「 未定 」#49 Where to go
イズコはソイールの街をあとにして街道を一人で歩いていた。バッセーロが死んでしまった今、彼は進むべき旅の進路について考え込んでいた。しかし彼は『銀の鬼』の一味から追われている身なので、やはり同じ場所に長居することは良くなかった。呪いを解くための旅、そんなことは彼自身にとって正直どうでもよくなった気がしていた。仮にこの呪いから開放されたとしても、それだけで自分が幸せになれる気がしなかった。そんなことだけで自分の心の乾きが潤されることは決してないと確信していた。もっと別のものを追いかけるためにこの旅を続けるのだ。誰かのためにということもそのひとつなのかもしれないが、心が引きちぎれバラバラにならないように、また心だけでも天国に住めるように、突き進んでいく。それがなにより僕自身のためになるのだから・・・
突然前方から声が聞こえてきた。
「おい、小僧!!」
前方をよく見ると大きな岩がうず高く重なり合う上に男が立っている。よく見ると周りに数人はいるようだ。それぞれ弓や剣、ダガーなどを手にしており、身なりからも盗賊に違いない。そういえば酒場で、旅人が盗賊に頻繁に襲われ命を落としているという噂話を聞いていた。一人で旅をしているから狙われる確率は高かった。
「お前さんに二つの選択肢を与える。一つはソイールの街に戻りあちこちの建物に火をつけてくること。そうすればこの金貨の入った袋をやろう。もう一つの選択はそれを断って俺たちに殺されるかだ。この人数だぜ冷静に考えろよ。へっへっへ、さあ、どっちにする?」
盗賊のリーダーらしき男はダガー手に持ちポンポンと反対の手のひらを打ってこう告げたのだった。
「なにぃ!・・・でも変だな、盗賊っていうのは金品を奪い取る連中じゃないのか?報酬を渡す盗賊なんて聞いたことがないね。誰かにに頼まれたな」
「ふん、金の苺なんか取ってきて調子こいてるようじゃないか。それが面白くないっていう依頼なんだよ。つべこべ言わずに早く選べよ」
「そうか、わかったよ・・・返事は、これだ!!」
イズコは片手を突き出してファイヤボールを発射した。
盗賊のリーダーの足元にファイヤーボールが炸裂し、彼は倒れ込んだ。
「うわぁ、この野郎っ!お前らやっちまえっ!!」
一同「おう!!」
あっという間に盗賊に距離をおいて囲まれたようだ。どこからか集まって10人くらいはいるだろうか。なんだかこの前のソイールで襲われた時と類似しているな。あのときはエンディーロが助けてくれたんだった。そうだ、このピンチは彼の力でなんとかしよう。イズコは自分体の中の閉ざされた扉を激しく叩き出した。
ドンドンドンドン
(お〜〜い、起きてくれよ、頼むよやべえよ、このままだと死んじゃうよ〜この前はちょっと冷たくしちゃったけどさ、やっぱり君の存在重要だよね〜だから力かしてくれない?ねえったら、ねぇ〜)