気になる統計 宿泊旅行統計調査(2021年3月・第1次速報)
2021年4月28日に観光庁から「宿泊旅行統計調査(2021年3月・第1次速報)」が公表されました。3月の延べ宿泊者数は2,726万人泊で前年同月比+13.9%となりました。
ここで注意しなければいけないことは昨年の3月は既に新型コロナウイルス感染症の影響で観光が大きく落ち込んでいたことです。したがって前年同月比というのは大きく落ち込んだ数字からの変動を表しています。公表資料に時系列データのグラフが掲載されているので引用します。
延べ宿泊者数は1月、2月の緊急事態宣言下よりは回復していますがGo Toキャンペーンが停止されてたこともあり前年の8月、9月と同程度で前々年と比較すれば半分程度にとどまっていることが分かります。さらに再度緊急事態宣言が出されたことから4月、5月はまた落ち込んでしまうことが想定されます。
前年同月比の推移をみると3月になって上がっているように見えますがこれは発射台が低いからであって観光需要が回復しているというわけではありません。ここで注目されるのは外国人の対前年比がマイナス73.9となっていることです。昨年3月からは外国人宿泊者数は大きく低下していてその後は横ばいから微増になってきていたところです。ただし昨年3月はまだ完全に下がりきっていなかったため3月で比較するとまだ減っているような数字になります。しかし外国人延べ宿泊者数の実数をみると2月の21万人から3月は30万人となっており前月比では5割増しで増えているのです。データが転換期をまたぐ場合は前年同月比だけでなく実数の時系列もみておかないと実態を見誤る場合があるので注意が必要です。
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