精神科医だけどつらい自分をどうにもできなかった
ハナコは中年の精神科医です。
多分自分を救いたくて精神科医になったんだと思います。
あんまり昔のことで正直よく覚えていませんが。
昔から毎日つらかったです。
学校もつらい。
仕事もつらい。
休みの日だって悶々としてたりしました。
何がそんなにつらいのか。
自分でもよくわからないまま、時間ばかりが過ぎてゆきます。
いつかどうにかなるのではないか。
祈るような思いで、ずっと過ごして来ました。
ですが、ダメです。
全然ダメ。
いつまでたってもダメ。
一応の知識はあるはずです。
日々診療もしているわけです。
治療ガイドラインとか、薬とかも活用しています。
診療はうまくいったり、いかなかったり。
自分もまだまだだなと、思うことは多々ありますが、
それでも、それなりに良い方向で、治療終了になる方もいるわけです。
なのに自分の心は手に負えない。
自分でいっていることを、自分にも応用してみますが、うまくいかない。
正直いうと、きちんと守りきれないんです。
無理するなっていわれても無理。
悩むなっていわれても無理。
十分な睡眠と良い食事っていわれても無理。
日々生きてくのだけで、精一杯。
だましだましやって来ましたが、
ある時から、身体に出るようになってしまったのです。
頭が痛かったり、目を開けていられなくなったりで、
気がつけば、本も読めなくなっていました。
このままだと、仕事は続けられないな。
でも、やめたらどうやって生きていけばいいんだろう。
ハナコは、いよいよ追い詰められてしまいました。
精神的な要因が大きいのは明らかでした。
自分の心をなんとかするか、仕事やめるか。
今までどうにもならなかったのに、どうやってなんとかすればいいんだろう。
そしてハナコは今でも仕事を続けてます。
ハナコの人生に日が射し始めました。
「雲の上はいつだって晴れている」という誰かの言葉を思い出します。
ハナコの役に立ったのは、いわゆる医学的知識ではありません。
もっと普通のことばかりです。
普通のことを、自分なりに理解してやってみることでした。
ハナコなりの「どうにかした」を書きまとめてみます。
人が瓶に手紙を詰めて、海に流す気持ちがよく分かります。
誰かに届くかもしれない、というだけで、一人でノートに書きつけるのとは、意味が違ってくるのです。
誰かに届くことがあれば、とても嬉しく思います。