備忘録 22-09-14
書は多くを看る(み)を必せず、その約を知らんことを要す
――書不必多看、要知其約
『近思録』
宋(そう)代に、程伊川(ていいせん)という大学者がいた。朱子(しゅし)の先生にあたる人だが、あるとき門人から学問の方法を問われたとき、「すべからくこれ書を読むべし」と前置きしてこのことばを語っている。必ずしも多く読む必要はない、ポイントをつかむことが肝心だという意味であろう。そしてさらに、「多く看てその約を知らざるは書肆(しょし)のみ」という一句をつけ加えている。本屋のおやじと同じだというのである。
現在は宋代とちがって本の出版量がケタ違いに多い。だから、どうしても多読を強いられることになる。だがムリして読んでも、読んでよかったと思う本は意外に少ない。
井川先生の言う「少数精読」主義は、今でも一定の効用をもっている。とくにそれは古典の場合にあてはまるように思う。一冊の古典にじっくり取り組めば、先哲の教えが生きた知恵として現代によみがえってくるはずだ。
以上、「中国古典一日一言」(守屋洋)より
今日も一日がんばりましょう。
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