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徒然ならない話 #21 変われないままの私を

こんにちは。こしあん派です。
私事ですが、先日3年ぶりに恋人ができました。

アプリを通して出会い、交際に至ったわけですが、
本当に相手はいい人で、優しくて一緒にいて穏やかでいられます。

久しぶりに誰かに愛されてるなあと強く実感しています。

全てが順調、だと思います。

だけど僕は最近、辛さに拍車がかかったように心が重く感じます。


今月の頭、高校時代の友人が今の家に遊びにきました。
自然に同級生たちの今についての情報交換が始まり、楽しく会話していた時、
僕が一番聞きたくて、遠ざけたかったあの名前が唐突に出てきました。
なぜなら僕は先月の終わり、1年ぶりにその人に会いたいと連絡し、引っ越しを理由にやんわりと断られていたからです。

「そういえば全国転勤のとこに就職した弊害が早速出て香川に飛ばされるらしいよ」

友人がそう言った瞬間、あんなに楽しかったのが嘘のように、
全身から力が抜けていくのを感じました。
視界は狭まり、感じ取れる心臓の音は不自然なくらい遅く感じ、
体から水分が抜け、体の内側から冷気が伝っていくようでした。

香川に行く、なんて言われなかった。
言わないまま行くつもりだったってこと。

そんなに時間をかけずとも、それがどういう意味なのかはすぐにわかりました。
僕はもう遠ざけたい存在にされたんだと。

それは別に当たり前のことで、4回も懲りずに告白し、自分の都合で会いたいだのもう二度と会わないだの、友人でいたいという願いを無視して振り回す僕のことを避けたいと思うのはごく自然です。

だけど心のどこかで、辛い瞬間になぜかいつも近くにいてくれたその人なら、僕を見捨てずにいてくれると思っていました。
だから、事実として、自分は嫌われた、会いたいと思われなくなった、
それを目の当たりにした時、
全てに何の意味もなくて、僕には何も無くなってしまったように感じました。

そこから数日間のことは、正直あまりよく覚えていません。
何かの糸がプツリと切れたように、僕は別々の知らない人と会っては一夜限りの体の関係を結びました。
自分の中が空っぽなことから逃れたくて、
一番大事だったものが消えたことを受け入れられなくて、
関係を持った相手の顔も思い出せないくらい不毛な時間を過ごしました。


そんな日々は突然終わりを迎えました。
それまでのように体目的で出会ったとある年上の方と、なぜか話が弾み2時間以上喋りっぱなしになりました。
することはしたけど、それ以上に、
会話が楽しい、あたたかい人だと感じて、久しぶりに素敵だなと感じました。
そこからほぼ毎日会うようになり、意気投合した結果正式にお付き合いすることに。

自分を含めてめちゃくちゃにすることに躊躇がなくなっていた僕を、浅瀬まで引っ張り上げてくれました。

今もその人と一緒にいると、安心感や愛情を強く、確実に感じられ、
これが愛し愛される、ってことかなとも思いました。


それなのに、ふと僕はあの人のことを思い出してしまいます。
会いたいと思ってしまうし、声が聞きたいと思ってしまいます。

今お付き合いしている人のことはすごく好きで、大切に関係を紡いでいきたいと思っています。
だけどそういう自分がいる一方で、過去を救ってくれたあの人の優しさをいまだに求めてしまう自分もいます。


この気持ちはなんなんだろう。
本音を押し殺して、
相手に好かれたくて、
嫌われたくなくて、
必要とされる都合の良さを見せたくて、
色々な理由を捻り出してきました。

その結果、今僕は自分の頭に浮かぶ考えが本当はどういう姿形をしているのか、
自分自身の意思なのかもわからなくなってきました。

今のこの相反する二つの気持ちも、自分でも理解も説明もできないのです。

心を曇らせるほどあんなに欲しかった優しさが、体温が、幸せが、
やっとの思いで手に入ったはずなのに。

なぜか苦しくて辛かったあの頃の残り香に縋ってしまいたくなります。




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