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【NYY】MINとのトレードについての所感

本noteは「MLB30note」のNYYメイン担当Kzillaさんと相談して作成したコラボ企画となっています。「それぞれの感想をまとめてみますか!」とのご提案をいただき,同じNYY担当ではありますが,それぞれ記事を出させていただきました。Kzillaさんの記事は以下のとおりです!必見!

<以下,私の所感になります>

日本時間3月14日11時30分頃,「なんか大物FAきまってねえかな~」とスマホを起動。

TEXからMINに移籍したばかりのIsiah Kiner-Falefa(以下,IKFとしますに2015年のアメリカンリーグMVPJosh Donaldsonを加えたパッケージがNYYとの間に成立したという一報を目にしました。となると対価は。プロスペクトは誰が放出されたのだろうか。

まさか。2016年のデビュー以来,正捕手として君臨したGary Sanchez,そして2019年より正三塁手の座に就いているGio UrshelaがMINへトレード。今回のnoteでは取り急ぎ,Dealの雑感などをまとめていきます。

①目下の補強ポイント,遊撃手を埋める

前々回の【NYY】遊撃手問題-「Oswaldo Cabrera」という選択肢でも記載のとおり,NYYの正遊撃手候補としていたGleyber Torresが2020-21年共に精細を欠き,2022年シーズンは二塁手としての起用が濃厚となっています。となるとCorrea,Seager,Baez,Storyといった大型遊撃手獲得も有り得たのですが,現在のNYY傘下にはOswald PerazaAnthony Volpeという期待株がおり,2023年ごろのデビューを控えている状況。すなわち,「2022年シーズンだけ起用できる遊撃手」が最もニーズに合致していました。
市場においては,そのニーズを満たすFreddy Galvisがまさかのソフトバンク入団,そしてAndrelton SimmonsはCHCへ。残る希望はSeager入団によってダブついたIKFのみでしたが,彼すらもMINへトレード。多くの方面から「CorreaかStoryに注ぎ込むしかない」といった声も聞こえはじめました。

Oswald Peraza(左)とAnthony Volpe(右)はMiLB全体でも上位の有望株

そんな最中でのこのディール。色々衝撃ではありましたがまずはIKF獲得について。IKFは遊撃はじめ二塁,三塁に就くことのできるインフィルダーである傍ら,捕手でも600イニング近くMLB出場を果たしている希有な存在であります。肝心の守備力は優秀とされていますし,実際2021年には遊撃手としてDRS+10,UZR+1.2(1360イニング)を記録しています。Didiが守備の衰えを見せ始めた2019年以来では一番の遊撃守備を誇る選手として期待しても良いでしょう。

反面に打撃はAVG.271 & K%=13.3と優れたコンタクトスキルに見えると思いきやOBP.312/SLG.357となっており,FA市場のCorrea,Storyといった大型遊撃手ような打撃力を期待するのは酷でしょう。しかし近年のNYYを振り返れば2018年のVoit,2019年のUrshela・Tauchmanといったフリンジレベルの選手を平均以上の打者に進化させた実績も。さらに今年から,マイナーでIKFのようなパワーレス打者をパワーヒッターに変貌させた実績を持つDillon Lawsonが正打撃コーチに昇格することはプラス材料かもしれません。

②2015年MVPのア東帰還

このトレードにおけるもう一つの目玉はやはりJosh Donaldsonでしょう。トロント・ブルージェイズ在籍時の2015年には41本塁打などの活躍でMVPを受賞した三塁手です。

2021 Josh Donaldson

すでに年齢は36歳でありますが,スタットキャストでの計測データなどはまだまだリーグ屈指。Urshelaも素晴らしい打者ではありましたが,打撃力を考えれば大きなアップグレードと言って良いでしょう。

一つ思案しているのは彼の守備位置。かつては名三塁手として名を馳せたDonaldyの守備力も近年は右肩下がりであり,昨年はUZR-6.2を記録。そもそもCruz移籍以降はDHも務め,三塁手出場は93試合に留まっている状況を加味すると,フルタイム三塁手として稼働させるのにはやや限界があるのではないでしょうか。
しかしNYYの指名打者にはGiancarlo Stantonが鎮座しており,怪我のリスクを考えるとStantonを左翼に置くのは数試合に留めたいのが本音。
これは賛否あると思いますが,思い切ってLeMahieuを3B,Donaldsonを1B起用するのもワイルドカードかなと思います。もちろんDonaldyの1B経験はMLBにおいてもわずか5試合(Milb時代ですら10試合69イニング)と非常に少なく,私の妄想レベルですが,,。
ただ,これが成立すれば

1B Donaldson
2B Torres
3B LeMahieu
SS IKF

という布陣が完成し,もう一つの補強ポイントである一塁手も埋められるのかなと。ただし何度も言うように,プロレベルにおいて守備コンバートは困難なことであり,あくまで私の空想の一つと思っていてください。

そしてDonaldson最大の懸念点は守備力ではなく契約の大きさでしょうか。残り2年(AAV 23M)とはいえ年25Mを全額負担という内容には驚かされました。此度のCBA締結によって贅沢税しきい値が上昇したとはいえ,サラリーは依然としてパンパンのNYY。複数の不良債権をこれからダンプするのかなど,今後の動きに注目したいですね。

③さらば新時代の象徴

何度か触れていますが,私は2016年からNYYを応援していた身であり,DidiやCastro,Hicksが躍動するチームが大好きでした。そして同じくらい衝撃をもたらしたのが怪物ルーキー・Gary Sanchez。51試合での20HRなど,NYYの新時代を感じさせましたよね。

もともと守備力に課題のある選手でありましたが,2017年にはAVG.278 33HR OPS.876を記録するなど球界屈指の打撃型捕手として君臨。JudgeとともにBaby Bombersを結成しました。
転機は2018年でしょうか。それまで好調であった打撃で大ブレーキとなり,守備力も相まって評価急落。翌年にはキャリアハイの34HRを残しカムバックを果たしますが,2020-21年は打率1-2割をさまようなど,再び低調に喘いでいました。

2021 Gary Sanchez

今回のディールにSanchezが含まれていることを知った時は大きな衝撃がありましたが,NYYの思惑としては以下のとおりでしょうか。

①打撃力は魅力だが,不振時には守備力も相まってマイナスのリスクのほうが大きい?
②打撃力は他のポジションポジションの選手でまかなえる
③控え捕手のHigashiokaの守備力の方がチームに大きなプラスをもたらす
④2017年以降,PS敗退を続けるチームには何らかの変化が必要であった

特に④は私の主観でありますが,ワールドチャンピオンを目指すに当たって,PSで毎度不振にあえぐSanchezは今季勝負をかけるとした場合には非常に扱いづらい存在といえます。(実際,2020年ALDSで正捕手起用されたのもHigashiokaであり,エースColeとの相性も良いとされています。)
もちろん今オフFAであることから年俸も8M程度と非常に安かったことは無視できませんが,「Sanchez放出」の1点においてNYYの判断が間違っているとは言いがたいです。
なにより,ここ数年のNYY主力野手がトレード放出されるのは2017年オフのCastroのMIA移籍以来だと思いますので,生え抜き,それも新時代のヤンキースの象徴であったSanchezに手を付けた意味は大きく,近年の歴史から見ても大きな転換なのではないでしょうか。

④俺の愛したGio

Sanchez放出よりショッキングであったのはGio Urshelaの放出ですね。
2018年にTORからトレード移籍で加入したGio。翌2019年,正三塁手とされていた選手が開幕直後に負傷離脱,その後も他のポジションに負傷者が相次ぐとLeMahieuのユーティリティーだけでは賄えなくなりUrshelaを昇格。そこからヒットストロークを積み重ねたGioは見事三塁手の座を奪い取ることに成功しました。
MLB通算8HRにも関わらずその年は21HRと成長,ハイアベレージと相まってヤンキースの恐怖の9番打者となっていましたよね。この年,Rays戦で絶対的な守護神であったJosé Alvaradoからサヨナラヒットを打ったのが印象深いです。

(2020WC,田中投手の4失点を帳消しにする,古巣Indiansからの逆転グラスラは吠えました。)

2020年は打撃成績も素晴らしかったですが守備でも多くの見せ場を作り,三塁手ゴールドグラブ賞のファイナリストにもノミネート。プレーオフにおいてもWCのIndians戦,ALDSのRays戦では好守を連発し幾度となく窮地を救いました。
Voit同様に他球団出身ながらも,熱いタフなハートを持った選手としてニューヨークのファンに愛された存在とも言えます。

ただ,昨年も夏場までは奮闘していましたが後半戦はOPS.634に留まるなど打撃力に陰りが見えたのも事実。もちろん今年度の巻き返しにも期待をかけていましたが,このような形でGioとの別れを迎えたことは仕方のないことと割り切る他ありません。
彼もSanchez同様に年俸が安く,2023年オフのFAということで放出の優先順位としては最下位と見ていました。となると,ますます高年俸のDonaldson獲得の裏に,HicksやBritton放出の予感がしてなりません。(というかそうでもしないと色々キツいんじゃないかと,,)

⑤総括

私としては,
①強力なパワーバットの拡充
②守備力に富んだ遊撃手(UT)の獲得
③今後数年コントロールできる若手捕手の確保

をSanchez&Urshelaの二人で獲得できた良いトレードだったのではと感じています。もちろんプロスペクトを付けていたら評価も変わっていたでしょう。

確率1%にも満たないでしょうが,Donaldsonの1B起用が起これば,FreemanやOlsonの獲得は不要,なおかつ怪我がちのVoitをアップグレードすることができます。なによりFreemanやOlsonを静観すれば,まだ5年も契約が残っているLeMahieuのポジションに柔軟性が生まれるかなと考えています。(Donaldsonの契約が切れた後はLeMahieuを正一塁手起用が財政的にも穏やかかなと思います。いかんせんDHにも不動の漢がいるので先の先まで見据えないとチームが崩壊する気がします。)

C Higashioka (2024 FA) / Rortvedt (-)
1B Donaldson (2024 FA)
2B Torres (2025 FA)
3B LeMahieu (2026 FA)
SS Isiah Kiner-Falefa (2024 FA)
LF Gallo (2022 FA)
CF ???(Gardner or Locastro?)
RF Judge (2022 FA)
DH Stanton (2027 FA)
----
1B Voit (2025 FA)
OF Hicks (2025 FA)
IF Cabrera (-)

こんな感じでしょうか。Donaldsonを三塁手起用であればRizzoを単年契約で迎え入れるのがBetter?
もちろん私の浅慮などでは推し量れないのがMLB移籍市場。明日にはCorreaもFreemanもNYY入団のアナウンスがされているかもしれませんね😤(実際,Olson獲得においては今トレードにて有望株を放出しなかったNYYにも分があると見ている記者もいます)

地味に注目なのがパッケージに含まれて入団したRortvedt。まだ24歳と若く,捕手守備でもDRS+5を記録。IFK同様に打撃に課題はあるものの,Lawsonコーチに思い切りメスを入れて貰ってよいのではないでしょうか。捕手コーチのTanner SwansonもMINからリクルートした人物ですし,繋がりがあるのだと思います。(と思っていたらJack Curryも以下のように述べていますね。)

ロックアウト前にJoely Rodriguezをバイアウト⇒再契約して以来,マイナー契約でしか動きを見せなかったNYY。これは大補強の始まりなのでしょうか。それともこれにて補強終了?胃に穴の開くようなサスペンスがファンを楽しませてくれそうです。

少なくとも今後Voitの放出や不良債権1-2名にプロスペクトを抱き合わせた放出が予想されますかね。もうわかんないや。

最後に

Urshelaという正三塁手が移籍してもロスターにのさばり,ペイロールに負担をかけるUT(三塁手・一塁手・左翼手)がいるらしいですね。(最近,ドミニカで強盗に襲われたらしいので,流石に不謹慎かと思い,いじるのはこの辺にしておきます)

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