べに行っていた。
朝7時とかだった記憶。早すぎる(笑)
店主のおいちゃんは、明るくて小柄なヘビースモーカー。子供ながらに怪しさを感じてたけど、どんな人にも気さくに話しかけて笑かしてくるおいちゃんが好きだった。料理も絶品でとにかく父と過ごせる休日のこの時間が本当に大好きだった。
だいたい父と妹と私の3セット。たまにプラス母もしくは祖母が一緒だった。なにか特別なことがあるとその喫茶店でお祝いがてらご飯を食べていた。数年前に店主のおいちゃんが亡くなって今は確かカレー屋さんになっているはず。
「思い出のあるお店」って人生そんなに多く出会えない。
「あの喫茶店」×「メロンクリームソーダ」が父との思い出の中で一番しっくりくる。
父や家族との話の中身なんて全然覚えてないけれど、
だけど、代わりに「懐かしさや」「あたたかさ」「家族との思い出」を時々引き出してくれる。私にとって「メロンクリームソーダ」はそんな引き出しに近い。
まだまだ昭和感のこる平成初期だったあの頃のあの味には戻れないけれど、それに負けないぐらいの思い出を1日1日紡いでいきたいなと思う。
「メロンクリームソーダ」といえば父の味。
喫茶店のおいちゃんが「あいよ、おまちどうさん」と持ってきてくれるあの味に勝るものはなくとも、またどっかの喫茶店に立ち寄った時はたまに「メロンクリームソーダ」を頼むことにしよう。
こうやってときおり思い出せる、「人生の思い出箱」をこれからもいっぱいにしてきたい。
そして死ぬ時は回想できないくらいの思い出を思い出しながら痛みを忘れてクスクス笑いながら死んでいけたら嬉しいな、なんて思うわけです。(笑)
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