水も僕らも旅をする
真夏のある日、ふと思い立ち、高尾山に登ろうと思った。
電車で約1時間。
麓につくと、私は水沿いのコースを選んで登り始める。そこは、水の涌き出る登山道だった。
木漏れ日が小川に反射し、プリズムとなって輝いていた。
水のせせらぎが私を癒し続けた。
心がどんどん清らかになっていくのを感じる。
一歩一歩、歩んでいく。
頂上に着くと激しい日差しが私を待っていたが、山頂の湧水が私の体を冷やしてくれた。
水は、山から川として海に注ぐ。太陽の光によって蒸発し、やがて雨や雪となる。
その過程で、液体になり、個体になり、気体になる。
水だって旅をしているのだ。
人間も、流れに任せて、自分を変えたっていいのかもしれない。
炎天下の日、太陽と水はそんなことを教えてくれた。