マガジンのカバー画像

本と本屋の観察日記。

16
本と本屋に関するつれづれ日記。 出版不況が叫ばれて20年近く経ちますが、果たしてホントはどうなのか? ヴィレ豊田による本にまつわる日々を綴っていきます。
運営しているクリエイター

#出版

「三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実」から出版取次会社と団塊世代を見つめる

7月中旬現在でも絶賛公開中の作品。 この作品を観て、戦後昭和の社会の混沌から現代の日本を紐解くことができるかもしれない。 コロナショックによる3月末の緊急事態宣言の前、「伝説の討論」と呼ばれるこの映画を観に行ってきた。 三島由紀夫没後50周年だ。自衛隊で割腹自殺した有名な事件が1970年。 国粋主義(右翼)とみなされた三島と、共産主義から分かれたいわゆる新左翼の一派の構図と見られがちだ。 ネタバレになるが、怒号が飛び交うような討論会ではない。 東大全共闘の学生1000人対文

団塊世代と出版取次会社 Playback若手取次社員時代

現在、独立して7年以上経ちますが、会社員時代も少しづつ過去のものになりつつあります。 ここらで人生の一区切りをつけて、会社員時代の棚卸しの意味を兼ねて投稿したい。入社して10年以内の若手時代に焦点を当てて書いてみた次第です。 1991年春、株式会社大阪屋(現・楽天ブックスネットワーク)という出版取次会社に入社しました。 元々新聞記者志望で、第二志望が出版社の編集者職だった。大学をマスコミ浪人という名目で留年、その間新聞社の入社試験を受けるもすべて不合格でした。 腰掛け就職

バブル崩壊期と出版取次会社 Playback若手取次社員時代 その2 営業から物流センターへ

いつまで言っているのだろう『出版不況』。 出版不況の原因は? まあネットの時代に突入し「雑誌が売れなくなったこと」と「コミックの市場が縮小していったこと」が最大の原因ではあるが。 要は携帯電話やITなど、90年代の頃から時代の流れにほどんど向き合っていない。 いつまで昭和的価値観を引きずっているのでしょうか? 引き続き腹の底に残っている会社員時代を振り返り、過去として断捨離していきたいと思います。 開発企画部から少し希望していた営業部へ異動 入社時の1991年はバブル崩壊

平成大不況以降の出版取次会社 Playback中堅社員時代 元気な大阪屋から退職までの日々 前編

1997年から平成大不況の時代に入った。 戦後最悪の大不況時代で大きな曲がり角を迎えた日本。 出版業界も同時期に右肩上がりの時代を終え、街の書店の廃業が相次いだ。いわゆる出版不況が始まった年だ。 時を同じくして到来したIT時代。その波を感じてボクは1998年6月に初めてPCを買い揃えた。プライベートでインターネットを始めること、そしてDTP(PC上でのデザイン・編集作業。DeskTop Publishingの略)の勉強をするのが目的だった。 KBCでは学参辞典担当でブイブ

第七回文学フリマ大阪出店  新作【本でつながる台湾】販売。

先日9月8日(日)、大阪市天満橋OMMビル2Fイベントホールにて開かれた文芸同人誌即売会・第七回文学フリマ大阪に出店しました! ちなみにここでは本業の自費出版制作業の出版サービスヴィレを『インディーズ出版ヴィレ』という名義に変えて出店しています。  『文学フリマ』とはいわゆる活字系同人誌・自費出版物の即売会で、2002年に東京でスタートしました。以来年々規模を拡大し、全国で展開しています。今回の大阪でも約500ブース、来場者は2000人を超えたそうです。 文学フリマ ←(リ

+5

香港の独立書店と出版。過去最大規模のデモに揺れる香港!

本の取次苦境 ほころぶ流通網

朝日新聞6月12日(水)朝刊の記事より抜粋  うーん、なんか出版流通に関するまともな記事が出た、という感じ。 内容は、 零細出版社の幻戯書房が自らマージンを下げたこと。取次への卸値を68%から60%に引き下げた、という画期的なこと。 あとは出版業界のみならず巷で語られている配送危機について。 取次会社が書籍の値上げを求めている、ということ。 あとトーハン・日販の大手2社も新たなビジネスモデルを模索中で、結びは出版業界に詳しいライター・永江朗さんの「(略)書店という販売拠点を

+27

台北の独立書店たち2019〜その2