背番号16
私は今、男子フットサルチームでスタッフをしている。あまり知られていないかもしれないが、そこに女子チームがあった時代の選手でもあり、広くくくれば「出戻り」ということになる。
選手時代
小さい頃からサッカーが好きだったわりに、機会もそうなく、せいぜい同好会レベル。ただ執着だけはあったのか、社会人になって競技フットサルチームの門を叩いた。そこにいたのが今の男子チームの監督や選手、そして、何を隠そう私とは全く違う、"サッカーエリート"な女子選手たちだった。一緒にできることが嬉しい反面、練習ではいつも監督に怒られ、試合となれば出場機会はほとんどあるはずもなく、ベンチを温めるばかりだった。
長く通っていたスクールのコーチを思い描き、同じにしようと選んだ「背番号16」は、誰の記憶にも残らないまま時間だけが過ぎていった。
スタッフ転向
仕事の忙しさもあって結局選手生活は長く続かず、3シーズン目は友人が指揮するチームでマネージャーとしての再始動を切った。あれよあれよと続いてしまい、気づけばそこから5年。もう、やりきったと思って退いた先に、うっかり"古巣"の男子チームの試合を見に行ってしまった。
そして、うっかりまたマネージャーとして帯同する日々が始まってしまった。
背番号決め
シーズンが切り替わっていよいよ正式にスタッフ登録するとなった年、選手もユニフォームを作り替えることとなり、記念に私も同じものを作らせてもらうことにした。背番号は若い番号を選手に空けたいのもあり、誕生日から取った「22」を希望として提出した。
いよいよ発注となり、練習で最終確認が行われた。その時だった。
「萌花ちゃん、選手のとき16番だったよね?」
発言したのは、あのとき試合に出してくれなかった監督だった。
背番号16が、また好きになった。