日本のスカンジナビア
毎年2月28日に訪れる長野。
今年は、最も暖かく、雪化粧した浅間山が太陽に輝いていた。
浅間山は、何度も噴火して木が育つことも難しい。
けれど、冷たい雪に覆われた山肌は、陽の光を浴び美しく輝く。
10代から20代を東京の歌舞伎町で過ごした人が
「もう、ここから出たいと思わないなぁ・・・」という。
なんで?
「空気がうまいし、
なにしろ、景色がきれいだからね。
この間、イベントに久しぶりに行ったら
人が多すぎて気分が悪くなった。
自分がこんなふうになるなんて、思いもよらなかったよ。
まったく、ネオンが恋しいと思わない(笑)」
春夏秋冬、違った側面を見せる雄大な自然の中に身を置くと
物事へのこだわりが少なくなるらしい。
カフェや自治会館など、
人が集まる場所で、本棚がよく見られるのも、この地域の特徴。
昔から市民の学ぶ意欲も高く、
「公民館」という言葉が動詞として
「公民館する=みんなで話し合う」となっているほど
社会教育も充実しており、いわんや、市民の成熟度も高い。
コロナ禍では、オンラインでの交流を
いち早く全地域に取り入れた県でもある。
しかも、海はないはずなのに、魚も安い。
野菜・果物・乳製品・・・なんでもござれ。
キノコにいたっては、スーパーの陳列棚1列分・・・
厳しさと美しさとを持つこの地でならば
大いなる自然に身を委ね
本来の人間の五感を取り戻せるのではないか・・・
#どこでも住めるとしたら 、そう感じられる長野がいい。
ここでなら、修復的司法も夢ではないかも・・・と、希望が湧いてくる。
「うん、住むにはいいところだよ。何もないし不便だけどね・・・」
紆余曲折を乗り越え、ネオンの光を捨てた彼の横顔を、
浅間山の雪光が、やさしく包んでいた。