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来年も台北、そして韓国ソウルへ書店・出版事情視察に行きます。
私、出版流通ウォッチャー豊田の本業は出版サービスヴィレという自費出版の編集社で、個人で営んでいます。おもに高齢者の小説・歌集・研究書や自分史を作っています。
10年ほど前に会社勤めをしながら立ち上げた出版サービスヴィレ。
初期のテーマは「出版でアジアをつなぐ」でした。韓国や中国・台湾につながりができたため、当初はそれらを活かしたビジネス展開を考えていました。自費出版や広告の翻訳版制作なども何度か手がけました。 しかしそれらを広げることができず、現実的な高齢者対象路線に転換、現在に至ります。数年の時を経て、本業のヴィレの自費出版制作業は今や具体的な目標となりました。
来年度も台北とソウルへ訪れます。
目的は国際ブックフェアで出版社ブースを視察することと、独立書店視察(取材も含みます)です。
おもに台北国際書展(TIBE)を中心とした出版事情視察は2014年、2015年、2016年、2018年、そして来年2月で5回目となります。
一方の韓国ソウルにも来年6月に訪れる予定です。こちらのほうはソウル国際ブックフェア(SIBF)です。2010年5月、2018年6月に引き続き3回目となります。
ネット記事やSNS、雑誌などでの情報収集も貴重ですが、やはり生の声、実際に現地で繋がっていかないと将来のビジョンは前進しません。
夢を具現化するために種まきに行っております。その内容はまだ公表できませんが、ちゃんと形になったときにお伝えしたいです。
冒頭の写真、雑誌「東京人」2018年12月号本屋特集では台湾、香港、韓国、インドなどアジアの書店事情を取り上げていました。
「本の未来を探す旅 台北」「 〃 〃 ソウル」(朝日出版社刊)など台湾・韓国の独立書店に関する書籍も発行され、さらには大阪市・北加賀屋では名村造船所跡地において「ASIA BOOKMARKET」と称し韓国・台湾・香港・上海などから独立書店、独立出版社などを招いたイベントが開かれる時代となりました。
さらにはK−文学と呼ばれる韓国の現代小説が出版社から発行され、注目を浴びつつあります。
ボクにとって少しばかり追い風の時代となりました。
古い感性を持つ人たちからは「これでビジネスとしてやっていけるの?」という声が聞こえてくるかもしれません。新しいことを行えば必ずといっていいほど「出る杭は打たれる」の状況になります。
……しかし言いたいのです。
ボクも出版不況のひとつ「取次崩壊」のあおりを受け、取次会社を希望退職した身。30年前、いったい誰が想像したでしょう?
平成大不況とIT革命、少子高齢社会と、この20年ほどで日本は大きく変わっています。にも関わらず出版業界は根本的な変革をすることができず、ネガティブな事しか語れない状況がずっと続いています。
アジアの書店・出版社とつながり、新しいものを作り出す。いや世界でつながる。これもひとつの方法だと思います。
文化というカタチはやがて産業として大きくなる、とも言えなくもありません。
風穴を開けないといけないのです。今小さな現象だとしても、将来は大きなうねりになるはずです。
だから未来への種まきをしているのです。
それらが芽を出し、花が咲く時まで。