【HOF】2024年殿堂入り投票の展望(+模擬投票のお知らせ)
来年1月に発表されるBBWAAによる2024年殿堂入り投票について,11月21日に殿堂入り候補者が新たに発表されました!今回のnoteでは,殿堂入り投票の展望に加え,毎年恒例の「①MLB30球団ファン合同note企画担当者」及び「②読者のみなさま」による模擬投票をご案内させていただきます。
「②読者のみなさま」におかれましては,下記リンクからも投票可能となっておりますので,熟慮の上,ご回答をお待ちしております!!!
■アメリカ野球殿堂入り(Hall Of Fame)投票の概要
以上のスキームからも分かるように,殿堂入り(HoF)とは非常にシビアな制度設計の上で成り立っており,MLBでプレーした選手に送られる最上級の栄誉。前回投票を振り返れば,華々しいスポットライトを浴び続けた選手ではないものの堅実な守備と強打によって安定した成績を残したScott Rolenが唯一のHoF入り。前回の結果および今回から新たに投票対象となる選手を踏まえた上で,投票がどのように移り変わるのかを見立てていきます。
■有資格2年目以上の選手をおさらい
2023年以前からHoF投票の対象となっていた選手の成績詳細については下記noteにまとめてあるため,併せてご覧ください。そのため,有資格2年目以上の選手については,成績よりも昨年度の投票結果にフォーカスした展望を記します。
まず,殿堂入り最右翼であったScott Rolenが76.3%の支持を受けて資格6年目での殿堂入りを成し遂げました。これについては,2022年投票を最後にBarry Bonds,Roger Clemens,Curt Schillingといったビッグネームが10年目を迎えて失格したことで,ダブついた票がRolenらに流れてきたと推察できます。個人的には、普段メディアから”スーパースター”として扱われていなかったRolenのような選手が、こういった形で日の目を浴びることができるのがHoFの醍醐味だなとしみじみ感じました…!
また,サプライズであったのはTodd Heltonの得票率急騰【52.0%→72.2%】でしょう。通算打率.316&369本塁打は見事であったものの,キャリアを打者天国クアーズフィールドで過ごしたことは評価を難しいものにしていたはず。実際に僚友Larry Walker(通算打率.313&383本塁打)を以てしても殿堂入りに10年を要していたことから,私はHeltonについても前途多難な投票率を予想していました。残り2.8%という数字に鑑みれば今季HoF投票の大目玉といえるでしょう。個人的には通算rWARを見ても資格は充分に有しているかと思います。
Heltonほどではないですが,Billy Wagner,Andrew Jones,Gary Sheffieldの3名も15%程度のアップを果たした選手。Wagnerは先述のnoteにも記したとおり,歴代6番目となる422SVを挙げた実績などからディケイド有数のクローザーとしてHoF入りすべき選手かと思います。2025年に有資格10年目を迎えることから,今回で70%の大台に乗ることができるかに注目です。
Jonesは私が一番HoF入りを熱望する選手。というのも各ポジションにおいて歴代bWARが通算1位にもかかわらず,未だHoFとなっていないのはCFのJonesだけであるため。守備のスペシャリストというペルソナに加えて,通算434HR&rWAR62.7という打撃実績に鑑みても,彼が相応しくないとは口が裂けても言えません。
一方,Sheffieldの急上昇については正直想定外でありました。BondsやClemensといった禁止薬物使用疑惑のあった選手が前年の投票で失格となった上で,同じ薬物使用者がこれほど票を伸ばすというのは驚きを隠せませんでした。ただし,それを抜きにすれば歴代30傑に入る通算509HRを放った時代屈指のスラッガーであり,実績は間違いなくHoF級と言えるでしょう。今回がラストとなる10回目であり,神託はどちらに傾くのでしょうか。
そして今回の投票でも皆さんの頭を悩ませることになるのがCarlos Beltranでしょうか。通算rWAR70.1に加えて史上5人しかいない400HR&300SBの達成者であることから,本来であれば有資格1年目である前回投票にて一発合格を果たすはずでした。しかしアストロズによる2017年のサイン盗みスキャンダルが発覚し,首謀者の1人としてBeltranの名前が挙がったことで評価が急落。得票率が僅か46.5%に終わるなど,厳しい船出となりました。ただ,彼にとってキャリア最終盤のスキャンダルであったことや,アストロズ一同が社会的にも地位回復に至っている昨今の情勢を見れば,一気に75%へ到達することも有り得るかもしれませんね。個人的には,前回投票によって彼への断罪は成されたのだと思います。
Beltranを凌ぐほどのビッグネームであるAlex RodriguezとManny Ramirezは何度も当アカウントで取り上げているとおり,複数回に渡って禁止薬物使用が明るみとなった選手。共に傑出した打撃成績を残しているものの,BBWAAの記者が与えた評価は35%程度と極めて低いです。今後,60%程度まで上昇することはあっても,HoFの階段を跨ぐことは非常に厳しいかと思います。(それだけに先述のSheffieldが55%に上昇した”意義”に甚だ疑問がつきませんが…。)彼らが逆転でHoFになるとすれば,BondsやClemensといった巨頭たちがベテランズ委員会によって殿堂入りを果たした後なのかなと思います。
rWARにおいては60.0程度を記録しているものの,30%以下に終わっているAndy Pettitte,Bobby Abreu,Mark Buehrleらの動向も気になるところ。Pettitteについては禁止薬物使用が明るみになっているために別で議論が必要ですが,AbreuとBuehrleについては共に長く太いキャリアを送った名選手に他なりません。WARが全てとは決して思いませんが,彼らのようなunderrattedな選手が公正・公平に判断されるためにはWARで優劣をつけるべきだろうとも強く感じます。
また,Francisco RodríguezについてはBilly Wagnerと同程度の評価を受けると思っていたために意表を突かれました。ERA+やWHIPに大きな乖離があるとはいえ,同じ400SV達成者の2人の間に,60%近く得票差が生じるのは些か納得のいかない結果。Wagnerが殿堂入りするのであれば,なんとしてもK-RODが続いてほしいですね。
なお,前回初めて投票資格を得たにもかかわらず,得票率5.0%を下回ったことによって計12名もの選手が失格となっています。今回新たに登場するのはどのような選手なのでしょうか。
■今回の投票で初登場となる主要選手
引退後5年以上が経過し,今回の殿堂入り投票にて初めて投票対象となる選手について,全て触れたいところですが,主要な5名ほどをまとめていきます。
(1)Adrian Beltre(エイドリアン・ベルトレ)
2933試合 打率.286(11068打数 3166安打) 477本塁打 1707打点 121盗塁 848四球 出塁率.339 長打率.480 OPS.819 rWAR93.5
【受賞歴等:本塁打王×1,AS×4,GG×5,SS×4】
投票1年目(前回--.-%)
(2)Chase Utley(チェイス・アトリー)
1937試合 打率.275(6857打数 1885安打) 259本塁打 1025打点 154盗塁 724四球 出塁率.358 長打率.465 OPS.823 rWAR64.5
【受賞歴等:AS×6,SS×4】
投票1年目(前回--.-%)
(3)Joe Mauer(ジョー・マウアー)
1858試合 打率.306(6930打数 2123安打) 143本塁打 923打点 52盗塁 939四球 出塁率.388 長打率.439 OPS.827 rWAR55.2
【受賞歴等:MVP×1,首位打者×3,AS×6,GG×3,SS×5】
投票1年目(前回--.-%)
(4)Matt Holliday(マット・ホリデイ)
1903試合 打率.299(7009打数 2096安打) 316本塁打 1220打点 108盗塁 802四球 出塁率.379 長打率.510 OPS.889 rWAR44.5
【受賞歴等:首位打者×1,AS×7,SS×4】
投票1年目(前回--.-%)
(5)Bartolo Colon(バートロ・コロン)
565登板 247勝 188敗 防御率4.12 WHIP1.31 3461.2回 948四球 2535奪三振 rWAR46.2
【受賞歴等:サイ・ヤング賞×1,AS×4】
■投票率の展望
昨年私の予想した展望では
等々の展望を描いていました。結果は半分以上当たっていました😎今年もアナライズしていきますよ!!以下駄文です。根拠はほとんどありません。感覚論です。
◎2014年-2023年の殿堂入り選手の中で,通算rWARがBeltreを上回った野手は誰一人としていません。では満票になるかと言われればこれも難しいところであり,個人的には同ポジションで活躍したChipper Jonesが記録した97.2%を標榜したいところ。結構この数字は自信がありますので誤差は±1.0%程度と予想😤
◎Heltonは高くても80%程度で今回無事殿堂入りを果たすかと。個人的な話になりますが,彼が正当に評価される日が来ることは本当に喜ばしいことです。アルコールとの闘いにもなんとか終止符を打って欲しいですね。
◎一方でWagnerは殿堂入りするとしても10回目なんじゃないかと漠然に思っているので,お布施込みでも今回は70.0%前半で望みを繋ぐのではないでしょうか。Jonesは願望込みで65.0%くらいに上がってくれれば…。
◎Sheffieldの急騰は流石に今回続くことはないと思うので,58%程度と予想。A-RODとRamirezは引き続き30%台の壁に四苦八苦しそうです。
◎UtleyとMauerは共に30-40%と予想。いずれにせよ,初年度での50%到達は考えにくいです。Hollidayは10%程度が現実的か。
◎Colonは禁止物質使用者にもかかわらず,晩年はメディア露出が多かったのがどう転ぶか。ただ実績込みで25%-35%程度と予想。ただ,ここを超えるのであれば50%くらいに跳ねていても驚かない。
◎そしてBeltranの殿堂入りは次回に持ち越しと予想。今回は票を伸ばして55-60%程度は悠に狙えるのでは。来年,メッツのスタッフとして禊ぎを完結し,クーパーズタウン行きを決めると予想。
■模擬投票のお知らせ
本日11/22(水)~11/28(火)にて,読者の皆さまも対象とした殿堂入り模擬投票を実施します!投票結果については集計後,MLB30球団ファン合同note企画公式アカウントにて発表させていただきます。主な留意事項は以下のとおり。
上記ご確認の上,ご参加いただける場合には下記リンクよりお進みください。沢山の方の投票をお待ちしております!!
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