備忘録 22-12-19
熱閙(ねっとう)の中に一冷眼(いちれいがん)を着くれば、便(すなわ)ち許多(きょた)の苦心思(くしんし)を省く
――熱閙中着一冷眼、便省許多苦心思
『菜根譚』
「熱閙」とは、あわただしく動き回っている状態。そういうなかにあっても、冷静にあたりを見回すだけの余裕があれば、ずいぶんと心のいらいらを解消することができる、というのだ。ちなみに「許多」は、たくさん、多く、「苦心思」は、苦しい思い、という意味である。
あわただしく動き回っていると、どうしても気持ちが上ずってくる。ミスも出やすく、事故も起こりやすい。それを避けるためには、常に沈着な判断力を持つ必要がある。体は動き回り、頭はめまぐるしく回転していても、心はいつも冷静でなければならない。そのためにはまた気持ちに余裕がほしいのだという。
「忙中閑あり」という。「閑」の時を持てればいちばんよいのだが、「忙中忙」の人は、 ふだんから意識的に努力して冷静な判断力を養っておく必要がある。『菜根譚』のこのことばは、「忙中忙」のわれわれには格好のアドバイスであろう。
以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より
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