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2種類の文字が交差する国セルビア~セルビア人に聞いてみた②
以前の記事で、セルビアの街には意外とキリル文字とラテン文字が入り乱れているようなことを書きました。
そしてそれについてどう思うのかセルビア人に聞いてみたりもしました。
セルビアの人は普段からどうしてるんだろと思って、上の記事とは別のセルビア人の方にもこのことを聞いてみた。
その人は知人とチャットしてる画面を見せてくれたんだけど、、、同一人物とのチャットなのにキリル文字で返信したりラテン文字で返信してたりしてた。
個人的にはかなり不思議な光景。だって同じチャット画面で時と場合とで異なる文字が並ぶって、なんか不思議じゃないですか?もちろんひとつの文章内でラテン文字とキリル文字が混ざることはなかったけど、それにしてもこんなカジュアルに文字をスイッチングするとは驚きでした。
これってどういう感覚なんだろうと思って、無理矢理日本語の状況で例えてみると…特定の人とのチャットで、ある時は漢字を沢山使って文章を書いたけど、別な時は口語的な文章を書いたからひらがながめっちゃ多くなった…とかかな?そう考えると、まあ、あるっちゃあるな。自己完結。
セルビア語においても、ネイティブだけに分かる「ラテン文字とキリル文字」のニュアンスの違いというか使い分けとかがあるのかも…
ちなみに、私がセルビアで聞いた数少ない範囲のサンプルでは、このような「ラテン文字もキリル文字も使う」ことについては皆さんポジティブに捉えている雰囲気を感じました。
欧米をはじめとした西側世界も、ロシアをはじめとした東側世界もどちらのこともある程度理解することができる…というようなことを、とある人は理由として挙げてくれました。
でもなんか、こういうどっちの文字も使いまっせって柔軟さが、セルビアの歴史的な東西の中継地たる立ち位置を反映しているようで面白いっすね。
今日のセルビア語:
今回は手抜き固有名詞シリーズで、そもそもキリル文字使ってる国ってどこあるんだっけ?という確認も兼ねて、各国がセルビア語でどう呼ばれてるのかも見てみました。
・ベラルーシ・・・ベロルーシヤ(Белорусија / Belorusiya):白いロシアって意味ですね
・ボスニア・ヘルツェゴヴィナ・・・ボスナ・イ・ヘルツェゴヴィナ(Босна и Херцеговина / Bosna i Hercegovina):ボスニア語自体はラテン文字だけど、この国でボスニア語・クロアチア語と共に公用語の地位にあるセルビア語話者はキリル文字を使ってるはず
・ブルガリア・・・ブガルスカ(Бугарска / Bugarska):そもそもキリル文字の発祥はブルガリアらしい
・カザフスタン・・・カザフスターン(Казахстан / Kazahstan):カザフ語は国家語、ロシア語は公用語という位置づけらしいが、カザフ語はラテン文字へと移行しようとしている…との噂
・ロシア・・・ルスィヤ(Русија / Rusija):言わずと知れたキリル文字総本山。超多民族国家過ぎてロシア語以外のキリル文字言語多数らしい
・北マケドニア・・・セヴェールナー・マケドーニヤ(Северна Македонија / Severna Makedonija):「南マケドニア」という国があるわけじゃないんだけど、名前については近隣諸国と揉めた結果今の形に落ち着いたという
・ウクライナ・・・ウクライナ(Украјина / Ukrajina):日本人として、地味に"ји"が発音できない(ローマ字的に表せば"yi")ことに気が付いた
・モンテネグロ・・・ツルナ・ゴーラ(Црна Гора / Crna gora):この国もセルビアと同じくラテン文字を使ったりキリル文字を使ったりしてる模様
・タジキスタン・・・タジキスターン(Таџикистан / Tadžikistan):公用語はタジク語だがロシア語も事実上の共通語みたいになってるらしい。ちなどちらもキリル文字
・キルギス・・・キルギスターン(Киргистан / Kirgistan):「キルギジヤ」という別名もあるらしい
・モンゴル・・・モンゴーリヤ(Монголија / Mongolija):セルビアは東欧において、モンゴル帝国の支配下に入らなかった珍しい領域だと思います。そんなモンゴル語も、2025年になって縦書きで表す「モンゴル文字」の使用を推奨し始めた模様…