備忘録 22-12-11
知ることの艱(かた)きにあらず、行なうことこれ艱し
――非知之艱、行之惟艱
『書経』
各企業とも、組織の活性化をはかろうと、幹部研修に力を入れているが、その先鞭をつけた企業の一つが日立製作所。同社の我孫子研修所には、筆者も招かれてよく出かけて行くが、玄関を入った正面の所に、「行難而学易」という文字が刻まれている。「行うは難くして学ぶが易し」とでも読むのであろう。倉田主税元社長の筆になるものだという。研修した内容を実践の場で生かすことを期待したことばであるにちがいない。
ところで「行難而学易」のいわれをたどっていくと、表題に掲げた『書経』のことばが浮かんでくる。意味は全く同じである。殷(いん)の高(こう)宗に仕えた傅説(ふえつ)という名宰相が、高宗を戒めたことばだという。
さらに、これをひっくり返して「行易知難(行なうは易く知るは難し)」を主張したのが革命の父と呼ばれる孫文である。孫文のほうは、当時の漢民族が祖国の現状に対してあまりにも認識不足であったことに警鐘を鳴らそうとしたものであった。
以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より
今日も一日顔晴りましょう。
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