「 未定 」#50 Escape
ドンドンドンドン
イズコは自分の胸の中にある扉を激しく叩いた。
ギィィーーーー
扉が鈍い音を立ててわずかに開いた。
「なんだよ、、うるせえな」
イズ「緊急だ!悪いが力を借りたい」
エン「ふん、、、都合がいいな。自分でなんとかしろよ。俺はお前の手下じゃねえよ」
イズ「俺はお前で、お前は俺って言ってただろ。僕が死んだらお前もいなくなるんだぞ、協力しろよ!」
エン「報酬はなんだ」
イズ「君が自由が欲しい時は言ってくれ、相談に乗ろう」
エン「曖昧なことより具体的なことを言えよ」
イズ「3日は確実に君に自由を与えよう」
エン「よし、わかった。忘れるなよ」
エンディーロは扉を開けて身体のマスターとなった。
「さてと、仕事を始めるか」指の関節をポキポキと鳴らしてつぶやく。
エンディーロは呪文を唱えると、盗賊たちの眼前に爆発が起き周囲が煙に包まれる。
「や、野郎!どこだ。弓を射れ!」
数人が弓を煙幕に向かって入り始めた。しかし次第に煙は消え始めると、そこにはイズコの姿はどこかに消え失せていた。
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イズ「どんな呪文を使うかと思ったら、逃げ出すとはね」
エンディーロは煙幕を発生させ、姿を消す呪文を唱え盗賊たちの注意をそらすために数体のゴブリンの幻影を生み出したすきに、姿を消す呪文を唱え逃げ出したのであった。
エン「あのなぁ、古の兵法家も戦わなくてすむことが最善の戦略だっていっているぜ、感謝しろよな。おい、俺のこと悪党扱いしてたけど、この身体は俺が主人のほうがいいんじゃないのか、お前が部屋に引きこもっていたほうがいいみたいだぜ」
イズ「う・・・」
エン「まあいい、約束忘れるなよ」
エンディーロは再び扉の奥の部屋に戻っていった。
これで彼に助けられたのは2回目だ。同じ自分なのにね、不思議なもんだ。しかし彼に借りを返すときが心配だ。大変なことにならなきゃいいが。
イズコは再び旅路を進め、街にたどり着いた。人が多くいる場所は嫌いではないが、またトラブルに巻き込まれるのではと考えると気が重くなる。
宿屋を探さなければと思案していると、広場に随分人が集まっている。若い女性が踊りながら歌を歌っている。それを見るために人がこんなにも集まっていたのだ。さすがに多くの人が集まり近くでは観れないが遠目ながら鑑賞することにした。