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【NYY】Rule5プロテクトへの所感【ルール5】

現地11/19がRule5プロテクトの期限だったことから,NYYにおいてもロスター編成に大きな変更が加えられました。今年BOSでクローザーを務めたWhitlockはRule5によって流失した人材であることはファンの記憶にも新しく,例年以上に誰をプロテクトするかが注目されていたように思います。

実際の動きは以下のとおりでした。

40-man Roster入り(プロテクト)
Everson Pereira(OF)
Oswaldo Cabrera(IF)
Stephen Ridings(RHP)
Ron Marinaccio(RHP)
JP Sears(LHP)

DFA
Rougned Odor(2B)
Clint Frazier(OF)
Tyler Wade(UT)

トレード放出
Nick Nelson(RHP)
Donny Sands(C)

DFAとトレードによって5つの枠を空け,今季キャリアハイを迎えたプロスペクト5人を加える形となりました。今回は動きのあった選手の紹介よりも,動きそのものの狙いや個人的な所感を項立ててまとめます。

①Randy Vasquezは対象ではない

Rule5プロテクトを迎えるにあたって,マストで押さえなければいけない何人かの選手が各媒体より紹介されていましたが,投手筆頭であったのはRandy Vasquezでした。今季Low-Aでシーズンを迎えた23歳の右腕は圧巻の投球を披露。終盤には2A昇格までに至りました。私も当然今回のRule5対象にかかる選手と思っていたのですが,直前に「VasquezがRule5対象となるのは来年から」との一報が流れました。(詳細はこちら

生年月日や署名日の関係からVasquezはRule5の対象とはならず,そのための枠を空けなくてよくなったことは吉報でしたね。しかしいつになってもこういった規程を読み解くのは苦手です。

②打撃型捕手2人はどちらもロスターに残らず

Rule5対象選手として,捕手であるJosh BreauxDonny Sandsのどちらかはロスターに入れるのかなー?と思案していましたが,蓋を開けてみれば先般ロスター入りしたSandsはNelsonと抱き合わせでPHIへトレード。Breauxについても枠に入れられることはありませんでした。

そもそもSandsがロスター入りしたのもマイナーFAを避けるための動きであり,対価を得る形で放出することができました。

Breauxも守備力の改善著しいとはいえ,Rule5ドラフトにおいてはどこにも指名されないのではと踏んでいます。

③中堅投手3人をキープ

冒頭でも触れたとおり,特に投手のプロテクトをどうするかが注目されていましたが年齢層が高めの3人がロスター入り。Ridingsについては衝撃のデビュー以降もブルペンで貢献できることを証明していただけに当確とされていましたが,当落線上であったMarinaccioSearsを両方プロテクトするという判断には驚かされました。どちらもマイナーでは屈指の成績を残せていますし,ChapmanとBrittonに陰りがある中ですので頭数を確保できたことは👏。欲を言えばMatt Krookもキープしたかったところですが枠が足りず。流失もやむなしでしょうか。

両者ともにリリーフ起用でブルペンを下支えできる能力があると思いますし,伝統的に一定以上の強度を保っていたヤンキースのブルペンをLoaisigaやHolmesらと共にハイエンドなものへとさせてほしいですね。また,Searsについてはアクシデント時,6-7番手の先発投手としても配置できそうな点も心強いです。

ちなみにMarinaccioは2017年の19位で指名された選手ですが,同年18位で指名されたのが冒頭のWhitlockという因果。今年もプロテクトしていなかったら同じ道を歩んでいたかもしれませんね。

④俺の愛したClint。そしてPereira。

2016年にAndrew Millerの対価としてJustus Sheffieldと共に入団したClint FrazierがDFAされる運びとなりました。Chapmanの対価として得たTorresもあのザマですし生え抜きの若手しか信用なりませんね全く。

お世辞でもなんでもないですが,Frazierは実力でいえば間違いなく通用する選手と断言できます。しかしかつて試合中に負った脳震盪の後遺症が昨年も彼を追い詰めてしまっていたようです。(以前にはペットの名前を思い出せないなどの後遺症もあったほど)

ビジネススポーツの観点でいえば不振に喘いだFrazierに対してのDFAは当然の動きに思えますが,筆者も彼のファンであっただけに残念で仕方有りません。

そして彼の代わりとして外野手のスポットを得たのがEverson Pereiraは今季Rk-LowA-HighAの49試合で20HRを記録している20歳の外野手です。基本的に守備能力の低いプロスペクトは好みではないので,Pereiraのように野球IQと守備センスを兼ね備えつつ,パワースケールも大きい打者というのはドストライク。彼もコロナ休止期間でのビルドアップが功を奏しました。ただし嫁が可愛く,スタイル抜群という点は許せないところです。脱線しますが,彼を評価する際に「49試合の出場に留まった」というのが足枷となっているようです。Jim Callisも記事で述べてたように,プレシーズン時でのTop100入りは現実的ではなく,早くても来年の夏と見るのが良いでしょうかね。K%は高いですが,年齢から考えればまだまだ楽観できると思います。空振り率のほうが深刻かもしれませんが。

⑤グルーガイのWadeをDFAしCabreraに託す

今回のロスターセットで一番争点となっているのはやはりWadeのDFAでしょう。ここ数年,内外野に就けて代走要員としても幅がきくWadeは重宝されており,ファンからの人気も高いように思えました。

FAに伴って,2B-3B-SSを平均以上に守ることの出来るOswaldo Cabreraがスポットを得たことを見ると来年のUT枠はCabreraに託すということでしょう。ツイートもいくつかしましたが,今季OdorとWadeがやっていたUTの役割をCabreraに置き換えることができるならば守備力のみならず下位打線に厚みを持たせられると期待していました。Wadeほどの選球眼は有していませんが,長打力に関しては比較にならない程にCabreraが成長を遂げたと思います。順調に2Aでのシーズンを終えたと思えば,その後3Aに登録され,僅か9試合で15安打 5HR OPS1.716を記録しファンを驚かせました。

ただし,開幕からCabreraがアクティブロスター入りするかは微妙。遊撃手含めて,もう1人内野をフレキシブルに守れる選手がほしいところです。

⑥ロスターにのさばる人類の敵ことAndujar

ドミニカ製高山俊ことMiguel Andujar。ルーキーイヤーに27HRを放つなど,大谷翔平最大の障壁として野球史に刻まれるはずであった三塁手。

非常に残念でありますが,今回のロスター整理によって無念のDFAとなると確信し,感嘆の涙を流しておりましたがまさかの動きなし。かねてよりCashmanの愛人疑惑が立ちこめていましたが今回の件で決定的となりました。

人類の敵AndujarをDFAにしておけばもう1つスポットを確保できた訳であり,守備走塁要員として計算できるかもしれないBrandon Lockridgeをプロテクトする余暇が生まれるはずでした。(というかWadeよりこいつを優先したのが腹立つ)TorresとAndujarが新人二枚看板として踊り出したとき,「球団の未来は安泰!」と歓喜に沸いていた自分をぶん殴ってやりたいですね。

Lockridgeは2A昇格後に唯一のウィークポイントであった打撃で結果を残しはじめていただけにRule5ドラフトでの流失を覚悟しなくてはいけません。私の心に描く未来予想図は
LF Dominguez
CF Lockridge
RF Pereira
だったので思ったとおりに叶えられず,涙が止まりません。

Andujarの影に隠れていますが,3Aでもろくすっぽまともなアベレージを残せていないFlorialの首が繋がっていることも甚だ疑問。2019年Top3有望株であるGarcia・Florial・SchmidtのハッピーセットがMLBで通用しないことはわかりきっているのに。

⑦個人的な総評

今年度のヤンキース傘下を見渡すと,投打ともに躍進を遂げた選手が多く,2020年のマイナーリーグシャットアウトの恩恵を大きく受けた球団のひとつだと言えます。嬉しい悲鳴でありますが,それによって今までのRule5ではスルーされていた人材が,プロテクトすべきかどうか悩ませるほどまでになりました。

CabreraとPereira,Ridingsについては当初よりプロテクト当確組と考えておりましたし,順当にロスター入りさせられたことは良かったかと思います。

また,MarinaccioとSearsについても人足の観点からすれば素晴らしい選択であり,全く異論はありません。

Breauxをプロテクトしなかったことについては賛否ありますが,彼が捕手と大成する姿がどうにも浮かばないのでこの選択も賛成です。

唯一残念だったのが,AndujarとFlorialをロスターに残し,お気に入りのLockridgeをプロテクトできなかったことでしょうか。2A昇格後の成長は目を見張るものがありますし,MLBでも姿が見られればと思っていたのですが,,,。彼が左打者で選球眼も兼ね備えていれば当確でしたかね。それはもはやGardyですけど。

点数を付けるならば79点といったところです。ギリギリB判定ですね。

番外:今オフの補強に関して

もっぱら遊撃手との大型契約が噂されていましたが,ここ最近NYYのフロントの動静は極めて慎重と捉えられています。私もこれ以上の大型契約にはチームにとって悪影響しかないと考えており,SeagerやCoreaの獲得は大反対。(そもそもそんなサラリーをどこから捻出するの?)
上手い具合にトレードなどで守備の上手い内野手を確保できないかと思案しています。FA市場で確保するとなればCBAのゴタゴタは単年契約を結びたい現状にとって,これ以上にないチャンスかもしれませんが,ヤンキースにとってはCBAが決まらんことには新たな閾値との兼ね合いもあって動きづらいのかなと感じています。(FA市場での補強となればAndrelton SimmonsかFreddy Galvisあたりが狙い目でしょうか)

無傷では済まないでしょうが,Luis GilやAFLで大躍進のElijah Dunhamらをメインピースにトレードを画策するのも一つの案でしょうか。

トレードといえばOAKのMatt Olsonを忘れてはなりません。10月末に冗談でOlson獲得に関するツイートをしておりましたが直後にOAKが主力の放出も辞さない動きを見せたのは想定外でした。

ここ何年も攻守で好成績を残していることはもちろん,大きな欠場をせずにキャリアを過ごしている点は見逃せませんね。もちろんOlson獲得となれば莫大な対価を支払う必要があるわけで,遊撃手をトレード獲得する余裕なんてありませんね。

記事にもあがったように,As関係者もOlson放出ならば爆益を生み出す構えですので一切妥協はしてくれないでしょう。そもそもFAはまだまだ先ですから。

そうなるとメインピースにVolpe-Dominguez-Perazaのいずれかを据える必要があることは明白。VolpeはJeter以来のキャプテンシー溢れる逸材であることからもアンタッチャブル。Dominguezも順調なデビューは飾れなかったものの18歳という年齢からすれば天井はまだ先。となると白羽の矢がPerazaに向けられるのは必至でしょうかね。

個人的な意見としては
①契約が膨張していくStantonを獲得し,
②Sheffを犠牲に得たPaxtonが怪我,
③契約延長を行ったSeverinoとHicksは試合に出ることもままならず,
④トッププロスペクトと目されていたGarciaとSchmidtはあのザマで,
⑤Coleと9年300億の契約を結び,
⑥TorresとSanchazが代替要員レベルの価値に落ちぶれ,
⑦LeMahieuとのエクステンションも初年度から焦げ付き,
⑧OdorのためにThairoを放出したチームが到底ワールドチャンピオンに輝けるはずもないと感じていました。

そのヤンキースを救うことができるかもしれないラストチャンスが今季のTDLだったわけです。
Heaney獲得に使用したJanson Junk,Rizzo獲得に使用したAlexander VizcainoとKevin Alcantaraを,Gallo獲得で放出したSmith,Duran,Hauver,Ottoに織り交ぜてStantonやHicksを放出することができればどれだけチーム状況に光明が見えたことでしょうか。今オフも先発&遊撃手&一塁手のうちの2つは満足な補強ができたのでは?
確かにStantonやGallo,Rizzoなしにワイルドカードへの進出はできなかったかもしれませんが,ニューヨークヤンキースの最終目標は「ワールドチャンピオン」ただひとつのはずです。言い方は悪いですが「プレーオフ進出」を目標に掲げているチームとは別物なのです。

前置きが長くなりましたが,TDLで何の清算も果たせなかったヤンキースが再度Prospectを大放出してOlson獲得に走るようであれば何も言うことはありません。そもそもFanFavoriteであるAaron Judgeへの契約延長に必要なのはサラリーのスペースなのです。そのチャンスを再三水泡に帰す有望株の放出は絶対にやめてほしいです。せめてBrittonだけでも今オフに処理できないものでしょうかね。

最後に

なんでBooneもCashmanも当然のように居座ってんだ?

???

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