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私の好きな本

5月だというのに、梅雨のような季節が到来。
以前は、ほとんど家で過ごす時間がなかった私だけど、
最近は自宅で過ごす時間が増えたので、
このジトジトした空気、体を押し潰すかのような低気圧の中なるべく快適に過ごすべく、除湿剤を買うために薬局へ向かった。

目当ては『水とりぞうさん』
なんて可愛い名前なんだろう。除湿剤で水とりぞうさん。この名前を考えた人はなんて遊び心があってユーモアがあるんだろう。
毎年、梅雨になったら「ねーーそろそろ水とりぞうさん買わなきゃねー!」という会話をする家庭が少なからずあると思う。薬局の水取りぞうさんの陳列棚は空だった。
大人気!
(ちくしょう。買えなかったな、水とりぞうさん)
ふと下の陳列棚に目をやると『炭・水とりぞうさん』がある。どうやら脱水に加え脱臭もしてくれる、水とりぞうさんの進化系!
(これにしよう)

欲しかった床置きタイプと、クローゼットに吊るすタイプの物を購入。
除湿すると中のつぶつぶがジェル状になるらしい。
この歳になって恥ずかしいけれど初めて使う水とりぞうさん。
水がどれだけ取れるのか、見るのが楽しみだ。


ワクワクしながら帰宅。
除湿剤を組み立てながら、本棚の前に座って本を眺めていた。
私の本棚には、エッセイ本、旅行本、自己啓発本、まんが、医学書が並んでいる。

中でも一番多いのはエッセイ本だ。
益田ミリさん、たかぎなおこさん、松浦弥太郎さんが好きなので集めている。

エッセイ本の好きなところは、
目次がキャッチーなところ、つながりを気にせずにどこから読んでもいいところ、作者の考え方が知れるところだ。

芸能人のエッセイ集は今まで読んだことはなかったのだけど、彼の書く歌詞がとても好きだったので迷わず買ったのを覚えている。

『そして生活はつづく』星野源

発売年は2013年。8年も前のエッセイ本だ。
私はその間に2回引っ越しをして、その度に本の断捨離を行い、それでも私の本棚に残っている愛読書だ。

久しぶりに読んでみようと思い手に取る。
読み始めると、「そうそうこの感じ」
何気ない日常や生活でのエピソードが描かれているのだけど、そこに彼の目線で見えた解釈がユーモアある楽しい言葉で説明されている。


『携帯電話の料金を払い忘れても、部屋が荒れ放題でも、人付き合いが苦手でも、誰にでも朝日は昇り、何があっても生活は続いていく。ならば、そんな素晴らしくない日常を、つまらない生活を面白がろう!』


内容自体は、仕事のアイデアが出なくて絶望したり、自分の不甲斐なさを嘆いたり、生活が面倒だったり、負の感情を書いているのだけど、
それを面白おかしく、楽しもうとしている彼の様子がとても好きなのだ。

彼が仕事のスケジュールを入れまくり過労で倒れた時にお母様から、
『過労?...ああ。あんた、生活嫌いだからね。掃除とか洗濯とかそういう毎日の地味な生活を大事にしないでしょあんた。だからそういうことになるの』
と言われたエピソードがあった。

8年前の彼のエピソードに私はひどく共感した。

私も生活が嫌いなんだなと思った。

なるべく辛い現実を見ないようにして、夢の世界を楽しんだり仕事を頑張ったり外見磨きを頑張ったりしていた。
そこで得たものはたくさんあるけれど、もう一人の自分を見てみぬ振りをして置いてけぼりにしていたのだ。

もう一人の自分は、少女のまま止まっている。
そう感じていた気持ちが、府に落ちた感覚があった。


これは8年前のエッセイ本。
面白くて時間を忘れて読んでしまう内容だけれど、今の彼の考えが知りたくなって、4年前の書籍を電子書籍で購入。

『いのちの車窓から』星野源

そして生活はつづく、では自身のエピソードが多かったけれど他者について書かれているエピソードが多くなっていた。
そして前作より、より読みやすくて面白おかしく楽しかった。

そんな素敵な文章を書く彼だけど、エッセイ本を書くきっかけになったのは、『自分が送るメールのつまらなさに愕然としたことだった』と書いてあった。

彼は文章を書くことが苦手だったのだ。
「この楽しい文章は練習によるものだったのか!」と知って驚いた。
しかも彼は、今は書くことが楽しい!と綴っている。

「練習すれば楽しい文章を書けるようになるんだ!」
「自分でも楽しいと思えるようになれるかもしれない!」

と希望が沸いた。

私は頭の中で考えていることを書いたり、話すことが苦手だ。
なぜなら、語彙力がなく恥ずかしいし、話が回りくどく相手に伝わらない。悲しい話はどんどん悲しくなるし、楽しい話は相手を置いてけぼりにしてしまったり、そもそも考えていることがファンタジーで現実離れしていて変わり者だからだ。

でもそんなことを言い訳にしてはいけないな、と思っている。
大好きな物を称賛したり、大切な仲間をおもいやったり、時には誰かにNOを伝えたりを、自分の言葉でちゃんと伝えたいからだ。


と、ここまで書くのに2時間弱かかってしまった。
( ゚_ゝ゚)


いつか私も、
書いている自分も読む人も楽しく、
伝えたい想いが相手に伝わって、
読む気力があまりない人も、
くすっと笑えて、ほっこりできるような、
文章がかけるようになりたい。



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