【ネタバレ有】「金色のガッシュ!!2」第1話の備忘録&考察
少年漫画の金字塔、「金色のガッシュ!!(雷句誠/全33巻)」の続編が2007年の完結から約14年もの時を経て始動した。
その記念すべき第1話は、古参ファンの度肝を抜くには十分すぎる急展開を見せ、公開直後からTwitterにトレンド入りした。
ただ、旧ガッシュの本編しか読んでいない読者・主要キャラくらいしか知らず細かい設定を覚えていない読者にとっては「???」となる描写が多かったため、ガッシュ2の第1話における各描写に補足説明をし、第1話で出た謎を整理する。
物語は、少年(ジギー)・少女(ゼリィ)・赤ん坊(オルモ)・犬っぽい魔物(ミッピ)の4体が追手から逃走するシーンから始まる。
で、この少女(ゼリィ)だが、旧ガッシュ25巻にて描写された、チェリッシュとテッドが世話をしている孤児たちの内の1人と同一人物ではないかと思われる(↓の画像の右の子?)。
ただし、少年(ジギー)や赤ん坊(オルモ)については、チェリッシュ一味のファンシーな見た目に反し、結構イカツイ見た目をしているので、チェリッシュ一味とは異なるバックグラウンドを持っていると思われる。特に、赤ん坊オルモが何故ブラックジャックのようなツギハギだらけの見た目をしているのか?何故ジギーはファウードの転送装置(後述)の存在を知っており、あまつさえ操作できたのか?といった部分は謎(謎1)。
少年ジギーと赤ん坊オルモは兄弟であると明言されており、双方とも顔の左半分が欠損しているようなので、彼らの一族がキメラのような一族であったり、もしくは本作における敵の人体実験の材料にされているなどの可能性が推察される。
そんな彼らを執拗に追いかけ回し攻撃している異形の敵・ワイグ。
ワイグの正体について、ガッシュの細かい設定を知らないと一見ただの悪い魔物のように見えるが、こいつは魔物でも人間でもなく、第三の世界から来た別種族である可能性が非常に高い。根拠は2つ。ひとつは、この第1話の中でワイグが「魔物狩り」「魔物を打ち滅ぼす」とワイグ自身は魔物ではないような言い回しをしていること。もう1つは、本編未出の設定として、「魔界でも人間界でもない別の世界も存在し、そうした世界から魔界が襲撃を受けることがある」「ガッシュの前代の時代にも、そうした魔界が滅びかける戦争があった」「魔界の王を決める戦いは、それを通じて魔物の子を成長させそうした外的脅威から魔界を防衛する機能を醸成することが目的」というのがあること。
こうした本編未出の世界観そのものに関する裏設定は、ガッシュカフェで読むことができる(↑)。ただ、ワイグらの細かい目的や正体については一切不明(謎2)。
さて、そんなワイグらの手によってゼリィたちの故郷であるチェリッシュ一味は殺されてしまったようである。この被害者メンツの中になぜレインが?と思った読者もいると思われるが、実は旧ガッシュ最終話にて、レインはチェリッシュ一味の力仕事を手伝っている描写がなされていることから、レインとチェリッシュ&テッドは親交があるものと思われる(↓)。
話を戻そう。術の属性(雷、炎、宝石など)を模った結晶が入った瓶を使った戦闘描写があり、ジギーはチェリッシュの術「ガンズ・コファル」を、ワイグはゼオンやガッシュの術「ラシルド」を使用していた。
旧ガッシュでは魔本が術を発動する媒体になっていたが、これはあくまで王を決める戦いの最中限定であり、平時においては魔物は自分だけで術を使うことが出来る(↓、外伝「友」より)。よって、ガッシュ2では魔本が出てこない可能性が高い。
その代わり、この瓶を使うことで、術の所有者以外の者が術を発動できるようになると思われる。この瓶についても謎だが、外来種の敵であるワイグらの世界の技術なのか、もしくは魔界で開発された技術なのかはまだ謎である(謎3)。なお「ガンズ・コファル」使用後に便の中身が空になっていることからこの瓶は使い捨ての技術であると思われる。ちなみにここで、魔界の世界観設定に関する新たな考察も出来る。それは、術は多くの魔物が使えるというわけではなく、王を決める戦いに選ばれるような一部のエリート魔物だけが使えるというものである。
もうひとつ気になるのは、ワイグが使った「ラシルド」の形状である(↓)。
このラシルドは言わば初期状態の形態であり、本来の姿ではない。本来、旧ガッシュ26巻以降においてガッシュが王族本来の力に覚醒して以降は、ラシルドはより複雑な紋章を呈した見た目をしている。なぜラシルドが初期化されているのか?という点も細かい点ながらも気になる(謎4)。
さて、逃亡を続けたジギーたちがたどり着いたのは、ファウードの転送装置によく似た形状のマシンがある部屋だった。ファウードを管理するリオウ一族の建物と明言されていることから、旧ガッシュで出てきた転送装置と同一のものでないとしても、似た機能を有していると思われる。
この装置を今際の際に作動させたジギーは、遺言として「清磨を探せ」とゼリィらに伝え、息絶える。なお、この直後、ワイグの仲間と思われるギルと呼ばれる少年が「リーファ」という呪文を唱え部屋に明かりを灯したが、これが魔物の術なのか外来種の能力なのかは不明。セリフのフキダシの形が魔物の術のそれと同じなので魔術であると推測することもできるし、「リーファ」という呪文の名前が語感的に魔物の術としてしっくりこない・術のどの文法規則にも当てはまらない・瓶を使わずに発動できているため魔物の術ではないと捉えることもできるだろう。
さて、この装置についてもいくつか謎がある。まず、ファウードの体内にある(つまり旧ガッシュで出てきたもの)装置と同一のモノなのかどうか?(謎5)ということ。
また、この装置によってゼリィらは人間界のエジプトに転送されたが、そもそもファウードの転送装置は王を決める戦いが終わると同時に使えなくなったはずである。なぜファウードの転送装置が問題なく使えるのか?という点も気になる(謎6)。ガッシュカフェや外伝「友」にて、魔界が有事の際にはたとえ王を決める戦いの最中でなくとも人間界と魔界が繋がることが示唆されているため、その影響だと思われる(↓)。
もしくは、旧ガッシュ最終話にて、ガッシュは清磨への手紙の中で「今はファウードの転送装置は使えないが、使えるようにできたら会いに行く」と言っているため、単純に技術進歩によって使えるようになった可能性もある。
さて、エジプトに命からがら逃亡したゼリィらは、街中の人に清磨という人間を知らないかと訊いて探し回るが、当然見つかるはずもない。それどころか、人身売買をしているヤクザたちに捕まってしまう。そしてなんと、ワイグらもその場に現れた。なぜワイグらが人間界に来れたのか?これも謎である(謎7)。可能性としては、見よう見まねでワイグらも転送装置をいじくってみたら上手くいった、もしくは、その辺に身を潜めて隠れていたリオウ一族の魔物を恐喝して使い方を教えてもらった、などが考えられる。(ただし、ワイグが「魔物狩りもこれで終わり」と言っていることから魔物のほとんどが既に殺されてしまっていて絶滅寸前ということも考えられる)
さて、決死の表情でワイグに立ち向かうゼリィだが、ここでガッシュ2第1話の中で最も衝撃の台詞が放たれる。
「王様だって 死んじゃった!!!」
…つまり、ガッシュ2においては、主人公であるガッシュが死亡した状態で物語が始まったのである。そして、混乱する読者をよそに続けざまに怒涛の展開が放たれる。
ゼリィ絶体絶命のピンチに、清磨が駆けつけたのである。
魔界で何が起きているのかわけもわからず混乱している読者を一気に安心させる前作主人公の登場という、最高に熱量のこもった引きで第1話は幕を閉じた。
清磨は20代後半くらいの見た目になっており、既に社会人になっている可能性が高い。清磨はなぜエジプトにいたのか?今の清磨は何をしているのか?といった謎が最後に残された(謎8)。
最後にこの謎に関する簡単な予想を立ててこの記事を締めくくる。個人的には、「清磨はご都合主義的に偶然エジプトにいたわけではなく、転送装置に清磨の位置座標が登録されていたor魔界が持つ特性によって清磨の近くにゼリィらが引き寄せられた」と考えている。そもそも、王を決める戦いが始まった時、魔物の子たちはそれぞれパートナーがいる場所の近くに転送されており、かつ魔本はパートナーが近くにいると発光する機能を有している。このことから、魔界には元々特定の人間の位置を特定・追尾する特性が備わっている可能性がある。
同時に、「大人になった清磨は世界中(もしくは発展途上国)の孤児を引き取る施設を運営する傍ら、魔界にアクセスする手段を研究している」と考えている。その理由は、ゼリィを助けに清磨と共に現れたお姉さんの台詞からである(↓)。
この台詞から、
「もう子供を預かる余裕なんかない」→清磨は既に何人もの身寄りのない子供を引き取って世話をしている?
「化け物みたいな赤ん坊抱いてるって言ったら目の色が変わって会わせろと言った」→お姉さんから報告を受けた清磨が「もしかして魔物…!?」と勘付いた?
と推測した。
今後、ガッシュ2がどのような第2話以降で展開を見せるのかはわからない。ゼリィらと清磨周辺の人間界メインで話が進むのかもしれないし、魔界と人間界でのようすが同時並行で描かれるのかもしれない。本記事で整理した謎が徐々に解き明かされ、物語の全貌が見えてくるのを楽しみにしたいと思う。ちなみに、生身の人間である清磨がワイグに勝てるのか?と疑問に思うかもしれないが、清磨は「答えを出す者(アンサー・トーカー)」というチート能力を有しているので心配は不要である。
…で、ガッシュ2って週刊連載なんですか?月刊ですか?それとも不定期?
終