【MLB】ニグロリーグの記録統合に関する個人的見解【Short】
現地5月29日、かつてアメリカに存在したアフリカン・アメリカンによるプロ野球リーグ「ニグロリーグ(Negro League baseball)」における記録が従前のMLB記録と統合されることが発表。
これにより、ニグロリーグ史上最高選手と謳われたJosh Gibsonが打率・長打率・OPSで歴代1位に立つなど、長いMLBの統計史が一変することとなりました。
このニグロリーグにおける成績統合自体は2020年にMLBが決定済みの事項であり、急転直下!みたいなものではありません。同年にMLBがニグロリーグ統計審査委員会(Negro Leagues Statistical Review Committee)を結成し、「どの試合を公式戦に認定するか」「打席・投球回等の最低基準をどこに設定するか」といった点を徹底議論。人種隔離の影響もあり、年60-100試合程度にとどまっていたことも踏まえると、ここの線引きは一番の争点であったでしょうか。
ここに至る流れも含め、下記記事が一番分かりやすかったので詳細はこちらを是非ご覧ください。規定打席等が決定された事由等が明快に掲載されています。
どうしても既存の体制をひっくり返す、という際にはある種の抵抗感が生まれるのは当たり前であり、今回のニグロ統合に関しても大なり小なり「どうなの?」という言語化しにくい意見を持っている方もいるかもしれません。
以下は持論ですが、
「人種隔離時代におけるMLBは、白人のみのリーグであったのにも関わらず公式記録とされているのだから、黒人のみのリーグであることで公式記録から弾かれる合理的理由がない」という点で大賛成です。
上記記事でも一部記載されていますが、試合数の少なさに関しても「人種隔離の影響によって安定的な日程確保が難しかった」「2020年シーズンも60試合だが算定されている」という点で整合性がとれるはず。パッと思いつくケースでも、1994年のTony Gwynnだってストライキの影響で110試合に留まったものの、打率.394は単一シーズンのランキングにしっかりと刻まれています。第三のリーグとして設立され、秒で滅ぼされた1914-15年のフェデラル・リーグ(Federal League)だって、ちゃんとMLB公式記録との扱いを受けています。
今回の出来事を個人的に総括するに、アフリカン・アメリカンを拒んだMLBの、ひいてはアメリカ社会の暗い過去にしっかりと向き合っている結果とも感じました。ましてやこれを「またポリコレかよ」と俄に断じる人がいるならば残念に他なりません。
最後に
以前、古着屋でNYキャップが売ってたんですけど、「これはヤンキースキャップじゃなくてブラック・ヤンキースキャップですね、ニグロリーグですぞドヒュw」という謎イキリをかましたことを思い出しました。優しい陽キャ店員が「そうなんですよ!よく知ってますね!」と大人の対応を見せてくれました。
あの直線的な風合いのNYロゴがとても好きです。