手元に残さないためのメルカリへの出品、それでも実は"残った"話。
2022年1月、家庭科の授業ぶりにミシンを手にした。ずっと続けてきたスポーツをやめると言ったタイミングで、新しい趣味をと母が買ってくれたのだ。
意外にも夢中で針を刻んだ。トートバッグ、シュシュ、ペンケース…世界に1つだけの作品が次々と生まれる。
さて、困った。
というのは、自分の物を作り続けているだけでは、やがて物が溢れてしまう。縫いたい、けど、これ以上何を作るというんだ。
そんなときに、ふと思い立ってぬいぐるみの服を作り始めた。というのも、私の家族はダッフィフレンズが好き。その子に着せる服をプレゼントすればいいんだとひらめいたのだ。ネットで型紙を入手して、あとはとことんかわいく仕上げていく。
いざ完成品を母にプレゼントすると、驚くほど喜んでくれた。そしてひとしきり着せ替えを楽しんだあとに、「こういうのもっと作ったら、売り物になるよ!」と言ってくれた。
そんなわけ。
ないとは思ったけれど、出品するのはタダだ。勇気を振り絞って「メルカリ」を開き、出品作業を行った。
自宅の不用品を売ったことはあれども、ハンドメイドは初めて。こんなド素人のものを…自分が自分を一番疑っていた。が、売れた。予想に反して、複数売れていく。
ありがたいことに初めて出品した2022年12月から今に至るまで、60着以上が売れていった。計算上は1週間に1着ほど売れていることになる。
幸いにも…
購入いただいた方からは暖かいメッセージをいただき、リピートしてくださる方も増えた。昨年のクリスマスには、サンタさんのプレゼントにと選んでくださった方までいた。
さらには私の作った服を着たぬいぐるみが、メルカリのアイコンを飾っていた瞬間にまで出くわした。こんなことがあろうか、購入者のアイコンをまじまじと見たことは、後にも先にもない。
#メルカリで見つけたもの
元はと言えば、物に溢れることを嫌って、人にあげられるぬいぐるみ服を作り始めた。実際に家族はもちろん、こうして全国の人たちに買ってもらえることで、手元にはほとんど残らない。が、実は"何も"残らないわけではない。メルカリを通じていただいた購入者からの言葉や写真、そして思い出が、作り手の私には確実に残っている。