ウエハース地獄 ~クリスマスの思い出~
クリスマスと言えば、両親から「サンタさんはいません」宣告をされた翌年のクリスマス。それでもプレゼントは買ってくれるらしく、オカンに何が欲しいかと聞かれ、
「ビックリマンチョコ箱買い」
と即答した僕。
ちなみに当時小学生の僕は、チョコレート等の甘いお菓子があまり好きではなく、さらにウエハースのあの口内の水分をすべて持っていかれる感じも得意ではなかった。プロ野球チップスはカードもポテトチップスもどちらも楽しみにしていたけれど、ビックリマンチョコはシールが目的でウエハースチョコはそれほど好きではなかった。
ビックリマンチョコはオカンが事前に購入してくれていて、クリスマスイヴの夜に開封するようにと、自宅のどこかに隠して保管していた。当時その言葉があったかどうかは定かではないが、小学校低学年での「大人買い」初体験に血沸き肉躍り(自分で買ったわけではないが)、イヴの夜まで待ち切れずに家中を探し回って、仏間にある押入れの奥の方にビックリマンチョコの箱を発見した。
その中から小袋を全部開封し、シールだけを抜き取った。
当然、それを発見したオカンにクリスマスまで待てなかった事と、よりによって全部開封した事について叱られ、ひっぱたかれた。
オカンは残された大量のウエハースチョコをバカでかいタッパーに詰め、それを毎日食すことを僕に課した。
クリスマス当日も僕は数日前まではビックリマンチョコだったウエハースチョコを泣きながら頬張っていたわけだが、その光景をはたから見たら、商品よりもクリスマスに泣きながらタッパーの中の駄菓子を食っている小学生の方がビックリマンだったに違いない。
今考えると、なぜあの頃はあんなにウエハースを食べるのが苦痛だったのかわからない。