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「てばなす」ことから始まった
「おそなえ」としてお寺に集まったお供物を仏さまの「おさがり」として生活に困窮した親子をサポートする団体へ「おすそわけ」する。
2014年、たった2人の事務局でスタートした「おてらおやつクラブ」の活動は立ち上げから10年が経ち、現在2,100寺院が活動に参加。900もの団体に「おすそわけ」されたおやつが、全国の子どもたちに届けられています。
どうして『おてらおやつクラブ』はこんなにも広がったのですか?
驚きとともによく聞かれることです。どなたでも参加しやすい仕組みであること、ITを最大限に活用して運営していることなど、様々な理由を見つけることができますが、最大の要因は「おてらおやつクラブ」の活動を通して日本全国の皆さまが「てばなす」の実践をしているところにあると思います。
「おてらおやつクラブ」はお寺の「ある」と社会の「ない」をつなげることで社会問題を解決していこうという活動です。「おそなえ」されたお菓子というお寺の「ある」をお寺にだけに留めずに手放すことで、お菓子をより必要としている方々にお届けすることから「おてらおやつクラブ」は始まりました。
多くのお寺では、「おてらおやつクラブ」の活動に参加し様々なご縁とつながったことで、参加以前より多くの「おそなえ」が集まるようになったといいます。何かをしたい人の思いが「おそなえ」という手放す行為となって、お寺に集まってきたのです。誰かの「てばなす」によってご縁が動き、広がり、また新たな「てばなす」を生み、全国で多くの笑顔の花が咲いています。
「てばなす」という行為は仏教が説く様々な実践のひとつでもあります。
「ためる」「たくわえる」「まもる」「かくす」がもたらす視界不良を、「てばなす」によって解き放とう。
執着をてばなす、思い通りにできるという考えをてばなす、モノやお金をてばなす。「てばなす」が生むご縁のうねりに身を任せ、そこで起こる変化を楽しもう。
こうしてフリーマガジン『てばなす』は生まれました。
人間、欲しいものを手に入れることよりも、大切なものを「てばなす」ことのほうが難しく感じるらしい。しかし、「てばなす」ことは失うことではない。そんなことをささやかに熱く伝えていきます。
「手放すべきものを手放したいときに手放す」ためのお供として。
フリーマガジン「てばなす」創刊号 巻頭言より
現在、認定NPO法人おてらおやつクラブでは春から始まる新年度に向けて、クラウドファンディングを企画しています。ぜひお力添えください。
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