性格や能力は遺伝か、それとも環境か?
私たちの性格や能力を決めるのは 遺伝なのか? 育った環境なのか? 最近読んだ本が面白かったので内容を共有したいと思います。
1.性格は遺伝50%・育った環境50%、能力は遺伝の影響大
現在、「行動遺伝学」という分野で性格や能力を決める遺伝と育ちの関係について、かなり研究が進んでいるそうです。一卵性双生児と二卵性双生児を比較した長年の膨大な研究データが蓄積され、けっこういい線いってるんじゃないかという結果が出ているらしい。
まず結論からシンプルにまとめると以下の通り。
2.スポーツ選手や音楽家になれるかは親を見ればわかる
面白いのは性格や能力といっても、それぞれの内容や分野によってこの比率にかなりの差があることです。
遺伝の影響が強いのは、音楽、数学、スポーツ、執筆などで、遺伝の影響は80%を超えている。ということは、プロスポーツ選手になれるか、音楽家になれるかどうかは親を見ればわかるということになる。
音楽やスポーツが親の影響を受けているというのは、感覚的に分かりやすいですが、数学や執筆も遺伝の影響が80%超というのは意外だった方も多いのではないでしょうか。
知識や記憶力などは遺伝約6割、残りは非共有環境の影響らしい。非共有環境とは、親の子育てではなく家庭の外での環境。どんな友人とつるんできたかとかです。
共有環境:兄弟姉妹と共有している家庭での環境(子育て環境)
非共有環境:家庭の外での環境
知識や記憶力に関しては、遺伝の影響が強いとしても、家の外での環境(学校や会社での人間関係)にも左右されるというのは面白いですね。
3.自尊心や鬱傾向の遺伝の影響は?
性格の分野でいくと、外向性、神経質傾向、調和性、誠実性なんかは遺伝と非共有環境がほぼ半々。
うつ傾向は、遺伝が約4割、非共有環境が6割。自尊感情は、遺伝が3割、非共有環境が7割。
自分が好きかどうかは、親の影響よりも、家以外での環境が強い影響を及ぼしているのですね。
4.子育てはほとんど関係ない
この行動遺伝学の研究が進むことでこれまで常識とされてきた考え方がくつがえされることになりました。それは、子供の性格や能力には家での子育てはほとん関係していないということ。
え!? そうなの?? と思いませんでしたか?
でも考えてみれば、兄弟って能力も性格も、そしてその後の人生もまったく違うというのはよく聞く話です。
子供は友人関係など子供独自の世界でその環境に合わせて性格を作り上げていきます。あるグループにいたら、グループ内の友人たちとうまくやっていくことが生き残りの優先事項になる(親の言うことより大切!)。変わっていく環境や人間関係に合わせて対応していくように人類はこれまで生き延びてきたことから、親の子育てよりも、家の外での環境や人間関係の方が影響力が強いのではないかということです。
というわけで、プロスポーツ選手や音楽家の道はあきらめたとしても「性格」に関しては自分がいる環境によって、誰と多くの時間を過ごすかによってつくりあげていくことができそうです。
あ、ちなみに癌や高血圧になるかは遺伝よりも外部環境の方がずっと大きいです。生活習慣病というくらいだものね。