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気になる統計 月別自殺者数について(2021年4月末の速報値)

2021年5月14日に警察庁から4月の月別自殺者数(速報値)が公表されました。本年の推移をグラフにまとめると次のとおりです。

タイトルなし

厚生労働省のウェブサイトに情報が取りまとめられているの引用します。

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対前年同月比に着目した報道等を見聞きすると自殺者がどんどん増えているような印象を受けますが例年自殺が多くなる3月と比べると今年も対前月では自殺者数が減っていることが分かります。また昨年は最初の全面的な緊急事態宣言の影響で4月と5月の自殺者数が例年の傾向と比べ大きく減っていたことも分かると思います。このため昨年と比べた前年同月比では大きく増えた形になりますが4月の自殺者数としては直近5年と比較すると昨年に次いで2番目に低いのです。

巷では不況が自殺を増やすという説がよくいわれており実際に統計上でも近年では経済状況と自殺者数には強い相関があったように見えます。そうだとするとアベノミクスの末期にあたるコロナ以前の2019年(令和元年)は平成の不況期以降で最も自殺者数が少ない年であったことは押さえておく必要があります。そして今年の4月はその2019年の4月よりも少なくなっているのです。

今年の4月は変異種の感染拡大により再び緊急事態宣言がだされていますし、それ以前からテレワークの推進の必要性は行政から打ち出されていました。これは私の私見にすぎませんが緊急事態宣言による出勤抑制に一定程度の自殺抑制効果があるように思われます。経済苦は自殺の主要な原因の1つではありますが自殺の最大の原因は身心の健康問題です。昨年の傾向をみてもテレワークの推進には職場でのストレスを軽減する効果があるのだろうと思われるのです。しかしがなら日本型経営の特質のためかテレワークは生産性が下がるという見方が根強くあるため昨年の緊急事態宣言と比べるとテレワーク実施率はそこまで上がらなかったようです。このため今年の緊急事態宣言下では昨年ほど大きく自殺者数が減らなかった可能性があると思われます。

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